英語の受動態の形式と意味をおさらいしましょう!受動態のイメージを元に、文型ごとに受動態の例文(「基本形」「SVOC型」「SVOO型」「進行形の受動態」)を解説しています。また受動態の作り方についてもイラストを交えながら詳しく記載しています。
受動態とは
受動態の形式は「be動詞+過去分詞」です。
例文1:The church was built in 1882.(その教会は1882年に建てられた)
受動態の主な意味は「~される」「~された状態である」です。
受動態が2つの意味を持つのは、過去分詞が動詞(過去の行為)と形容詞(結果の状態)という2つの性質を合わせ持っているためです。動詞のニュアンスが強ければ「~される」になり、形容詞のニュアンスが強ければ「~された状態である」になります。
※過去分詞についての詳細は「過去分詞の意味・用法まとめ」をご参照ください。
受動態の例文解説
受動態の基本形
例文2:The mouse was chased by the cat.(そのネズミはその猫に追いかけられた)
The mouse was chased で「そのネズミは追いかけられた」、by the cat で「その猫によって」となります。
このように by を使うことで「行為者」を表現することができます。
※前置詞 by の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 by のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
例文3:The newspapers are delivered around 5 a.m.(その新聞は朝5時前後に配達されます)
The newspapers are delivered で「その新聞は配達される」、around 5 a.m. で「午前5時前後」となります。
さきほど by を使うことで行為者を表せると述べましたが、この例文のように行為者を表現しないこともよくあります。
SVOC型の受動態 / 主語について述べる語を続ける受動態
例文4:He is called ‘Tomo’ (by his friends).(彼は(友だちに)「トモ」と呼ばれています)
He is called は「彼は呼ばれている」ですが、続く ‘Tomo’ まで called の影響が残ることで「彼はトモと呼ばれている」という意味になります。
イメージ的には、called はターゲットである He を貫通して、He と ‘Tomo’ の間をつないでいるわけです。
※動詞の影響が残ることについては「英語文法の基礎 > 動詞の影響が残る」をご参照ください。
SVOO型の受動態 / 目的語を2つ続ける動詞を使った受動態
例文5:Yamato was sent a Christmas card by Kana.(大和は加奈からのクリスマスカードを受け取った)
Yamato was sent は「大和は送られた」ですが、続く a Christmas card まで sent の影響が残ることで「大和はクリスマスカードを送られた(=受け取った)」という意味になります。
例文6:A Christmas card was sent to Yamato by Kana.(クリスマスカードが加奈から大和宛に送られた)
A Christmas card was sent で「クリスマスカードは送られた」、to Yamato で「大和宛に」となります。
send に代表される授与動詞の最終的なターゲットは「授与するモノ」です。つまり、そこで動詞の影響が終わるわけです。
そのため、その後に宛先を追加したいときは、to のような動きを表す単語で誘導する必要があります。
なお、上の2つの例文は似ているようですが、次の違いがあります。
- 例文5:大和はクリスマスカードを受け取っている。
- 例文6:クリスマスカードは送られているが、大和が受け取ったかは不明。
例文5では、sent が Yamato と a Christmas card をつないでいることから、大和が受け取ったニュアンスをもちます。
一方で例文6では、to が A Christmas card と Yamato の間に距離があるニュアンスを表します。
そのため、大和宛に送られたことは確かですが、届いたかどうかまでは含んでいない表現になるわけです。
進行形の受動態
例文7:The city hall is being rebuilt.(その市役所は建て直されているところです)
The city hall is で「その市役所は○○である」、being で「その○○とは、××が進行している状態である」、rebuilt で「その××とは、建て直されること」となります。
すべてあわせて「その市役所は建て直されることが進行している状態である」なので「その市役所は建て直されているところです」という意味になります。
イメージ的には、being という進行の枠組みのなかに rebuilt が入っている感じです。これによって、まだ rebuilt が完了していないことを表しています。
※現在進行形についての詳細は「現在進行形の意味・用法まとめ」をご参照下さい。
受動態の作り方
ここまで受動態のイメージについて解説してきました。ここでは試験でよく出題される能動態から受動態の作り方について解説しておきます。
基本形(SVO型)の受動態の作り方
例文2’:能動態:The cat chased the mouse.
例文2:受動態:The mouse was chased by the cat.
能動態から受動態を作るときのステップは次のようになります。
ステップ | 能動態 | → | 受動態 |
---|---|---|---|
1 | 目的語 the mouse | → | 主語 The mouse |
2 | 動詞 chased | → | be動詞+過去分詞 was chased |
3 | 主語 The cat | → | by+行為者 by the cat |
SVOC型の受動態の作り方
例文4’:能動態:His friends call him ‘Tomo.’
例文4:受動態:He is called ‘Tomo’ by his friends.
ステップ | 能動態 | → | 受動態 |
---|---|---|---|
1 | 目的語 him | → | 主語 He |
2 | 動詞 call | → | be動詞+過去分詞 is called |
3 | 補語 ‘Tomo’ | → | 補語 ‘Tomo’ |
4 | 主語 His friends | → | by+行為者 by his friends |
能動態において ‘Tomo’ は動詞 call の影響を受ける最終地点です。
そのため、受動態にしたときに動詞 call が過去分詞 called になっても、その影響を受ける位置に補語として ‘Tomo’ を置く必要があります。ここから is called ‘Tomo’ とつながることになります。
SVOO型の受動態の作り方
例文5’:能動態:Kana sent Yamato a Christmas card.
例文5:受動態:Yamato was sent a Christmas card by Kana.
ステップ | 能動態 | → | 受動態 |
---|---|---|---|
1 | 間接目的語 Yamato | → | 主語 Yamato |
2 | 動詞 sent | → | be動詞+過去分詞 was sent |
3 | 直接目的語 a Christmas card | → | 過去分詞の目的語 a Christmas card |
4 | 主語 Kana | → | by+行為者 by Kana |
能動態において a Christmas card は動詞 sent の影響を受ける最終地点です。
そのため、受動態にしたときに動詞 sent が過去分詞 sent になっても、その影響を受ける位置に目的語として a Christmas card を置く必要があります。ここから was sent a Christmas card とつながることになります。
例文6’:能動態:Kana sent Yamato a Christmas card.
例文6:受動態:A Christmas card was sent to Yamato by Kana.
ステップ | 能動態 | → | 受動態 |
---|---|---|---|
1 | 直接目的語 a Christmas card | → | 主語 a Christmas card |
2 | 動詞 sent | → | be動詞+過去分詞 was sent |
3 | 間接目的語 Yamato | → | to+宛先 to Yamato |
4 | 主語 Kana | → | by+行為者 by Kana |
動詞の影響を受ける最終地点である直接目的語 a Christmas card を主語にした場合、a Christmas card was sent で過去分詞 sent の影響は完結することになります。
そのため、間接目的語 Yamato は前置詞で誘導する必要が出てきて、to Yamato となるわけです。
※動詞によっては前置詞は to ではなく、for や of が使われることもあります。
進行形の受動態の作り方
例文7’:能動態:The Council is rebuilding the city hall.
例文7:受動態:The city hall is being rebuilt by the Council.
ステップ | 能動態 | → | 受動態 |
---|---|---|---|
1 | 目的語 the city hall | → | 主語 The city hall |
2 | be動詞+-ing形 is rebuilding | → | be動詞+being+過去分詞 is being rebuilt |
3 | 主語 The Council | → | by+行為者 by the Council |
進行形の受動態を作るには、進行形の部分「be動詞+-ing 形」を「be動詞+being+過去分詞」に変えれば大丈夫です。
受動態のまとめ
受動態は「be動詞+過去分詞」の形式で、「~される、~された状態である」という意味を表します。
例文 | 意味 | 備考 |
---|---|---|
The church was built in 1882. | 建てられた | |
The newspapers are delivered around 5 a.m. | 配達される | 受動態では行為者はよく省略される |
He is called ‘Tomo’. | トモと呼ばれる | called は He と Tomo の間をつなぐ |
Yamato was sent a Christmas card by Kana. | クリスマスカードを送られた | sent の影響が a Christmas card まで残る |
A Christmas card was sent to Yamato by Kana. | 大和宛に送られた | A Christmas card で sent の影響が終わっているので、宛先は to を用いて表す |
The city hall is being rebuilt. | 建て直されているところです | 進行を表す being の枠組みのなかに rebuilt が入っている |
【受動態関連記事】
本記事では「受動態の文型ごとの例文解説と受動態の作り方」を解説しましたが、続編として「日本語と英語における受動態の違い」という記事も公開しております。日本語と英語における受動態の違いから、世界観の違いを解説していますので、ご興味ありましたらぜひどうぞ。
コメント
この記事を読んで受動態を改めて一から学びなおす事ができました。常日頃から受動態というと、~される・されたという所だけにフォーカスしていて、その文がどういう状態を示しているのか等考えることはなかったので、1つ1つの違いがよくわかりました。基本をしっかり押さえるのが大事なのが改めて理解できました。
試験でよく出題される能動態から受動態の作り方というのがとてもよくまとまっていて、どのように作れば良いのか解りやすかったので、そのまま、テスト前に見れば役に立つような素晴らしいまとめ方になっていました。また、例文があること色分けしてあることも解りやすくてよかったです。
受動態の作り方をイラストでわかりやすく解説してあるので、視覚的に覚えられます。基本型・SVOC型・SVOO型、そして進行形の受動態に分けて説明しているので具体的なイメージとして理解できました。
動詞のニュアンスが強ければ「~される」、形容詞が強ければ「~された状態である」というので使い分けられるのは母国語じゃないと把握しにくい感覚だと思いました。学生時代の勉強では点を取りやすい物ではありましたが、ちゃんと考えると用法は多岐にわたっていますね。
受動態といっても用法が多数ある中、その全てを例に挙げて解説されていたのがとても印象的で好感が持てました。能動態との違いもしっかりと説明した上で、基本的なことから応用までを網羅していたので文句なしの記事だと思います。
能動態から受動態の作り方はエクセル関数で作れそうな気がしました。博多弁では先方に『今から来るよ』という言い方をします。気持ちはすでに先方にあり、ボディが後から来るというイメージです。今回の受動態も同様なものと感じました。
試験などで出題頻度がとても高く、重要である受動態の基本について、受動態を構成する過去分詞の性質を交えながら丁寧に解説されていると思います。
SVOO型やSVOC型の受動態の作り方もわかりやすく参考になりました
非常に分かりやすく解説された記事だった。特に、クリスマスカードの例文5と6のニュアンスの違いを説明したところは、理解していそうでしていない人が多いと思うので、よかった。文型に応じた受動態の作り方の図解も、ひとつずつ理解できてともて役立った。
受動態というのは~されるという意味で使われるイメージがありましたが、色々な場面で登場するのですね。このコラムでは受動態の作り方を丁寧に説明しているので、学生はこれを読んで勉強するといいなと思います。色々な形式があって結構難しいなと思いました。
受動態の基本の説明としては、わかりやすくて良かったです。能動態から受動態への変換法が表になっているのも見やすいです。ただ、受動態で私が「ん?」と感じるのは、未来や現在完了、過去完了の文章を作る時なので、ぜひそちらも取り上げてもらえると嬉しいと感じました。