「過去分詞って何なの?どれが過去分詞で、どういう意味なの?どういう使い方をするものなの?」
英文法の中でもわかりにくい過去分詞。過去分詞が何者なのか初心者でもつかめるようにイメージを使って、過去分詞の意味や用法を解説します。過去分詞と過去形の違いなど、よく聞かれる質問にもお答えします。
※細かい解説は不要で、過去分詞の意味と用法だけが知りたい方は「まとめ:過去分詞とは」をご覧ください。
過去分詞の形
過去分詞は動詞の変化形の1つで、done や visited のような形をしています。
# | 現在形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|
する | do(does) | did | done |
訪れる | visit | visited | visited |
活用表の右端の単語を、その動詞の過去分詞形と呼びます。実際の英文でも確認してみましょう。
例文 | 過去分詞形 | |
---|---|---|
例文1 | The gate was opened at six. (その門は6時に開けられた) |
open(開ける)の過去分詞形 |
例文2 | The police found the stolen passport in the room. (警察はその部屋で盗まれたパスポートを発見した) |
steal(盗む)の過去分詞形 |
例文3 | This is a letter written by Picasso. (これはピカソによって書かれた手紙です) |
write(書く)の過去分詞形 |
例文4 | I have a table reserved for two. (2名で予約しておいた者です/私は2人分で予約しておいたテーブルをもっています) |
reserve(予約する)の過去分詞形 |
例文5 | I had my passport stolen last night. (昨夜、パスポートを盗まれた) |
steal(盗む)の過去分詞形 |
例文6 | I have visited London twice. (ロンドンに2回訪れたことがあります/私は2回訪れ終えたロンドンをもっています) |
visit(訪れる)の過去分詞形 |
過去分詞形が opened、reserved、visited のようなパターンの動詞を規則動詞と呼びます。規則動詞では、過去分詞は過去形と同形で -ed になります。
一方で過去分詞形が stolen、written のようなパターンの動詞を不規則動詞と呼びます。不規則動詞では、過去分詞は過去形と異なる形になるので、個別に覚えていく必要があります。
過去分詞の意味
次に過去分詞に対応する日本語訳を確認してみましょう。
例文1:opened(開けられた)
例文2:stolen(盗まれた)
例文3:written(書かれた)
例文4:reserved(予約しておいた)
例文5:stolen(盗まれた)
例文6:visited(訪れ終えた)
これらからわかるように、過去分詞には基本的に2つの日本語訳が対応します。
- 「~された(状態の)」(受け身)
- 「~し終えた(状態の)」(完了)
一見すると、これらは相容れないモノのように感じられるかもしれませんね。そこで、過去分詞のイメージを確認してみましょう。過去分詞のコアイメージは「過去の行為による結果の状態」です。
イラストには、りんごを目掛けて矢を射って、最終的にりんごに矢が刺さった状態が描かれています。この「矢」は行為(動詞)をたとえたモノです。
過去分詞とは、この「りんごに矢が刺さった状態」を表すわけですが、これは
- りんご視点で見れば、矢(行為)を受けているので「~された状態」
- 射手の視点で見れば、矢(行為)を刺し終えたので「~し終えた状態」
となります。
2つの日本語訳が出てくるのは、このような視点の違いによるものだったのです。
過去分詞の用法
受動態
例文1:The gate was opened at six.(その門は6時に開けられた)
The gate was opened は、門が「(誰かに)開けられた状態」であったことを表しています。
The gate was opened のような「be動詞+過去分詞」という形式を【受動態】と呼び、意味は「~される/~された状態である」となります。
受動態の文は動作を受けるものや人を主語にした表現です。
なお、行為を受ける部分に焦点が当たっている場合(=特定の時間や場所が表現されていたり、行為者が述べられている場合)は、「~された状態」という状態のニュアンスよりも、「~される」という行為を受けるニュアンスが強くなります。
※受動態についての詳細は「受動態の文型ごとの例文解説と受動態の作り方」をご参照下さい。
過去分詞の前置修飾
例文2:The police found the stolen passport in the room.(警察はその部屋で盗まれたパスポートを発見した)
stolen passport とは、「盗まれた状態」のパスポートのことです。
stolen passport のような「過去分詞+名詞」という形式を【過去分詞の前置修飾】と呼び、意味は「~された状態の◯◯」となります。
前置修飾は beautiful woman(美しい女性)のような「形容詞+名詞」と同じようなものと考えるとわかりやすいでしょう。
過去分詞の後置修飾
例文3:This is a letter written by Picasso.(これはピカソによって書かれた手紙です)
letter written は、手紙が「書かれた状態」であることを表しています。
letter written のような「名詞+過去分詞」という形式を【過去分詞の後置修飾】と呼び、意味は「○○、それは~された状態の」となり、名詞に関する情報を追加するイメージになります。
後置修飾は受動態の be動詞が省略された感覚で捉えるとわかりやすいでしょう。
例文3’:A letter was written by Picasso.(ピカソによって書かれた手紙)
have+O+過去分詞(完了/使役)
例文4:I have a table reserved for two.(2名で予約しておいた者です/私は2人分で予約しておいたテーブルをもっています)
table reserved は、テーブルが「予約された状態」であることを表しています。
例文はレストランの受付で交わされている会話のようなイメージのセリフで、その意味は「2人分で予約されたテーブルをもっている」となりますが、このときテーブルの予約の仕方に2パターンの解釈が発生するので注意が必要です。
1つ目は「私が予約しておいた」パターン、2つ目は「誰かに予約してもらった」パターンです。
誰が予約をしたのかは基本的に前後の文脈から判断するわけですが、この例文のように2名で来店した場合、普通予約した人が受付に声をかけるので、「私が予約しておいた」と解釈し、日本語訳は「2名で予約しておいた者です」としています。
過去分詞は「過去の行為による結果の状態」だと述べましたが、誰がその過去の行為を行ったのかはわかりません。これは過去分詞の特徴でもあるので、文脈から判断しなければいけないのです。
have+O+過去分詞(受け身)
例文5:I had my passport stolen last night.(昨夜、パスポートを盗まれた)
passport stolen は、パスポートが「盗まれた状態」であることを表しています。
さきほどの例文では table reserved という表現から「私が予約しておいた」のと「誰かに予約してもらった」という2パターンが考えられると述べましたが、
今回の passport stolen という表現は、自分が自分自身のパスポートを盗むことはありえないので、自動的に「誰かに盗まれた」という意味に決まります。
なお、haveは「もっている」という訳が有名ですが、本来の have のイメージは「主語が関係している場の上にある」です。
つまり、I had my passport stolen は「私が関係している場の上で、私のパスポートは盗まれた状態だった」となり、「パスポートを盗まれた」となります。
例文4 と例文5 のような形式を【have+O+過去分詞】型と呼び、意味は「O を~し終える(完了)」「O を~される(受け身)」「O を~してもらう(使役)」という3パターンになります。
※have と過去分詞の組み合わせを日本語訳するときは、「~し終える」「~される」「~してもらう」のように、動詞のように訳すと自然な日本語になります。
現在完了形
例文6:I have visited London twice.(ロンドンには2回訪れたことがあります/私は2回訪れ終えたロンドンをもっています)
visited London とは、過去の「訪れる」行為によって「訪れられた状態」のロンドンのことです。
今回の visited London は「誰かに訪れられた」ではなく、「私が訪れ終えた」と解釈するのが自然です。
※この例文のように have のすぐ後に過去分詞が来る場合は、主語が必ず過去の行為をしたことになるので「~し終えた」というニュアンスで捉えて構いません。
日本語の直訳は「私は2回訪れ終えたロンドンをもっている」ですが、自然な訳にすると「私はロンドンを2回訪れたことがある」となります。
have visited London のような「have+過去分詞+O」という形式を【現在完了形】と呼びます。
現在完了形の意味は「~し終えた◯◯をもっている」というニュアンスをベースとして
- ~し終えた、~したところだ(完了)
- ~したことがある(経験)
- ~した結果(結果)
- ずっと~だ(継続)
の4パターンが代表的な日本語訳になります。
※現在完了形についての詳細は「現在完了形の意味・用法まとめ」をご参照下さい。
受動態と現在完了形における過去分詞のイメージ
ここまで見てきたように過去分詞は一貫して過去分詞そのもののイメージでしかありません。
受動態では「~される/~された状態である」となり、現在完了形では「~し終えた〇〇をもっている」となる過去分詞のイメージについて比較イラストを載せておくので、いま一度確認しておいてください。
練習問題
次の英文を日本語に訳しなさい。
問題1:The door was closed by Taro.
問題2:I like a boiled egg.
問題3:The picture painted by my daughter won the prize.
問題4:Have your report finished by tomorrow.
問題5:I have spent all my money.
↓
↓
↓
●解答1:The door was closed by Taro.(そのドアは太郎によって閉められた)
The door was closed. は「そのドアは(誰かに)閉められた状態だった」。日本語訳は「そのドアは太郎によって閉められた」となります。
●解答2:I like a boiled egg.(私はゆで卵が好きです)
boiled egg は「茹でられた状態の卵」で、要するに「ゆで卵」のこと。日本語訳は「私はゆで卵が好きです」となります。
●解答3:The picture painted by my daughter won the prize.(娘が描いた絵が入賞した)
picture painted は、絵が「描かれた状態」であることを表しています。直訳では「その絵、それは娘によって描かれた状態だったわけだが、その絵が入賞した」となります。自然な訳にすると「娘が描いた絵が入賞した」となります。
●解答4:Have your report finished by tomorrow.(明日までにレポートをやり終えなさい)
report finished は、レポートが「やり終えられた状態」であることを表しています。直訳すると「明日までにやり終えられたレポートをもっていなさい」となります。自然な訳にすると「明日までにレポートをやり終えなさい」となります。
●解答5:I have spent all my money.(お金はすべて使い果たしました)
spent money は、「費やされた状態」のお金。直訳すると「私が関係している場に、全部費やされた状態の私のお金がある」となります。自然な訳にすると「お金はすべて使い果たしました」となります。
まとめ:過去分詞とは
過去分詞は「過去の行為による結果の状態」を表し、その意味は「~された状態」「~し終えた状態」です。
過去分詞の用法をまとめると次のようになります。
形式 | 意味 | 文法用語 |
---|---|---|
be動詞+過去分詞 | ~される/~された状態である | 受動態 |
過去分詞+名詞 | ~された状態の○○ | 前置修飾 |
名詞+過去分詞 | ◯◯、それは~された状態の | 後置修飾 |
have+O+過去分詞 | Oを~し終える Oを~される Oを~してもらう |
have+O+過去分詞型 (完了、受け身、使役) |
have+過去分詞 | ~し終えた/~したところだ(完了) ~したことがある(経験) ~した結果(結果) ずっと~だ(継続) |
現在完了形 |
FAQ:過去形と過去分詞の違いは何?
ここでは過去形と過去分詞の違いに焦点をあてて解説し、なぜ規則動詞と不規則動詞という2パターンの変化形があるのかを説明します。
例文7:The bookcase is filled with manga.(本棚はマンガでいっぱいです)
例文の filled は動詞 fill(満たす、いっぱいにする)に ed をつけて派生させた単語です。
filled が動詞として使われる場合は「過去形」と呼びますが、この例文のように動詞以外で使われる場合は「過去分詞」と呼びます。
過去形と過去分詞は「過去に fill(満たす)という行為が行われたこと」を表している点では共通しています。
その違いは過去形として使われる場合は「動作」を表し、過去分詞として使われる場合は「状態」を表しているという点です。
これだけ聞くと不思議な気がするかもしれませんが、実はそんなに複雑なことではありません。
ネイティブは filled を動詞ではない使い方で使いたいと思ったら、そのままマルッと固まり(結果の状態)として扱っているだけなのです。
ここまで分かれば、なぜ全ての動詞を filled のような規則動詞にしなかったのかもわかってきます。
不規則動詞は日常的によく使われる動詞が多いのですが、その理由は日常的に使われるものは「動作」なのか、「状態」なのかが最初から区別されているほうが使い勝手がいいからです。
逆に、日常用語としての頻度が少ないものは過去形と過去分詞が同じ形をしていたほうが、いちいち別の言葉を覚えなくていいから、それはそれで使い勝手がいいということになるわけです。
参考:不規則動詞一覧
# | 現在形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|
~です/~である | be(am, is, are) | was,were | been |
買う | buy | bought | bought |
来る | come | came | come |
する | do, does | did | done |
食べる | eat | ate | eaten |
感じる | feel | felt | felt |
得る | get | got | gotten/got |
行く | go | went | gone |
もっている | have, has | had | had |
保つ | keep | kept | kept |
作る | make | made | made |
読む | read | read | read |
走る | run | ran | run |
言う | say | said | said |
座る | sit | sat | sat |
盗む | steal | stole | stolen |
取る | take | took | taken |
話す | tell | told | told |
考える | think | thought | thought |
書く | write | wrote | written |
【過去分詞関連記事】
●Special Thanks
Danielle Wisen
※本記事執筆にあたって、過去分詞に対するイメージのヒアリング調査にご協力いただきました。
コメント
最後の方の不規則動詞が存在する理由についての記事が非常に興味深かった。得る(get)の過去分詞形が gotten/got 2つあることについて軽くでもふれておいたほうが良いのかなと思った。
全体的な構成が非常に良い。過去分詞のコアイメージ(りんごの図)がとても分かりやすかったです。注釈を示す番号(01と02)が一瞬何を示しているのかわからず、カーソルをあてて気がついた(慣れている人なら容易に分かるだろう)。最後の「まとめ」が一目瞭然なので、最初にもってきてからそれぞれを解説するのもよりわかりやすいかもしれないと感じました。
過去分詞についての多くの人が抱くだろう疑問、それらに対するイラストを含めた説明がわかりやすく書かれていました。英語は得意なほうだったのですが、じっくり読みたい記事です。
とても個人的な感想になりますが、FAQにある過去形と過去分詞の違いの部分がわかりやすかったので、逆にこの部分の説明が最初にあったほうが、過去分詞のイメージをより捉えやすかったような気がしました。また、「過去分詞のコアイメージ」の名で出てくる矢の刺さったりんごのイメージについては、これに対応する英文が載っていたほうがわかりやすかったです。個人的には、過去分詞は訳することよりも使用する(話す/書く)ところに難しさがある気がしているので、練習問題は英作の問題でもよかったかなと思います。
やっぱり、全く、さっぱり分からない。
動作と状態を区別したいのならば、不規則変化の中に、過去形と過去分詞形が同じものがあるのはなぜ?という疑問が残ってしまいました。