未来進行形(will be -ing)は未来形とどう違うのかわかりにくいですよね。この記事では、未来進行形のコアイメージを元に、未来進行形の意味・用法(「未来に進行している行為を表す」「自然な成り行きを表す」「丁寧に相手の予定を聞く」)について解説しました。未来形と未来進行形の違いについても説明しています。
未来進行形のコアイメージ
未来進行形の形式は「will+be+現在分詞(-ing)」であり、will と現在分詞が組み合わさっています。ここから未来進行形のコアイメージは「進行している行為を思い描く」となります。
未来進行形の用法は「未来に進行している行為を表す」「自然な成り行きを表す」「丁寧に相手の予定を聞く」です。
具体的な例文を挙げて、未来進行形の用法を確認していきましょう。
未来進行形の意味・用法
未来に進行している行為を表す
例文:We will be watching the soccer game at this time tomorrow.(明日の今頃、私たちはそのサッカーの試合を観戦しているはずです)
will be watching は「観戦しているところだろう」という意味で、未来の時点で進行している行為を思い描いています。
この例文は次のようなシチュエーションで使われます。
会社員A | 夫婦で共通の趣味とかあるの? |
会社員B | サッカー観戦だね。主にテレビでだけど、夫婦で地元のチームを応援しているんだ。 |
会社員A | へぇ~、次はいつ試合があるの? |
会社員B | 明日だよ。(時計を見て)明日の今頃、サッカー観戦をしているはずだよ。(We will be watching the soccer game at this time tomorrow.) |
会社員B さんにとって、このサッカー観戦はミーティングのような厳密な予定ではないけれど、まあそうなるだろうと思っていることです。
地元のサッカーチームを応援しており、明日の今頃に試合がある。だから、サッカー観戦をしているはずだ、という流れになります。
参考:I will be having lunch in Osaka at this time tomorrow.(明日の今頃は大阪でランチを食べているはずです)
will be having lunch は「ランチを食べているところだろう」という意味です。
たとえば「明日のお昼は大阪に出張している」というような理由があり、だから、大阪でランチを食べているはずだ、という流れで用いられます。
自然な成り行きを表す
例文:I’ve packed handkerchiefs and tissues, and I‘ll be wearing my hat. I’m all set!(ハンカチとティッシュは詰めたし、帽子はかぶっているはず。よしっ、準備完了!)※子どもが翌日の遠足の準備をしている場面
will be wearing my hat は「帽子はかぶっているはず」という意味で、自然な成り行きを表しています。
ただ、直訳の「帽子はかぶっているところだろう」とは少し意味が違っていますよね。
この例文が「帽子はかぶっているはず」という自然な成り行きを表すのは「いつも家を出るときに帽子はかぶっていく」というような前提があるからです。
つまり、いつも家を出るときに帽子はかぶっていくから、明日の遠足でも帽子はかぶっているはず、というわけです。
このように未来進行形が表す「自然な成り行き」にはある前提が存在し、その前提からの自然な流れによって「~しているはずだ」と思い描いているわけです。
参考:“When will you be meeting Taro?” – “I‘ll be meeting him at 12 o’clock tomorrow.”(「太郎とはいつ会う予定だっけ?」「明日の12時に会えると思うよ」)
I will be meeting him は「彼とは会うはず」という意味で、自然な成り行きを表しています。
この例文は「太郎と会うこと」は特別に予定されたものではないことを示唆しています。
たとえば、彼らは一緒に働いていて、いつも12時になったら自然に太郎と会っているという前提があった上で、明日も12時に太郎に会えるはずだと思い描いているわけです。
比較:“When are you meeting Taro?” – “I‘m meeting him at 12 o’clock tomorrow.”(「太郎とはいつ会う予定ですか?」「明日の12時に会う予定です」)
I’m meeting him は「彼と会う予定です」という意味です。
現在進行形の場合は、しっかりと太郎との間で調整をしたうえで会う約束をしているニュアンスになります。
丁寧に相手の予定を聞く
例文:Will you be bringing your friend to the bar tonight?(今晩、友だちをそのバーに連れてくる予定でしたか?)
Will you be bringing your friend は「友だちを連れてくる予定でしたか?」という意味で、丁寧に相手の予定を聞いています。
ただ、直訳の「友だちを連れてくるところでしょうか?」とは随分意味が違っていますよね。
この例文が「連れてくる予定でしたか?」という意味になるのは、相手の中に連れてくる前提がありそうだと、話し手が思っているからです。
つまり、相手が友だちを連れてきそうだなと踏まえた上で、話し手は「友だちを連れてくる予定でしたか?」と聞いているわけです。
このように未来進行形の「丁寧に相手の予定を聞く」用法は、相手の中に前提があるだろうと思った上で質問しているというニュアンスになるわけです。
そして、これは相手の前提まで考慮した質問ということになるので、丁寧なニュアンスを表すわけです。
なお、日本語ではこのような丁寧さは過去形にすることで表現するので、日本語訳は「~する予定でしたか?」としています。
参考:Will you be having dinner at home?(自宅で夕食をとる予定でしたか?)
相手が自宅で夕食を取りそうだなと踏まえた上で、話し手は「自宅で夕食をとる予定でしたか?」と聞いているわけです。
たとえば、相手が晩ご飯をよく自炊をしていたり、普段は晩は外食をしないことなどを知った上で聞いている感じですね。
未来形と未来進行形の違い
未来形と未来進行形の違いを確認しておきましょう。
形式 | コアイメージ | 違い | |
---|---|---|---|
未来形 | will | 確信度の高い思い | 行為のスタート(起点)が含まれていない |
未来進行形 | will be -ing | 進行している行為を思い描く | 行為のスタート(起点)が含まれている |
未来形:I will play tennis tomorrow.(明日、テニスをしよう)
未来進行形:I will be playing tennis at this time tomorrow.(明日の今頃、テニスをしているだろう)
未来形は「明日、テニスをすること」を思い浮かべていますが、いつからテニスをし始めるのかは意識されていません。つまり、未来形にはスタート(起点)が含まれていないわけです。
一方で、未来進行形は「明日の今頃、テニスをしていること」を思い浮かべています。これは、いつからテニスをし始めるのか意識されていなければ使えない表現です。つまり、未来進行形にはスタート(起点)が含まれているわけです。
このようにポイントは未来進行形に「進行している行為の起点」が含まれていることです。これは進行形(be -ing)のところから発生しています。
さて、起点として想定しやすいのは「行為の始め」ですね。たとえば、「ジョギングしている行為」に対しては「走り始め」が行為の始めになります。
しかし、英語では進行形の起点として「行為の始め」以外に「行為の理由・前提」も設定することができるのです。
たとえば、「ジョギングをしている行為」に対して「いつもこの時間にジョギングをしているから」のような前提を設定してみましょう。
すると、その前提からの自然な流れとして、未来進行形は「明日のこの時間はジョギングをしているだろう」のような意味を表すことができるようになるのです。
これが未来進行形の「自然な成り行き」を表す用法になっているわけです。
また「行為の理由・前提」は相手への質問として使うと「丁寧に相手の予定を聞く」用法にもなります。
たとえば、「相手はいつもこの時間にジョギングをしていそうだな」と前提を置いた上で、その前提からの自然な流れで「明日のこの時間はジョギングをする予定でしたか?」と聞いたりするときに使うわけです。
こう考えると、進行形が表す「進行」は、この「前提からの自然な流れ」の部分に反映されていると言ってもよいかもしれませんね。
未来進行形の意味・用法まとめ
未来進行形のコアイメージは「進行している行為を思い描く」です。
未来進行形の用法は「未来に進行している行為を表す」「自然な成り行きを表す」「丁寧に相手の予定を聞く」です。
用例 | 例文 | 意味 | 備考 |
---|---|---|---|
未来に進行している行為を表す | We will be watching the soccer game at this time tomorrow. | 明日の今頃、私たちはそのサッカーの試合を観戦しているはずです | まあそうなるだろうと思っていること |
自然な成り行きを表す | I’ll be wearing my hat. | 帽子はかぶっているはず | ある前提が存在し、その前提からの自然な流れによって思い描いている |
丁寧に相手の予定を聞く | Will you be bringing your friend to the bar tonight? | 今晩、友だちをそのバーに連れてくる予定でしたか? | 相手の中に前提があるだろうと思った上で質問している |
【関連記事と簡単な補足】
- will の意味・用法まとめ
- 未来を表す表現の違い
- 現在進行形
- 現在分詞
現在分詞の解説記事で、現在分詞は「スタート(起点・着手済)」以外に「ゴール(未完了)」もニュアンスに含むと解説しています。
この「ゴール」部分のニュアンスが、未来進行形ではほとんど出てきていませんが、その理由は「未来のことは未完了だから」です。
will の中に入った時点で、未完了のニュアンスを表に出す必要がなくなるというわけですね。
コメント
進行している行為を思い描くというコアイメージがとても分かりやすかったです。
日本人には理解しにくい文法の一つだと思います。英語の未来形は日本語にもある感覚ですが、未来進行形は一癖も二癖もある感覚です。私はこれまで教科書通り覚えていましたが、今記事を読み理解度が高まった気がします。例文と丁寧な解説があるので、受験生にはぜひ参考にしてほしいと思います。
未来形と未来進行形は、文法的な違いはわかっていても、意味の厳密な違いがわかっていませんでした。しかし、この記事で、起点が含まれるかどうかが違うということを知ることができ、やっとしっくりきました。ありがとうございます。
毎回かわいいイラストでイメージを絵で示してもらって助かります。これがないと理解するための難易度が非常に高くなると思いますので。
進行している行為の起点というこれまであまり聞いたことがない概念が、英語の未来進行形を理解する上で、ポイントになるというのは、驚きでした。
未来の予定を現す際はwillかbe going toを使いがちだったので、ここで改めてwill beについて学べてよかったです。will be meetingは特に予定されていたわけではない自然の成り行きというのを頭にいれて、will beとbe going toの使い分けをしっかり行っていきたいです。
未来進行形の意味と用法について、3つの用法は理解できたが、未来に進行している行為と自然な成り行きについては、解説を読んでもなかなか区別が付きにくいと感じた。イメージイラストが解説を効果的にサポートしていた。