英単語

go のコアイメージ解説・意味の樹形図、物主語+go の用法、英語は足し算の発想

この記事は約19分で読めます。

go のことを最初の頃に習う英単語だからって軽く見ていませんか?実は go には日本人にとって難しい用法がたくさんあります。特に無生物主語と一緒に用いられる go には要注意です。また、日本語話者と英語話者の発想の違いも取り上げています。

この記事でわかること
  • go のコアイメージと主な意味
  • 物主語+go で表すことができる状況
  • 日本語は引き算の発想、英語は足し算の発想であること

中学英語イメージリンク

go のコアイメージ

go のコアイメージは「場の中心から他のところへ動く」です。

go のポイントは「場の中心(=いまいる場所・時間・状態など)」に意識が置かれたままであることです。これについては、例文解説のところで確認しましょう。

go の意味の樹形図

コアイメージを元に go の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。

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go の主な意味と例文

行く、離れる

行く」は go の有名な意味ですが、「離れる」ニュアンスも含んでいることに注意が必要です。

 

例文:Go ahead, please.(よかったら、お先にどうぞ)

Go ahead は相手の利益になるような場面で使って、「私より前に動いていいですよ」→「お先にどうぞ」となります。please は「あなたがよければ」と丁寧さを表しています。

この go は、相手がいまいる場所に意識を置いて、そこから動き出すことを促しているイメージで捉えるとよいでしょう。

たとえば、相手と鉢合わせてしまい、その場に留まっている相手に対して動きを促すような場面で使います。

I go to school every day.
(私は毎日学校に行きます)

Are you going? ※1
(もう帰るところですか?)

※1 相手がその場を離れようとしている、または帰ろうとしている場面では Are you going? は「帰る」という意味になります。
 ・同僚が仕事を終えて、デスクを片付けたり、バッグを持って帰る準備をしているとき
 ・パーティーなどで友人や知り合いがコートを着たりバッグを持って出ようとしているとき

消える、なくなる

これは「離れた」結果として、「消える、なくなる」になると考えるとよいでしょう。

 

例文:Everything Must Go SALE(売りつくしセール)

Everything must go は店舗の閉店セールなどの際に、掲示されるキャッチコピーです。「すべてなくならなければいけない」→「売りつくし」というわけです。

Just Go! ※2
(とっとと辞めちまえ)

“Can I have another piece of cake?” – “Sorry, it’s gone.” ※3
(「ケーキもう一つもらえる?」「ごめん、もうなくなっちゃった」)

The pain finally went away.
(痛みがようやく消えました)

※2 あるビジネス誌の表紙に掲出されていた見出し語です。経営不振の会社のCEOの肖像画と共に用いられて、「この会社からさっさと出ていけ!」という意味で使われていました。

※3 It’s gone. は何かが消えてしまったり、手元にあったものがなくなった場合に使われます。
 ・お店の商品が売り切れていたとき
 ・パソコンやスマホで大事なデータが突然消えてしまったとき
 ・財布や鍵などの貴重品が見当たらなくなったとき
 ・スマホの電池が切れてしまったとき

物が人と共に離れる(人が物をもっていく)

物 go with 人」という形式で「物が人と一緒に移動する」→「人が物をもっていく」ことを表すことができます。物を主語にすることで、その物の移動に焦点を当てた表現になります。

 

例文;The documents will go with John to the meeting.(その書類はジョンが会議に持っていきます)

主語に the documents をもってくることで「書類の移動」に焦点を当てています。

比較:John will take the documents to the meeting.(ジョンがその書類を会議に持っていくだろう)

John を主語にすると、「ジョンが書類を持っていく」というジョンの行動に焦点が当たることになります。元の例文と比べると、ジョンの積極性が強調されます。

 

例文:Here or to go?(店内ですか?お持ち帰りですか?)

ファストフード店で店員さんが聞いてくる決まり文句です。これは主語を省略せずに言えば、注文した品(単品なら this、複数なら these)が主語にきて “Is this for here or to go?” となります。

直訳すると「注文した品はここで食べる用ですか?それとも、(注文品は)ここから離れていくことになりますか?」であり、つまり「店内ですか?お持ち帰りですか?」という意味になるわけです。

to go というフレーズだけだとよくわからないかもしれませんが、”is this to go with you?”(この注文品はあなたと一緒に離れていくことになりますか?)とすれば見通しがよくなると思います。これも注文品という物を主語にすることで、その物の移動に焦点を当てているわけです。

The keys will go with Mark to his office tomorrow.
(その鍵はマークが明日オフィスに持っていきます)

Do you have anything to go with me? ※4
(何か持っていくものはありますか?)

※4 どこかへ行くときに、相手に何か持っていってほしい物がないかを確認するセリフです。
 ・郵便局に行く前に、家族に何か持っていく物がないかを尋ねるとき
 ・取引先に行く前に、同僚に何か伝える物や持っていく物があるか聞くとき
 ・学校に行く前に、親に何か持っていく物がないか確認するとき

時が過ぎる

go は人や物の移動に焦点が当たりがちですが、時間の移動についても用いることができます。

 

例文:We only have two innings to go.(我々には残り2イニングしかない)

これは野球の試合で、9回の試合終了まで残り2イニングしかない(=7回が終わったところ)という状況で使われるようなセリフです。two innings to go は「残り2イニング」という意味ですが、私たち日本人にとってはかなり理解が難しい表現だと思います。そのため、少し丁寧に解説をします。

まず、to go は「いまの時点から時が進んでいく」ことを表しています。two innings to go は「2イニングが進んでいく(そして、2イニング進んだ9回で試合が終わる)」というニュアンスになります。

つまり、We only have two innings で「我々には2イニングがあるだけだ」、そして two innings to go で「2イニングが進んだら、試合が終わる」となるので、「残り2イニングしかない」という意味になるわけです。

Two hours went by quickly.
(2時間があっという間に過ぎた)

With two hours to go, we can relax for a bit.
(残り2時間あるので、少しリラックスできる)

There’s still a long way to go, but we’ve made good progress.
(まだ長い道のりが残っているが、いい進展をしている)

 

補足:日本語と英語におけるモノの見方の違い

two innings to go が「残り2イニング」という意味になることについて、さきほどの説明では、まだしっくりきていない方が多いのではないでしょうか。なぜなら、これは「日本語と英語におけるモノの見方の違い」に由来していることだからです。

・日本語:引き算の発想
・英語 :足し算の発想

これはどういうことなのか、さきほどの英語フレーズ “two innings to go” と日本語「残り2イニング」を比較して解説していきます。

 

日本語「引き算の発想」

日本語で見ていく順は次のようになります。

全体を把握 → 野球の試合は9回で終わりだな
現在地を見る → いまは7回が終わったところか
残りに注目する → 残りは2イニングだな

これを式で表すと「9-7=2」という引き算になります。だから、「残り2イニング」という表現になるわけですね。

なお、「まず全体を把握しようとすること」は日本語全般において言えることです。この発想の延長線上にある、日本語が「周辺から中心へ」言葉を並べていくことについては、書籍『英会話イメージトレース体得法』で詳しく解説しているので、よかったらご参照ください。

 

英語「足し算の発想」

一方で、英語で見ていく順は次のようになります。

現在地を把握 → いまは7回が終わったところか
② イニングを進めて → 2回イニングを進めると
全体にする → 9回になって試合終了だな

これを式で表すと「7+2=9」という足し算になります。これが “two innings to go“(直訳するなら「あと2イニング」)という表現につながるわけです。

しかし、私たち日本人からすると、「足し算だと、いくら足せば全体になるかわからないじゃないか」って思いますよね。でも、問題はないのです。なぜなら英語では「全体になるまで足せばよい」と考えるからです。つまり、「7に1を足すと8か、まだ足りないな。もう1つ足すと9、よしっ、これでOK。2回足したから two innings to go って言えばいいな」という発想なのです。

 

参考:英語表現に見られる足し算表現

このような足し算の発想に基づいた英語表現は他にもあります。ここでは「お釣りの数え方」と「アナログ時計の読み方」の2つを挙げておきます。

(1)お釣りの数え方
お客 I’d like to buy this item, please.
(これを買いたいのですが)
店員 That will be $16.
(16ドルになります)
お客 Here’s $20.
(はい、20ドル)
店員 Thank you! Here’s your product. And here’s your change. $17, $18, $19, $20.
(ありがとうございます!こちらが商品です。そしてこちらがお釣りです。17ドル、18ドル、19ドル、20ドル)

店員さんがお釣りを渡すとき、1ドル紙幣を渡しながら、商品代の16ドルに1ずつ足していっています。こうして、お客さんが出した20ドルになるまで続けて、20ドルに到達したら、そこで終わりというわけです。

アメリカではこのような足し算の発想をするため、日本でよくやる「930円の代金に対して、1030円を出して、100円のお釣りをもらう」ということをアメリカでやろうとしても、大抵は店員さんに対応してもらえません。この場合であれば、余分な30円は突っ返されて、50円・10円・10円という順にお釣りを渡されることになるのが普通です。

 

(2)アナログ時計の読み方
時刻 英語表現 意味合い
9時10分 ten past nine 10分、9時を過ぎて
9時25分 twenty-five past nine 25分、9時を過ぎて
9時30分 half past nine 半分、9時を過ぎて
9時35分 twenty-five to ten 25分、10時まで(25分で10時になる)
9時50分 ten to ten 10分、10時まで(10分で10時になる)

past(~を過ぎて)の方は違和感はないと思いますが、問題は30分以降の to(~まで)です。ここでは、アナログ時計の針が9時35分を指しているときに話し手がどう考えるかを再現してみます。

 

① 9時35分の地点を基準に、そこから25分足したら区切りの10時になる、② twenty-five to ten と表現する。

確かに足し算の発想に基づいていることがわかるかと思います。

 

一方で、聞き手側が “twenty-five to ten” と聞いて、どう処理するのかもおさえておきましょう。

① twenty-five は数字の25なのでそのまま受け取り、② to で「25を足すと、to が何かに到達する」と理解、③ ten で「その到達点は10時である」。

このようにして、聞き手はイラストにあるようなアナログ時計の状態を思い描くわけです。時刻がパッとわかるのではなく、アナログ時計の状態を思い描いていることにご注意ください。

※このあたりは表面的な言葉使いを理解するだけでは使いこなすのが難しいですね。ぜひ発想の仕方を変えてみて、英語の世界観に慣れていってもらえればと思います。

なお、デジタル時計で「9:35」と表示されている場合は、そのままストレートに「nine thirty-five」と読むのが一般的です。上記はあくまでもアナログ時計の読み方であることもあわせてご留意ください。

 

【小休憩】ここまでの振り返り

ここまで go の「行く、離れる」「消える、なくなる」「物が人と共に離れる」「時が過ぎる」について見てきましたが、無生物主語の英文が多いことに気がついたでしょうか?

というのも go は「移動」を表す単語であって、take や make にあった「主語の意図」のようなものはあまり含んでいません。そのため、純粋な「物」の動きを表現するのにとても都合の良い単語なのです。

ただ、日本語は「人の視界」を前提とした表現を使うのが一般的です。そのため、私たちは英語の「物」を主語にもってくる表現には慣れていません

ここから先の go の解説にも無生物主語はたくさん出てくるので、ぜひ go の理解を深めるのと同時に、無生物主語に慣れていってもらえたらと思います。

作動する、動き始める

go のコアイメージは「場の中心から他のところへ動く」ですが、その動き出しに焦点を合わせたときの意味が「作動する、動き始める」になります。

 

例文:The car won’t go.(車がどうしても動かない)

won’t go は「どうしても動かない」という意味。won’t は「どうしても~しようとしない」と頑なに拒否するニュアンスで使われます。

go は動いているときをイメージしやすいですが、動き始めに焦点を合わせた表現として用いられることもあるのでご注意ください。

Ready, set, go!
(よーい、ドン!)

There goes the bell.
(ほら、ベルが鳴るぞ/ほら、ベルが鳴っている)※5

※5 この表現は、ベルが鳴りそうなときや、ベルが今まさに鳴っているときに、そのことを相手に気づかせる場面で使います。

進行する、事が運ぶ

go の動いているイメージが「時の流れ」の中で表現されたとき、「進行する、事が運ぶ」という意味になります。

普通の go は、それ単体では行き先未定で、どこに向かうのか決まっていませんが、時間に関しては過去→現在→未来と一本道を通ることになるので、イラストのように向かう先の決まった道を引くことができます。

 

例文:How are things going?(調子はどうですか?)

これは「物事はどのように進んでいますか?」→「諸々どんな感じ?」というニュアンスの表現です。

ここでも、主語には things が来ており、無生物主語となっていることに注意してください。

たとえば、同じような意味になる How are you? だと主語に you が来ているので、相手(you)に焦点が当たってしまいますが、How are things going? だと無生物主語なので、相手を直接トピックに挙げずに済みます。その分だけ気楽というか、柔らかい表現と言えます。

 

なお、日本語は人の視界から物事を描写するので、人を基準とした物言いにするのが普通です。そのため、英語の How are things going? を訳したとき、自然な日本語としては「(あなたの)調子はどうですか?」とするのが一般的です。

逆に言えば、How are things going? を「調子はどうですか?」と訳して理解している限り、英語本来の無生物主語による「表現をマイルドにする効果」をつかむことは難しいでしょう。こういったところから、英語を英語のまま理解するきっかけにしていってもらえたらと思います。

How is it going with your new job?
(新しい仕事の調子はどう?)

How did the game go?
(試合はどうなりましたか?)

The story goes like this.
(話はこんな風に進みます)

機能する

物が go しているということは、その物がちゃんと機能していることを意味しています。これは工場でラインが流れに沿って動いている状況を想像するとわかりやすいと思います。

なお、このあたりの用法では「出発点(場の中心)」への意識はほとんど感じられません。出発点を意識したものが「作動する」で、出発点を意識しないと「機能する」といった感じで、シームレスにつながっている意味範囲に対して、文脈に応じて切り取って使うように考えるとよいでしょう。

 

例文:The air conditioner goes perfectly.(エアコンが完璧に動いている)

エアコンが動いている機能しているわけですね。このあたりの感覚は日本語と同じですね。

Does this old clock still go?
(この古い時計はまだ動くの?)

My phone is finally going again.
(私の電話は最終的にまた動いてくれています)

My laptop goes better after a restart.
(再起動後、ノートパソコンの調子が良い)

The fan goes faster when you press this button.
(このボタンを押すとファンが速く回ります)

通用する

貨幣やルールなどが機能する場合、日本語では「通用する」と訳します。

 

例文:U.S. dollars go far in many countries.(米ドルは多くの国で広く通用します)

far は「遠くまで」という意味ですが、go far で「広く通用する」となります。

This rule goes for everyone in the company.
(このルールは会社の全員に適用されます)

At this party, anything goes. You can wear whatever you want, even a costume.
(このパーティーでは何をしてもよい。好きな服を着てきて大丈夫。コスチュームでも構わないよ)

A が B に合う

A go with B」は「A がちゃんと機能している with B」→「A が B に合う」という意味になります。

 

例文:That shirt goes well with your pants.(そのシャツは君のパンツに合っているね)

「そのシャツはちゃんと機能している with 君のパンツ」→「そのシャツは君のパンツに合っている」となります。

His ideas don’t really go with the company’s vision.
(彼のアイデアは会社のビジョンにあまり合わない)

The curtains go well with the color of the walls.
(そのカーテンは壁の色にうまくマッチしている)

These flavors go together surprisingly well.
(これらの味は驚くほどよく合う)

~に到達する

go to ~ で「~に到達する」となります(注意:到達を表すには to が必要です)。人を主語にしたパターンは大丈夫だと思いますが、物を主語にしたパターンでも用いられることに注意してください。

 

例文:The painting went to a private collector.(その絵画は個人のコレクターの手に渡った)

その絵画が移動して、個人のコレクターのところへ到達するイメージです。

The prize went to the student with the best performance.
(賞は最も優れた成績を収めた学生に与えられた)

All the profits will go to support environmental projects.
(すべての利益は環境プロジェクトの支援に充てられるでしょう)

The old furniture went to a second-hand shop.
(古い家具はリサイクルショップに売られた)

~の状態に変化する

これまでは「物」の移動を主に見てきましたが、「状態」に関して go を用いると、「状態の変化」を表すことができます。

 

例文:The leaves go yellow in the fall.(葉っぱは秋になると黄色くなる)

葉っぱが緑から黄色に変化することを go yellow(黄色くなる)と表現しています。

He went crazy when he heard the news.
(彼はそのニュースを聞いて狂ったようになった)

The milk has gone bad.
(牛乳が腐ってしまった)

The lights suddenly went out during the storm.
(嵐の間に突然電気が消えた)

He went silent after hearing the question.
(彼はその質問を聞いて黙り込んだ)

Her face went pale when she saw the ghost.
(彼女は幽霊を見て顔が青ざめた)

The soup went cold because no one ate it.
(誰もスープを食べなかったので、冷たくなった)

まとめ

go のコアイメージは「場の中心から他のところへ動く」です。go は視点を「場の中心(=いまいる場所・時間・状態など)」に置いたまま、主語が離れていくことを描写します。

コアイメージを元に、go の主な意味を分類すると次のようになります。

意味 例文
行く、離れる Go ahead, please.
 消える、なくなる Everything Must Go SALE
 物が人と共に離れる
(人が物をもっていく)
The documents will go with John to the meeting.
 時が過ぎる We only have two innings to go.
作動する、動き始める The car won’t go.
進行する、事が運ぶ How are things going?
 機能する The air conditioner goes perfectly.
  通用する U.S. dollars go far in many countries.
  A が B に合う That shirt goes well with your pants.
~に到達する The painting went to a private collector.
 ~の状態に変化する The leaves go yellow in the fall.

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