この記事ではby bus(バスで)、in his car(彼の車で)、on the bus(バスで)を取り上げて、移動や交通の手段を表す by, on, in の違いについて解説します。
by bus
例文:He goes to work by bus.(彼はバスで仕事に行きます)
by bus は「バスで」という意味。by は輸送方法を表しています。
無冠詞の bus は「バスの働き(※)」というコンセプトを表しており、by bus は「バスの働きを通じて」というイメージになります。
(※) 「バスの働き」とは、幼児から「バスって何?」と聞かれたときに答える内容だと思ってください。正解があるわけではありませんが、たとえば「バス停からバス停まで運んでくれる」「お金を払って乗るもの」「運転手さんがいる」などが挙げられます。
例文:He goes to work by the bus.(彼はそのバスの横を通って仕事に行きます)
by the bus は「バスを通り過ぎて」という意味。by は通過を表しています。
the bus は「そのバス」であり、特定のバスを指し示しているので、by the bus は「そのバスの横を通り過ぎて」となります。
参考:He went by the post office.(彼は郵便局の側を通り過ぎた)
どちらの場合も by は、ある状況に至った「経緯」を表しています。無冠詞の bus だとコンセプトを経由する(=輸送方法を表す)ことになり、the bus だと特定のバスを経由することになるわけだったのです。
in his car
例文:He goes to work in his car.(彼は彼の車に乗って仕事に行きます)
in his car は「彼の車に乗って」という意味。in は空間内に存在することを表しています。
※前置詞 in の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 in のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
ここで his となっている理由は、英語では車については「誰かの所有物」だと見なす傾向があるためです。
要するに、道路を走っている車の一台ごとにちゃんと所有者と結びついていると見ているわけです。
さて、そう考えると in a car という表現が使われにくい理由もわかります。なぜならば、in a car は「特定されない車に乗って」という意味になるわけですが、そのような所有者が明示されていない表現を普通は使わないからです。
※自動運転車が普及して、好きなときに空いている車に乗れる時代になったら、in a car という表現のほうが主流になるかもしれません。
次に、in the car ですが、こちらも in his car と比べると使用頻度は落ちます。なぜならば、in the car は「その車に乗って」という意味になりますが、結局聞き手は前後の流れから、誰の車なのかを推察することになります。
そうであれば、最初から所有者を明示したほうが聞き手にとって親切だというわけで、最初から所有格の表現のほうが好まれるということになるわけです。
on the bus
例文:He goes to work on the bus.(彼はバスに乗って仕事に行きます)
on the bus は「バスに乗って」という意味。on は平面に触れているイメージです。
※前置詞 on の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 on のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
なお、「スイッチオン」という言葉があるように、on には触れているイメージから、仕組みやシステムを利用するイメージも派生しています。
つまり、on the bus には「バスの交通システム(バス停などのネットワークを含む)を利用して」というニュアンスも含まれているわけです。
公共機関に対して in ではなく on が使われやすいのは、このようなイメージによるところが大きいと考えられます。
さて、いま述べたように on the bus には2つのイメージが含まれています。
まずは「特定のバスに乗って」という意味。こちらは通勤・通学などで決まった時間に出発するバスに乗るようなイメージです。
もうひとつは「バスの交通システムを利用して」という意味。バスの交通システムをスイッチオンして使うようなイメージです。
このように考えると on a bus よりも on the bus が使われやすい理由もわかってきます。
on a bus は「特に決まっていないバスに乗って」という意味で、適当にやってきたバスに乗っているイメージです。
しかし、この「適当にやってきたバスに乗ること」は、「バスの交通システムを利用すること」とほぼ同じことです。
言っていることが同じなのであれば、「特定のバスに乗って」も表せる on the bus のほうが便利ですよね。
そのため、on a bus よりも on the bus のほうがよく使われている、というわけなのです。
まとめ:移動や交通の手段を表す by, on, in の違い
フレーズ | 意味 | 備考 |
---|---|---|
by bus | バスで | バスの働きを通じて |
in his car | 彼の車に乗って | 車は「誰かの所有物」だと見なす傾向があるため、所有格が使われやすい |
on the bus | バスに乗って | 「特定のバスに乗って」「バスの交通システムを利用して」 |
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コメント
by bus と by the busなどの違いを解説していた記事でしたが、それぞれの違いを理解するために、theやaなどの冠詞の働きも一緒に説明されているのがわかりやすいと思いました。また、英語の文化的背景からin his carなどの表現になる、という説明もわかりやすかったです。
それぞれの前置詞とbusとの組み合わせの違いが丁寧に説明されていて分かりやすかった。また、by the busだと「そのバスの横を通り過ぎて」という意味になるというのは、あまり意識していなかったので、改めて認識出来てよかった。
3つの違いはわかりにくかったですが、丁寧に説明されていたので理解することができました。特に最初のby bus と by the bus の違いでは、by は輸送方法を表してる、theは特定のバスを指し示しているという表現が理解を大きく助けてくれました。
乗り物の前にtheやaを付けるのか、或いは何もつけないのか、あまり意識していなかったので、この記事を読んで違いもしっかりわかり勉強になりました。又、基本的にCARの前には所有格が来るというのも、日本語では強調するときぐらいしか「誰の」を入れないので、英語的な発想だなと改めて感じました。
the が特定の具体的なものを指して「それ」というニュアンスがあるのは前から知っていたのでわかりやすかったのですが、それでもバスそのものか、バスという働きそのものをを指すかなど、用法は日本人にとっては混乱しやすいですね。
英語を根幹から理解するためには、単語一語一語をゆるがせにしないで、その意味するところを読み取らなければいけないと言われます。今回の移動手段を表すby, in, onの違いに関する記事をとおして感じるのは、前置詞や冠詞を固定的に当てはめるだけでは、意味が分からないということ。一番最初に書いたことがしみじみわかります。
移動手段を表す前置詞の違いは奥が深いなと感じました。またby bus とby the busとではニュアンスが全然違ってしまうということも理解できました。普段by the busということはあまりないですが使うときには気を付けようと思いました。
前置詞、冠詞といった表現では全く理解できず、余計難しい面倒な気持ちになってしまいます。まさに学校の教科書みたいで、とても勉強が嫌でした。でも、この記事は分かり易いコアを使って説明してくれてますし、絵図がとても分かり易く、楽しく勉強することができるだけでなく、知識が広まって有り難いです。とても内容でした。
by bus と by the bus に違いがあるとは思いませんでした。それと、on the bus と on a bus…これも一瞬「んっ?」となりましたが、説明を読んで納得しました。移動手段を表すby, in, onの違いを正しく理解すべく、もっと勉強しようと思いました。
この問題は迷うと思います。ただ、こういった前置詞の使い方は英語を好きな人が悩む問題であって、そもそもこの違いに気づいていない人も多いと思います。この記事では、それぞれの違いが丁寧に絵と例題と共に掲載されているため大変わかりやすかったです。