find は「見つける」からの連想で「わかる」の意味が出てくることは比較的理解しやすいと思います。一方で、How do you find Hawaii? というセリフを「どうやってハワイを見つけたのか?」という意味だと勘違いしてしまうのもよくあるパターンだと思います。このような日本人が勘違いしやすいところも含めて、find の主な意味が一通りつかめるように解説しました。
find のコアイメージ
find のコアイメージは「過程を経て、見つける」です。
find は「何かをしていて見つける」というイメージをもつ英単語です。その過程には、主体的に行動するニュアンスが含まれるため、find は基本的に人を主語にして使われます。
find の意味の樹形図
コアイメージを元に、find の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。
find の主な意味と例文
探して見つける
find に含まれる「過程」において何かを探す行動をしていた場合、「探して見つける」という意味になります。
例文:I can’t find my keys.(鍵が見つからない)
can’t find は「見つけることができない、見つからない」という意味。
「あちこち探してみたけれど、見つからない」というニュアンスであり、鍵を探した過程が含まれています。
(今夜のホテルを探すのを手伝ってくれますか?)
He found a solution to the complicated math problem.
(彼はその複雑な数学の問題の解決策を見つけました)
I found my keys in the kitchen drawer.
(キッチンの引き出しで鍵を見つけました)
* この英文だけだと「偶然見つけた」可能性もあります。
ある場所に~がある(見つかる、手に入る)
「あなたが○○を探しているのであれば、××という場所に行ったら見つかりますよ」という感じで、find は「ある場所に~がある」という意味を表します。
なお、探しているものが「手に入れたいもの」であれば、「ある場所で~が手に入ります」という日本語訳にもなります。
例文:You can find saws at the home improvement store.(ノコギリはホームセンターにありますよ)
you can find を使うことで「ノコギリならホームセンターで手に入ります」というニュアンスを伝えています。相手がノコギリを探していることを前提にしたセリフです。
A | Do you know where I can find a saw?(ノコギリをどこで見つけられるか知っていますか?) |
B | You can find saws at the home improvement store.(ノコギリはホームセンターにありますよ) |
比較:There are saws at the home improvement store.(ホームセンターにはノコギリがありますよ)
日本語にすると同じ「~がある」を表す there is/are ですが、この there is/are は「ホームセンターにノコギリがある」という事実を伝えているだけになります。
A | What kinds of tools do they sell at the home improvement store?(ホームセンターではどんな種類の工具を売っていますか?) |
B | There are saws at the home improvement store.(ホームセンターにはノコギリがありますよ) |
(このエリアにはたくさんのお土産屋さんがあります)
Do you find sushi restaurants in your town?
(あなたの町には寿司屋がありますか?)
In Paris, you can find delicious croissants in every bakery.
(パリではどのパン屋でも美味しいクロワッサンが手に入ります)
補足1:「次の角を右に曲がると郵便局があります」を表す英語表現の違い
日本語の「次の角を右に曲がると郵便局があります」を英語にするとき、次のどれが正しいと思いますか?
1:If you turn right at the next corner, there is a post office.
2:If you turn right at the next corner, you’ll find a post office.
3:If you turn right at the next corner, you’ll see a post office.
正解は………、実はどれも正しい表現なんです。
ただ、このようなセリフを言うのは、相手から「郵便局を探しているのですが、郵便局はどこですか?」と聞かれた場合がほとんどなので、2 の find を用いた英文が最もよく使う表現になります。
“If you turn right at the next corner, you’ll find a post office.”(次の角を右に曲がったら郵便局がありますよ)
● there is だとどうなる?
there is だと単に「郵便局がその場所に存在する」という事実を伝えることになります。初めて訪れた人に街の概要を説明するような場面で使います。
● you’ll see だとどうなる?
you’ll see だと「郵便局が目に入る」という視覚的な状況を伝えることになります。相手が郵便局を探しているかどうかに関係なく使うことができます。
補足2:日本語の「あります」の罠
「次の角を右に曲がると郵便局があります」を英語で表すとき、私たち日本人は there is を使いがちだと思います。なぜなら、日本語の世界観では、まさにそのように見えているからです。このことについて補足で解説します。
日本語は「話し手の視界」を前提に状況を描写する言語です。話し手から見える状況を描写していると言ったほうがわかりやすいかもしれません。
このような世界観では、話し手の視界の中に「郵便局がある」わけなので、そこに存在していることを表す there is を使おうという発想になるのはとても自然なことです。
しかし、英語は話し手の視界を前提としていません。英語は「真っ白なキャンバス」に絵を描くように状況を描写する言語です。そのため、英語の世界観に変換するときに話し手の視界を外さなければいけないのです。
このとき、外すものが「視界」なわけですから、「見る」という視覚的な働きが抜け落ちることがあります。そのため、そのような「見る」などの視覚的な動きが含まれているのであれば、その動きを加えて(=表に出して)あげる必要があるわけです。
日本語は「視界」を前提としているため、「ある」のような存在表現をよく使います。このような「ある」を英語にするときは
・視界を外す
・「見る」動きを加える(視覚的な動きを含む場合)
これらを意識してみると意外とすんなり英語にできるようになったりします。ぜひ試してみてください。
意図せず見つける
find に含まれる「過程」が、特に意図せずに行っていた行動であり、結果的に何かを見つけたという場合は「意図せず見つける」という意味になります。要するに「何かをしていて偶然見つける」といった感じです。
例文:I found a beautiful shell while walking along the beach.(ビーチを歩いているときに美しい貝殻を見つけた)
この found は「偶然見つけた」という意味になります。
なお、find 自体は「過程」を含むだけであり、その過程において意図的に探していたのか、それとも全くそんなつもりがなかったのかは文脈に依存します。この例文も while walking along the beach(ビーチを歩いているときに)とあるので、「そんなつもりがなかった」→「偶然見つけた」と解釈できるわけです。
他にも、by chance(たまたま)や happen to do(偶然~する)のようなフレーズと組み合わせることで、「偶然見つけた」ことを明示することができます。
(彼らはインターネットを見ているときに面白い記事を見つけた)
She found a rare coin by chance at a flea market.
(彼女はフリーマーケットでたまたま珍しいコインを見つけた)
He happened to find an interesting book in the library.
(彼は図書館で偶然面白い本を見つけた)
経験して~だとわかる、感じる
「何かをしていて、結果的に見つける」イメージから「経験して~だとわかる、感じる」という意味が派生します。
find がこの意味で用いられるときは、「find O C(O=Cだとわかる)」か「find that(that以下の内容だとわかる)」のどちらかの形を取ります。ここでは、まず find that について取り上げ、次に find O C、そして find O C の応用である How do you find ~? と find it ~ to do について確認していきます。
find that
例文:I found that learning English takes consistent practice.(英語習得には継続的な練習が必要だとわかった)
find that ~ は「経験して~だとわかる、気づく」という意味、take practice は「練習を必要とする」という意味です。
* take (物主語で)時間・労力を取る、必要とする(参考記事「take のコアイメージ解説・意味の樹形図」)
英語学習をしてきた経験を元に、「継続的な練習が必要だ」という結論に至っています。「あれこれやってきて、そう気づいた」という感じです。
(その会社が素晴らしい福利厚生を提供していることがわかった)
He found that his coworker misunderstood the instructions.
(彼は同僚が指示を誤解していることに気づいた)
They found that the road was closed due to construction.
(彼らはその道路が工事のために通行止めであることに気づいた)
find O C
例文:I found his lecture boring.(彼の講義は退屈だとわかった)
find O C は「O=Cだとわかる、感じる」という意味。
彼の講義を経験してみて、「退屈だ」という結論に至っています。「彼の講義を聞いて、そう感じた」という感じです。
(その映画はとても面白いと感じた)
He found the new policy unfair.
(彼は新しい方針が不公平だと感じた)
I found myself lost in the city.
(私は自分自身が街で迷子だとわかった/気づいたら街で道に迷っていた)
* find oneself C 気づいたら自分自身が C の状態だった
How do you find
例文:How do you find Japan?(日本をどう感じていますか?)
How do you find ~? は「(経験してみて)~をどう感じていますか?」という意味。
このフレーズは find O C の応用で、たとえば find Japan amazing(日本は素晴らしいと感じている)の amazing のところを How に置き換えて尋ねている表現です。
find には「経験してみて」というニュアンスが含まれるので、いきなり How do you find ~? というフレーズが単品で出てくることはなく、前後の文脈が必要になります。
A | Welcome to Japan! Is this your first time here?(日本へようこそ!今回が初めてですか?) |
B | Yes, it’s my first visit. I’ve always wanted to come here.(はい、初めての訪問です。ずっと来てみたかったんです) |
A | That’s wonderful! So far, how do you find Japan?(それは素晴らしいですね!いまのところ、日本をどう感じていますか?) |
B | It’s amazing! The people are so kind, and the food is incredible.(素晴らしいです!人々がとても親切で、食べ物が信じられないほど美味しいです) |
(このレストランの料理をどう感じていますか?)
How do you find this book so far?
(この本を今のところどう感じていますか?)
How do you find your new job?
(新しい仕事をどう感じていますか?)
* 「新しい仕事をどう見つけますか?」ではないことに注意(補足参照)
補足:How do you find your new job? が「新しい仕事をどう見つけますか?」にならない理由
結論から言うと、その理由は現在形 do が使われているからです。これはこの質問に答えた場合の文を考えてみるとわかりやすいです。
・質問:How do you find your new job?
・答え:I find my new job (how).
もしも、答えの方で「~の方法で見つけます」と言いたいのであれば、これから先のことなので、I will find my new job (how). としなければいけません。
つまり、逆に言えば、How will you find your new job? であれば「新しい仕事をどう見つけますか?」という意味になります。現在形 do ではなく、will を使わないといけないというわけですね。
find it ~ to do
例文:I found it hard to wake up early.(早起きをするのは難しいことだとわかった)
find it ~ to do は「…するのは~だとわかる、感じる」という意味。it は形式主語として使われ、to do の部分がその内容を表しています。
find it hard は find O C の形なので「it=hard だとわかる」と先に結論を述べておいて、その後で it の内容について to wake up early(早起きをすること)と述べているわけですね。
(彼女と話すのは簡単だとわかった)
She found it helpful to write down her goals every day.
(彼女は毎日自分の目標を書き出すのは役に立つと感じた)
I found it exciting to try new things.
(新しいことを試すのはワクワクすると感じた)
まとめ
find のコアイメージは「過程を経て、見つける」です。find は基本的に人を主語にして使われます。
コアイメージを元に、find の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。
意味 | 例文 | 日本語訳 |
---|---|---|
探して見つける | I can’t find my keys. | 鍵が見つからない |
ある場所に~がある(見つかる、手に入る) | You can find saws at the home improvement store. | ノコギリはホームセンターにありますよ |
意図せず見つける | I found a beautiful shell while walking along the beach. | ビーチを歩いているときに美しい貝殻を見つけた |
経験して~だとわかる、感じる | I found that learning English takes consistent practice. | 英語習得には継続的な練習が必要だとわかった |
I found his lecture boring. | 彼の講義は退屈だとわかった | |
How do you find Japan? | 日本をどう感じていますか? | |
I found it hard to wake up early. | 早起きをするのは難しいことだとわかった |
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