go home(家に帰る)は中学で習う英語表現ですが、なぜ go to home だとダメなのか説明するのは意外と難しいですよね。
この記事では home のコアイメージを元に、go home と go to home の違いを解説しました。また go to my home は大丈夫な表現ですが、なぜ大丈夫なのか、go home との違いと合わせて解説しています。
home のコアイメージ
home のコアイメージは「普段、住んでいる場所」です。
現代に生きる私たちにとって「外が危ない」という感覚はありませんが、かつては危険と隣り合わせでした。
そんな時代における home とは「落ち着く、快適な場所」であり、また外にいるときには「帰るべき場所」でもあったわけです。
この「帰るべき場所」の感覚から home は「住んでいる場所へ向かう、目的の場所へ向かう」という動きも表すようになりました。
この「場所へ向かう」動きを表す home の関連語には次のようなものがあります。
- homing instinct(鳥などの帰巣本能)
- a homing missile(自動追尾ミサイル)
go home と go to home の違い
例文:They went home.(彼らは住んでいる場所へ帰った)
go は「その場を離れる」です。go には、どこへ向かうのか、その方向性は含まれていないことに注意してください。
次に home は「住んでいる場所へ向かう」です。home によって向かうべき方向が示されるわけです。
home は go の動きを軌道修正(modify)しています。このように「動詞の働きを軌道修正する単語」のことを副詞と呼んでいます。
※副詞についての詳細は「副詞って何?副詞の見分け方や用法・位置を基本から解説!」をご参照ください。
誤文:They went to home.
go to home がダメな理由は、「to の向かう動き」と「home の向かう動き」が重複するからです。
感覚的には、to が指し示す到達点に到着したと思ったら、もう一度 home であっちだよと移動させられるような感じです。
※to についての詳細は「to のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
home には名詞としての「住んでいる場所、自宅」という意味があるのですから、home を名詞として理解すれば、go to homeという表現は成立するのではないでしょうか?
論理的にはありえますが、home に「住んでいる場所へ向かう動き」が含まれているので、それを使わずにわざわざ to で向かう先を表現するのは二度手間になります。
表現としてスッキリしているのは go to home よりも go home であり、その感覚を共有する人が多かったことが、現在 go home という表現がスタンダードになっている理由だと考えられます。
go home と go to my home の違い
そうであるならば、home が名詞として使われるのは、どういうときなのでしょうか?
次の2つの例文を考えてみましょう。
1) Let’s go home.
2) Let’s go to my home.
1) の home は副詞、2) の home は名詞です。どちらも正しい文ですが、例文が表している意味の違い、わかるでしょうか。
1) は「(家族など一緒に住んでいる人たちに対して)自宅に帰ろう」または「(友だちなど一緒に住んでいない人たちに対して)それぞれの自宅に帰ろう」という意味になります。
2) は「みんなで僕の家に行こう」という意味になります。
つまり、home が副詞として使われる場合は「そこにいる人たち、それぞれが思い描く自宅」を表します。
一方で、home が名詞として使われる場合は my などを伴って「誰かの自宅」を表すわけです。
まとめ
表現 | イメージ |
---|---|
(○) go home | その場を離れて、住んでいる場所へ向かう |
(×) go to home | その場を離れて、ある到達点へ向かい、更に住んでいる場所へ向かう ※「toの向かう動き」と「homeの向かう動き」が重複する |
表現 | 意味 |
---|---|
(○) Let’s go home. | (それぞれの)自宅に帰ろう |
(○) Let’s go to my home. | 僕の家に行こう |
コメント
go shopping も to がいらないと記憶しています。
「読者からの質問」コーナーがあったので、さらにわかりやすくなったように思いました。記事を読んでいて「質問したい」と思っていたポイントがずばり出てきたので、かゆいところに手が届く感覚。すっかり忘れていましたが、home は副詞なんですよね。
日常的に使う単語でありながら、学校の授業では今回の記事のような内容を教わったことがないように思います。とてもためになりました。単にtoは要らないと暗記的に覚えるのではなく、コアイメージを用いて単語の意味をしっかりと捉えることで、toが要らない理由をきちんと理解することができました。
homeが「住んでいる場所へ向かう、目的の場所へ向かう」という動きも表すという箇所がとても納得のいく説明で、だからgo homeになるというのが理解できた。また、homeの関連用語も非常に役立つ。こういうちょっとしたインフォメーションが好きな読者は意外と多いと思う。
go to homeでもgo homeでもどっちでもいいのではないかと思っていたので、go to homeとgo homeの違いが明白に解りました。また、toのコアイメージの絵も解りやすく、toについてもとてもよく理解できたという点が良かったです。
最初から難しい記事だと感じました。実際にはgo homeとgo to homeの違いはそんなに難しくないのですが、長文化することで、なんとなく分かりづらくなってしまったのが正直な意見です。ほかの記事のように絵で見てすぐにパッとわかるような素晴らしい記事に比べると、複雑化していて、ちょっとがっかりしました。それでも参考書よりは分かり易いので、普通より上と評価させていただきます。
これまで何度も”go home”を使用してきましたが、ここまで深く考えたことはありませんでした。関連語を見てなるほどと思いました。また、読者からの質問2は誰もが疑問に思うことだと思います。簡潔に解答してあり大変参考になりました
最近英語の勉強を久しぶりに始めました。
昔から疑問だったcome back to homeと言わない理由を何気なく調べてたらこのサイトに来たのですが、すごく分かりやすくてビックリしました。
homeって名詞の意味しかないとばかり思っていたんですが副詞の意味もあったんですね!
衝撃でした。
本も買わせていただきます。
お役に立てたようで何よりです(^^) 英語の勉強、がんばってくださいね。
go は「その場を離れる」との事ですが、go よりもleaveのイメージでした。
leaveのコアも同義でよいのでしょうか?
leave は「何かを残したまま離れる」がコアイメージになります。
例:He left me.(彼は私を振った)
この英文は「彼は私を振った」という意味ですが、「彼が私を残したまま離れていった」とイメージするとわかりやすいと思います。