up to は up to you(あなた次第)が有名ですが、他にもたくさん用法もあります。この記事では up to のコアイメージから、up to の持つ意味・用法(「接近・満たす」「次第」「最大」「予定・企て」「挨拶」)について解説します。
up to のイメージ
まず up のイメージから確認しましょう。up のコアイメージは「上へ向かう」です。
「上へ向かう」動きから、up は「近づいてくる」「完全な状態になる」「活発な状態になる」という主な用法が派生しています。
もう一つの to のコアイメージは「別のところに向かう動き(矢印)とその向かう先にある対象(到達点)」です。
このような up と to が合わさった up to は「接近」「次第」「予定・企て」などの意味・用法をもつようになります。
詳しくは例文で確認していきましょう。
up to の意味・用法
接近・満たす
例文:I walked up to the counter and demanded my money back.(私はカウンターまで歩いていって、お金を返すように要求した)
walk up to the counter は「カウンターまで歩く」という意味。
この up には「近づく」イメージと「完全に触れる」イメージが含まれます。近づいていってカウンターに手を置くような状況が思い描けるわけです。
例文:We believe that our sales manager isn’t up to the job.(私たちは営業部長がその職務水準に達していないと強く思っています)
isn’t up to the job は「職務水準に達していない」という意味。
この up は「完全な状態になる」イメージであり、否定語 not を伴うことで、営業部長として求められている水準を満たしていないことを表しています。
次第
例文:You can pay weekly or monthly – it’s up to you.(支払いは一週間ごとでも一ヶ月ごとでもかまいません。あなた次第ということです。)
up to you は「あなた次第」という意味。
この up も「完全な状態になる」イメージで、あなたが100%決めることができることを表しています。イラストで注いでいるのは、権利のようなイメージで考えるとよいでしょう。
※ この用法は up を「近づける」のイメージでも捉えられます。It’s up to you. で、it をあなたに押し付けることから「あなたに任せる」になるとも考えられます。「完全」「近づける」どちらでもイメージしやすい方で、捉えてもらえればと思います。
最大
例文:The Stadium will hold up to 20,000 spectators.(そのスタジアムは最大2万人を収容できるでしょう)
up to 20,000 spectators は「最大2万人収容」という意味。
この up は「完全な状態になる」イメージで、100%で2万人というラインに達するイメージで捉えるとよいでしょう。
例文:Some international orders may take up to 3 business days to process.(国外からのご注文は手続きまで最大で3営業日頂くことがございます)
up to 3 business days は「最大3営業日」という意味。
3営業日目の日も含んでおり、言い換えれば「3営業日以内」となります。
予定・企て
例文:What are you up to tonight?(今晩、何をする予定なの?)
この up は「活発な状態になる」イメージで、What are you up to? までで「何をしようとしているの?」という意味。
それに tonight が加わることで「今晩、何をしようとしているの?」となり、「今晩、何をする予定なの?」となります。
例文:The children are very quiet. I wonder what they’re up to.(子どもたちがとても静かだわ。何を企んでいるのかしら。)
この up も「活発な状態になる」イメージで、what they’re up to は「彼らが企んでいる何か」という意味。
このような up to は何か良からぬことを企てていそうなときに使われます。
挨拶
例文:What are you up to?(いま何してんの?)
友だちに会ったときの挨拶と話の取っかかりとして使われる表現です。
挨拶は定型文のようなものなので、深く考えずに “Not much.” などと返事をすれば大丈夫です。
※ What are you up to? の意味や答え方について詳しくは「What are you up to? の意味や答え方」をご参照下さい。
まとめ
up to の主な用法は「接近」「次第」「予定・企て」です。
カテゴリ | フレーズ | 意味 | 注意 |
---|---|---|---|
接近・満たす | walk up to the counter | カウンターまで歩く | 近づいていってカウンターに手を置くような状況 |
isn’t up to the job | 職務水準に達していない | 求められている水準を満たしていない | |
次第 | up to you | あなた次第 | あなたが100%決めることができる |
最大 | up to 20,000 spectators | 最大2万人収容 | 100%で2万人というラインに達する |
up to 3 business days | 最大3営業日 | 言い換えれば「3営業日以内」 | |
予定・企て | What are you up to tonight? | 今晩、何をする予定なの? | この up は「活発な状態になる」イメージ |
I wonder what they’re up to. | 何を企んでいるのかしら | 何か良からぬことを企てていそうなときに使われる | |
挨拶 | What are you up to? | いま何してんの? | 挨拶と話の取っかかりとして使われる |
コメント
up to の意味についてupとtoを分けて考えるという発想がなかったので、upとtoそれぞれの意味合いも再確認でき勉強になりました。up toと言うと、「~まで」や「~次第」という使い方しかできてなかったので、接近・満たす、予定・企て、挨拶等の用法も今後使ってみようと思います。
意味や用法などで理解していたとしても、友人に”up to”を日本語で説明してほしいと言われると困ってしまいます。しかし、この記事では丁寧に解説してあるので、ゆっくり読み頭の中を整理すれば理解できる内容だと思いました。
“up to you”や”depend on you”はアメリカ人が好きなフレーズの一つだと思っています。
up toの用法で接近・満たすという発想は頭になかった。walk up toはwalk up「歩み寄る」+to〜「〜まで」という認識しかなかったので、walk とup toで分けるということにちょっと混乱してしまいましたが、自分がイメージしていたものと微妙に違いがあることに気づけて良かったです。
up toの使い方、読んでみましたがいろいろ使い方があるんだなと思いました。イメージ図がありましたがあまりよくわからなかったです。用法のまとめを読んだ方が分かり安いかなと思いました。up toが使われていても意味が分かるようにはなりましたが、使いこなせる自信はまだないなと思いました。
まず、最初の感想は、覚えるのが難しいというものでした。しかし、upとtoを用法イメージで書いてあったので、どのように使うのかがとても覚えやすくなっていると感じましたし、少し学習すれば覚えることができそうだと感じました。
up と to が合わさった up to には接近・満たす、次第、最大、予定・企て、挨拶などのいろいろな用法があるのですね。すごく便利な言葉だと思いました。あまり使ったことがなかったので積極的に使いたいです。
up tpがこんなに沢山の使い方ができるものだなんて思っていませんでしたので、非常にためになる良い記事でした。新たに勉強させていただき感謝しております。
まとめのup to に関する一覧表が、大変簡便でわかりやすい印象を持ちました。その一方、upのコアイメージ「上へ向かう」が派生して「完全な状態になる」「活発な状態になる」という用法が出てくるとの指摘は、首をひねるところがありました。もう少し感覚的捉えられるように、学習を続けてみようと思います。
up to の用法として、「最大」「予定・企て」の用法は知っていましたが、その他の用法はあまり見たことがなく、様々な用法を知ることができて参考になりました。~次第や挨拶など、実用的な場面で使えるものだとわかったので、使いこなせるようになりたいなと思いました。