英語の現在形にある「現在の習慣」という用法、わかりにくいですよね。
この記事では、present のコアイメージを元に、現在形の意味・用法(「現在の状態」「現在の習慣」「一般的な事実や真理」など)について解説しました。また「現在形における日本語と英語の違い」や「現在形と現在進行形の違い」についても言及しています。
現在形とは
「現在形」は英語では present form と表現されます。present は pre-(目の前)と -esent(存在する状態)に分けられます。 ここから present のコアイメージは「目の前に存在する」となります。
present が表している「現在」は「目の前に存在している状況」というわけですが、これを「どこまでも広がっている」ようにイメージすることが現在形を捉えるポイントになります。詳しくは例文を挙げながら説明していきます。
現在形の主な用法は「現在の状態」「現在の習慣」「一般的な事実や真理」です。
それでは具体的な例文を挙げて、現在形の意味・用法を確認しておきましょう。
現在形の意味・用法
現在の状態を表す
例文:I‘m happy.(私は幸せです)
am は be動詞の現在形で、「私は幸せです」と現在の状態を表しています。
現在形のポイントは「どこまでも広がっている」でしたが、それはこの例文で言えば、どういうときに幸せだとか、いつまで幸せなのかなど時間的な制限をしていないということになります。
例文:I like milk tea.(私はミルクティーが好きです)
like が現在形で、「私はミルクティーが好きです」と現在の状態を表しています。
この例文も現在形なので、どういうときに好きなのか、いつまで好きなのかなど時間的な制限をしていません。
現在の習慣を表す
例文:He takes the subway to work.(彼は地下鉄で仕事に行きます)
takes が現在形であり、「私は普段仕事に行くのに地下鉄を選んでいます」と現在の習慣を表しています。
この例文も現在形なので、どういうときに地下鉄を選ぶのか、いつまで地下鉄を選ぶのかなど時間的な制限をしていません。
つまり、現在形 takes は「普段の動作」を表しているわけです。「いま地下鉄で仕事に行きます」という意味ではないことに注意が必要です。
例文:What do you do?(普段何をしていますか?/仕事は何ですか?)
一番目の do が現在形であることを表しており、「あなたは普段何をしていますか?」という意味になります。
この例文も現在形なので、どういうときにするのか、いつまでするのかなど時間的な制限をしていません。
特別な時ではない、普段していること(職業など)を尋ねているわけで、「いま何をしていますか?」という意味ではないことに注意が必要です。
一般的な事実や真理を表す
例文:The sun rises in the east.(太陽は東から昇ります)
rises が現在形であり、「太陽は東から昇ります」と一般的な事実・真理を表しています。
現在形なので、時間的な制限をしていません。シンプルに太陽が東から昇る、いつものことだけを念頭に置いた表現というわけです。
確定した未来の予定を表す
例文:The train leaves at 9:37.(その列車は9時37分に出発します)
leaves が現在形であり、「その列車は9時37分に出発します」と確定した未来の予定を表しています。
現在形なので、時間的な制限をしていません。実際には、その列車が休日に運休する列車であったとしても、話し手の中で「普段、9時37分に出発している」とみなしていたら、現在形で表現できるわけです。
逆に言えば、現在形は特別な場合を意識していないときに使われるとも言えます。さきに挙げた What do you do? が「普段の平日にしていること」を尋ねるときに使われることからも、現在形が特別な場合を意識していない表現であることがわかりますね。
現在形における日本語と英語の違い
ここまで、英語の現在形には「時間的な制限がない」ことを述べてきました。
一方で、日本語の現在形は「現在成り立つこと」を表します。つまり、日本語における現在形には「時間的な制限がある」わけです。
日本語の現在形についても例文を挙げて確認してみましょう。
例文:【日本語】何をしますか?
「何をしますか?」は What do you do? を直訳したものです。私たち日本人にとって「何をしますか?」は違和感のある表現ですが、多くの人は「いま何をするつもりですか?」または「これから何をするつもりですか?」という意味で解釈することと思います。
このように解釈する理由は、日本語の現在形が「現在成り立つこと」を表すためです。つまり、「何をしますか?」という現在形の質問を、「現在しようとしていること」または「現時点で、これからやろうと思っていること」という現在成り立っていることへの質問だと解釈しているわけです。
このような日本語の現在形と英語の現在形の違いが、私たち日本人にとって英語の現在形を理解するのを難しくしている原因だったのです。
※日本語は「話し手の視界」を前提とした言語です。そのため、視界に収まらない「時間幅がある物事」については、「いつも」や「普段」といった時間幅を広げる表現を使って、場面設定を行う必要があります。このような「日本語と英語におけるモノの見方の違い」については、弊著『英会話イメージトレース体得法』という書籍で詳しく解説していますので、ご興味ありましたらご覧ください。
現在形と現在進行形の違い
英語の現在形には「時間的な制限がない」ことを述べましたが、「いま一時的にやっていること」のように「時間的な制限がある」ことを表現するときに使われるのが、英語の現在進行形です。
- 現在形:現在時を含み、期間の制限がない場合
- 現在進行形:現在時を含み、期間の制限がある場合
時間軸で考えたときに、現在形は「どこまでも伸びる直線」であり、現在進行形は「区切られた線分」になります。
例文:I live in Tokyo.(私は東京に住んでいます)
例文:I‘m living in Tokyo.(私は一時的に東京に住んでいます)
現在進行形を使うことで「時間的な制限がある」ことを表せるようになります。
※現在進行形の用法についての詳細は「現在進行形の意味・用法まとめ」をご参照ください。
現在形の意味・用法まとめ
現在形の主な用法は「現在の状態」「現在の習慣」「一般的な事実や真理」です。
用法 | 例文 | 意味 | 備考 |
---|---|---|---|
現在の状態を表す | I‘m happy. | 私は幸せです | 時間的な制限をしていない |
現在の習慣を表す | He takes the subway to work. | 彼は地下鉄で仕事に行きます | 現在形 takes は「普段の動作」を表す |
一般的な事実や真理を表す | The sun rises in the east. | 太陽は東から昇ります | いつものことだけを念頭に置いた表現 |
確定した未来の予定を表す | The train leaves at 9:37. | その列車は9時37分に出発します | 特別な場合を意識していないときに使われる |
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コメント
現在形における日本語と英語の違いを学ぶことで、英語の現在形の理解を大きく助けてくれました。
基礎である現在形は英語で使わないことはありません。今回の記事では丁寧に解説してあるため、学生はもちろん、社会人も一度読み返してほしい内容でした。「現在形における日本語と英語の違い」は特に参考になりました。
英語の現在形には時間上の制限がないのに対して、日本語のそれには制限があるという抽象的な事項を
例文やイラストを使ってわかりやすく解説していると感じました。
現在形は漠然としていて現在進行形の違いについて今一つ分からない部分が多かったですが、図解入りで解りやすかったです
日本語で普通に「現在形」的に使っている言葉と言うのは英語ではむしろ現在進行形的なものだというのは新しい発見でした。
英語の現在形の用法については何度も勉強してきましたが、日本語とのニュアンスの違いについて今まで考えたことがなかったので大変勉強になりました。日本語が話し手の視界を前提としている言語とは意識したことなく、英語だけでなく日本語に対する知識も増えました。