do は日本語の「する」とほとんど置き換え可能な基本動詞ですが、「する」だと意味がとりにくい用法も実はあります。この記事では、do の主な用法についてイメージを交えながら解説していきます。
do のコアイメージ
do のコアイメージは「行動する、実行する」です。
主語+do のところで「~が行動する」となり、do+目的語のところで「~を実行する」となります。
do の意味の樹形図
コアイメージを元に、do の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。
do の主な意味と例文
する
do と言えば「する」がまず思い浮かぶくらいメジャーな意味ですね。特に難しいところはないので、例文で確認していきましょう。
例文:She does her homework every evening.(彼女は毎晩宿題をします)
does her homework は「彼女の宿題をする」という意味です。
(今日の午後に買い物をしなければなりません)
He did all the cleaning by himself.
(彼は一人で全部掃除しました)
Let’s do some exercises to warm up.
(ウォームアップのために少し運動をしましょう)
They did a great job organizing the event.
(彼らはイベントの準備をとてもよくやりました)
I’ll do my best.
(ベストを尽くします)
ちゃんと~する
do の「する」には、単なる「する」だけではなく、あることを完成させるためであったり、望ましい状態にするために「する」というニュアンスを含むことがあります。
例文:I did the dishes yesterday after dinner.(昨日の夕食後に食器の後片付けをしました)
did the dishes は「食器の後片付けをした」という意味です。
これは食事後のお皿を望ましい状態(=洗って、戸棚に片付ける)にするためのことをした、というニュアンスであり、単純にお皿を洗う行為だけではなく、食器の片付けやシンク周りの整とんまで含めた全体的な作業を含む場合が多いです。
比較:I washed the dishes yesterday after dinner.(昨日の夕食後に皿洗いをしました)
washed the dishes は「皿洗いをした」という意味です。
実際にお皿を洗う行為に焦点を当てた表現です。当然、それ以外のこと(=洗った後に乾かしたり、片付けたりする作業)は含んでいません。
(お客さんが来る前に部屋をきちんとしよう)
She does the laundry every Sunday morning.
(彼女は毎週日曜日の朝に洗濯をします)
He spent the afternoon doing the garden.
(彼は午後を庭仕事に費やしました)
She always does her hair before going out.
(彼女は外出する前にいつも髪を整えます)
I have to do the paperwork before I can leave the office.
(オフィスを出る前に事務処理をしなければなりません)
役割を果たす
do の「(望ましい状態にするために)ちゃんと~する」から、物主語で「役割を果たす」という意味が派生します。これは、物がもつ役割や機能をちゃんと実行する=役割を果たすという連想で理解できると思います。
例文:The spare tire will do until we get a new one.(新しいタイヤを手に入れるまで、そのスペアタイヤが役割を果たすでしょう)
The spare tire will do は「そのスペアタイヤは役割を果たすだろう」という意味であり、こなれた日本語にすると「そのスペアタイヤで十分だろう」となります。スペアタイヤのもつ役割(=車に装着して道路を走れるようにすること)をちゃんと果たすだろうというニュアンスです。
このように do は「役割を果たす、十分である」という意味をもつわけですが、これは do というよりも、主語に置いた「物」の役割・機能が意識できないと理解するのが難しいと思います。
did the dishes、the spare tire will do ともに、物の望ましい状態や物に対して望むこと(役割・機能)を意識している点で共通しています。
汎用性の高い do という動詞だからこそ、その主語や目的語にくる「物」について、物そのものに留まらず、私たちが望む状態や役割まで意味範囲を拡張しているのかもしれませんね。(このあたりはどなたか知見ありましたらコメントでお知らせいただけると幸いです)
(このペンで今は十分だ)
That coat should do for the winter.
(そのコートで冬は十分です)
This knife will do the job just fine.
(このナイフでその作業は十分にできます)
A cup of coffee will do me good.
(コーヒー一杯で元気が出るだろう)
A few sandwiches will do me for lunch.(補足へ)
(数個のサンドイッチで昼食は足りる)
補足:will do me ってよく使うの?
A few sandwiches will do me for lunch. と同じ意味になる英文として、A few sandwiches will be enough for lunch. が挙げられます。そのニュアンスの違いと、どちらがよく使われるのかを解説しておきます。
例文1:A few sandwiches will do me for lunch.(数個のサンドイッチで昼食は足りる)
カジュアルな表現。「自分にとってそれで十分」という個人的な感覚を表しています。
例文2:A few sandwiches will be enough for lunch.(数個のサンドイッチで昼食には十分だ)
より客観的な表現。話し手の主観的な感覚よりも事実として十分だと思っていることを表しています。
例文 | 使用比率 | |
---|---|---|
例文1 | A few sandwiches will do me for lunch. | 20% |
例文2 | A few sandwiches will be enough for lunch. | 80% |
※使用比率はChatgpt(4o)による。
例文2 の will be enough の方が一般的に使われることが多いそうです。例文1 の will do me はイギリス英語圏では比較的使われる傾向がありますが、アメリカ英語ではやや珍しい表現だそうです。
影響を及ぼす
do のコアイメージ「実行する」からの派生で「影響を及ぼす」という意味が出てきます。これは「物が損害や効果を実行する」=「物が損害や効果といった影響を及ぼす」と解釈されることからきています。
例文:That mistake did a lot of damage to their reputation.(あのミスは彼らの評判に大きな損害を与えました)
did a lot of damage は「大きな損害を与えた」という意味。この do は bring(もってくる)で置き換えることができますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
比較:That mistake brought a lot of damage to their reputation.(あのミスは彼らの評判に大きな損害をもたらした)
brought a lot of damage は「大きな損害をもたらした」という意味。bring を用いた場合は、あのミスが結果的に損害をもたらした(=間接的に損害を引き起こした)というニュアンスになります。
それに対して、do を用いた場合は、あのミスが実際に損害を与えた(=直接的に損害を与えた)となります。このことから do の方が素朴で力強い表現と言えるでしょう。
(その薬は彼の健康に驚くべき効果をもたらしました)
Lack of sleep does harm to your body.
(睡眠不足は体に害を及ぼします)
The speech did a lot to change public opinion.
(その演説は世論を変えるのに大きな影響を与えました)
The warm weather will do you good*1.
(暖かい天気はあなたに良い影響を与えるでしょう)
Smoking will do you harm.
(喫煙はあなたに害を与えるでしょう)
*1 do you good は SVOO の構文です。do good to you に置き換えることもできます。(この例文枠内の2番目 does harm to your body が該当します)
まとめ
do のコアイメージは「行動する、実行する」です。
コアイメージを元に、do の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。
意味 | 例文 |
---|---|
する | She does her homework every evening. |
ちゃんと~する | I did the dishes yesterday after dinner. |
役割を果たす | The spare tire will do until we get a new one. |
影響を及ぼす | That mistake did a lot of damage to their reputation. |
コメント