・see+人+動詞の原形:動作の始めから終わりまでを見る
・see+人+ing形:動作の途中(一部)を見る
以下で詳しく解説していきますね。
「see+人+動詞の原形」と「see+人+ing形」の違い
例文:I saw her cross the street.(彼女が道路を渡るのを見た)
saw her cross は「彼女が横切るのを見た」という意味。
「see+人+動詞の原形」の場合は、その動作の始めから終わりまでを見たことになります。
この場合で言えば、「彼女が道路を渡り始めて、渡り終えるまでを見た」という感じで、ずっと見ていた感じになります。
例文:I saw her crossing the street.(彼女が道路を渡っているのを見た)
saw her crossing は「彼女が横切っているのを見た」という意味。
「see+人+ing形」の場合は、その動作の途中(一部)を見たことになります。
この場合で言えば、「彼女が道路を渡っているところが目に入ってきた」という感じで、チラッと見たという感じになります。
この違いは前後の文脈を入れた例文にするとわかりやすいと思います。
(彼女が道路を渡って店に入るのを見た)
→ 始めから終わりまでを見たことを表す。
I saw her crossing the street when the car almost hit her.
(彼女が道路を渡っているところを見た、そのとき車があと少しで彼女にぶつかりそうになった)
→ 渡っている途中の一場面を見たことを表す。
「知覚動詞+人+動詞の原形」と「知覚動詞+人+ing形」
・see+人+動詞の原形
・see+人+ing形
この形式の構文は「見る(see)」だけではなくて「聞く(hear)」「感じる(feel)」など他の知覚動詞にも当てはまります。
・知覚動詞+目的語+動詞の原形
・知覚動詞+目的語+ing形
(パフォーマンス中に、彼女が美しい歌を歌うのを聞いた)
→ 一曲全体(始めから終わりまで)を聞いたことを表す。
I heard her singing a beautiful song as I walked by the park.
(公園を通り過ぎるとき、彼女が美しい歌を歌っているのを聞いた)
→ 歌っている途中の一場面を聞いたことを表す。
(テーブルに触れたとき、それが少し動くのを感じた)
→ その動き自体は一瞬であり、完了した動作を感じたことを表す。
As I rested my hand on the table, I felt it moving slightly.
(テーブルに手を置いていると、それが少し動いているのを感じた)
→ その動きが継続中であり、揺れている感覚を表す。
●知覚動詞の例
知覚 | 単語 | 意味 |
---|---|---|
視覚 | see | 見る |
watch | じっと見る | |
notice | 気づく | |
look at | ~を見る | |
聴覚 | hear | 聞く |
listen to | 耳を傾ける | |
overhear | 偶然耳にする | |
触覚 | feel | 触れて感じる |
touch | 触る | |
sense | 感じ取る | |
嗅覚 | smell | においを感じる |
味覚 | taste | 味を感じる |
知覚動詞の構文は「静と動の組み合わせ」の応用
・知覚動詞+目的語+動詞の原形
・知覚動詞+目的語+ing形
この形式の構文について見てきましたが、これを知覚動詞の場合だけに限定して理解するのはもったいないことです。もう少し大きく広げて、英語全般に当てはまる法則について見ておきましょう。
英語は静と動の組み合わせ
英語は「真っ白なキャンバスに絵を描く」ように状況を描写する言語です。この真っ白なキャンバスに絵を描くとき、何を基準に描いていけばよいのかというと、そのポイントになるのが「動き(動詞)」です。何か状況を描写するとき、英語では動きに注目するわけです。
① 動きを発するモノ
② 動きそのもの
③ 動きを受けるモノ
これを記号で表せば 「○ → ○」 となります。文法用語で言えば、「主語(○)・動詞(→)・目的語(○)」ですね。
※このあたりについては以下のYahoo!知恵袋で、質問に対する回答として解説しています。
さて、上記では主語と目的語は同じ「○」になっていますよね。当サイトでは、これらを「英文内における静的な要素」という意味で「静」と表現します。一方で動詞は「→」になっています。これも同じように「英文内における動的な要素」という意味で「動」と表現します。
実は、このような「静と動の組み合わせ」は、英文の最初の部分(主語・動詞・目的語)だけでなく、その後にも同じように当てはまっています。
例文:The teacher got angry at me at school yesterday.(昨日、学校で先生に怒られた)
このように英語は静と動を組み合わせて絵を描いていく=状況を描いていくわけです。
知覚動詞の構文も静と動の組み合わせ
今回解説した知覚動詞の構文、これもまた「静と動の組み合わせ」で出来ています。
例文:I saw her cross the street.(彼女が道路を渡るのを見た)
例文:I saw her crossing the street.(彼女が道路を渡っているのを見た)
「静と動の組み合わせ」の観点で見れば、これらの骨格は同じものです(※)。
実際に使う場面では、この「静と動の組み合わせ」の感覚を前提とした上で、見たものが行動の全部なら「動詞の原形」、行動の一部なら「ing形」という風に使い分けていけば大丈夫です。
大事なことは「静と動の組み合わせ」であり、知覚動詞の構文はその延長線上にあるものとして理解しておくとよいでしょう。
(※)正確に言えば、crossing は「半分静、半分動」です。「横切っているところ」という状態を表す観点からは「静」、「横切っている」という動きを表す観点からは「動」です。ここではわかりやすく「動」で説明しています。
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