分詞構文に出てくる「付帯状況を表す with」は「~しながら、~して」という意味になりますが、形式「with+O+C」の C には様々な語句が入るのでわかりにくいですよね。この記事では、付帯状況を表す with のイメージを元に、付帯状況を表す with の用法を解説しました。
付帯状況を表す with の形式、意味
まずは付帯状況を表す with が出てくる例文から確認してみましょう。
例文:The dog sat there with his tail waving.(その犬は尻尾をふりながら、そこに座っていた)
この例文は The dog sat there(その犬はそこに座っていた)という状況に、with his tail waving(尻尾は揺れている)状況を付け加えています。
このような表現を「付帯状況を表す with」と呼びます。
付帯状況を表す with 内の構造
フレーズ:with his tail waving(尻尾は揺れている)
his tail は「前置詞 with の目的語」であり、「waving の意味上の主語」にもなっています。
英語では、このような複数の役割を同時にもたせることをよく行うので注意してください。
※日本語では一つの言葉に「目的語・主語」両方の役割をもたせることはないので、このような英文を日本語に訳すときには工夫する必要があります。(例:「その犬はそこに座っていた」+「尻尾は揺れている」→「その犬は尻尾をふりながら、そこに座っていた」)
参考:複数の役割を同時にもたせる例
例文:It is difficult for me to read this book.(この本を読むことは私にとって難しい)
この例文は形式主語で習いますが、me は「前置詞 for の目的語」であり、「to read this book の意味上の主語」にもなっています。
付帯状況を表す with のイメージ
話を戻して、付帯状況を表す with の概略をまとめておきましょう。
付帯状況を表す with は、「with+目的語(O)+補語(C)」という形式で、「ある状況に『O→C』という状況を付け加える」という意味になります。
最初に挙げた例文では、補語(C)に現在分詞 waving が入っていますが、現在分詞以外に過去分詞・形容詞・副詞・前置詞句なども入ります。
それぞれのパターンについて例文を挙げながら確認していきましょう。
付帯状況を表す with の用法
with+O+現在分詞
例文:The dog sat there with his tail waving.(その犬は尻尾をふりながら、そこに座っていた)
既出ですが、この例文は The dog sat there(その犬はそこに座っていた)という状況に、with his tail waving(尻尾は揺れている)状況を付け加えています。
補語(C)に現在分詞 waving が使われている場合は、His tail was waving(彼の尻尾は揺れていた)という能動的なニュアンスが表現されます。
with+O+過去分詞
例文:She was lying on the sofa with her eyes closed.(彼女は目を閉じてソファーで横になっていた)
この例文は She was lying on the sofa(彼女はソファーで横になっていた)という状況に、with her eyes closed(目は閉じられている)状況を付け加えています。
補語(C)に過去分詞 closed が使われている場合は、Her eyes were closed(彼女の目は閉じられていた)という受動的なニュアンスが表現されます。
with+O+形容詞
例文:Don’t speak with your mouth full.(口いっぱいに食べ物を入れたまま、しゃべってはいけません)
この例文は Don’t speak(話してはいけない)という状況に、with your mouth full(口はいっぱいの状態で)という状況を付け加えています。
補語(C)に形容詞 full が入っているわけですが、このような場合は your mouth = full として捉えるとよいでしょう。
with+O+副詞
例文:The dog stood with his tail down between his legs.(その犬は尻尾を両足の間に下ろして立っていた)
この例文は The dog stood(その犬は立っていた)という状況に、with his tail down between his legs(尻尾は両足の間に下ろして)という状況を付け加えています。
補語(C)に副詞句 down between his legs が入っているわけですが、このような場合は his tail = down between his legs として捉えるとよいでしょう。
※犬が両足の間に尻尾を下ろしているポーズは「怯え・恐怖」を感じているサインだと言われています。慣用句「尻尾を巻く」のイメージです。
with+O+前置詞句
例文:She came home with tears in her eyes.(彼女は目に涙を浮かべて家に帰ってきた)
この例文は She came home(彼女は家に帰ってきた)という状況に、with tears in her eyes(涙は目の中にあって)という状況を付け加えています。
補語(C)に前置詞句 in her eyes が入っているわけですが、このような場合は tears = in her eyes として捉えるとよいでしょう。
まとめ
付帯状況を表す with は、「with+目的語(O)+補語(C)」という形式で、「ある状況に『O→C』という状況を付け加える」という意味になります。
形式 | 例文 | 意味 | 注意 |
---|---|---|---|
with+O+現在分詞 | The dog sat there with his tail waving. | その犬は尻尾をふりながら、そこに座っていた | 能動的(尻尾は揺れている) |
with+O+過去分詞 | She was lying on the sofa with her eyes closed. | 彼女は目を閉じてソファーで横になっていた | 受動的(目は閉じられている) |
with+O+形容詞 | Don’t speak with your mouth full. | 口いっぱいに食べ物を入れたまま、しゃべってはいけません | your mouth = full |
with+O+副詞 | The dog stood with his tail down between his legs. | その犬は尻尾を両足の間に下ろして立っていた | his tail = down between his legs |
with+O+前置詞句 | She came home with tears in her eyes. | 彼女は目に涙を浮かべて家に帰ってきた | tears = in her eyes |
【関連記事】
コメント
with+O+Cについて普段から問題なく使えていると感じていましたが、説明をしてと言われると上手くまとめられなかったので、この記事を読んで改めて理解を深められました。特に、Cの所に入るのが現在分詞か過去分詞かは感覚的に選んでいたので、今後は能動的なのか受動的なのか意識するようにしたいです。
“with”だけだと簡単に感じますが、”with+O+C”の付帯状況になるだけで、日本語にはない並びなので難しく感じてしまいます。ただ、コツをつかめば便利な用法だと思います。こちらの記事では丁寧に解説してあるので大変参考になりました。
付帯状況を表すwithは、理解が難しいので、こうしてカテゴライズされていると有り難いなと感じました。特に、with+前置詞節のが説明にあって、良かったです。
付帯状況を表す文法は、数ある文法の中でも一番ややこしくて難しいといっても過言ではないほどレベルの高いものだと思います。そのくらい難しいものでも、こちらの記事ではユーモアかつ簡潔に解説されているのでとても理解しやすい内容でした。また、大切な部分は強調して例題を交えて解説されているところが大変好感を持てました。
「ある状況に『O→C』という状況を付け加える」というのがとても解りやすいまとめになっていて、そのままこの文章を覚えてしまえば、付帯状況を表す with+O+Cは把握することができると感じました。また、イメージを使っての解説もとても理解を助けてくれました。
付帯状況はなかなか自分では使いこなせないので、このように、それぞれの使い方を図解で示して説明してもらえるとすごくわかりやすく理解することができた。この記事では、すごく図解がイメージしやすく良かったと思う。練習問題があるとなおよい。
with+O+Cを使う表現は確かによく出てきますが、この解説記事を読むとwithの後につく品詞などによってニュアンスが違ってくるということがとてもよく理解できました。イラストの解説を見るとイメージがつかみやすいなと思いました。
付帯状況を表す with の用法として、目的語に続く単語が現在分子・過去分詞・形容詞・副詞・前置詞句といろいろあるようですが、文章を見れば意味は理解することができると思いました。ただ、これを自発的に使えるかどうか…ここが難しいところですね。
付帯状況を表す with+O+Cについては、学生時代の英語の授業でも割とすんなり受け入れて理解できたものだと記憶しています。加えると、英語の構文の特徴と言うものが日本語と比べてどう違うか理解するのに一番役立ったぐらい特徴的だと思います。
入試などでも頻出する付帯状況を表すwithについて、図を交えながら代表的な使われ方を解説していて、わかりやすいと思いました。現在分詞や過去分詞を使ったものは特に重要なので、しっかり理解したいと思います。