学校で依頼表現として Will you と Can you を習いましたが、どちらも「~してくれませんか?」という訳で違いがわかりません。Will you と Can you の違いを教えてください。
依頼表現の Will you と Can you、どう違うのかわかりにくいですよね。この記事では、will と can のコアイメージを元に、「Will you …?」「Can you …?」「Would you …?」「Could you …?」の違いについて解説しました。please をつけた場合のニュアンスについても記載しています。
依頼表現の日本語訳一覧
最初に依頼表現 Will you / Can you さらに過去形の Would you / Could you の日本語訳一覧を提示します。
フレーズ | 意味 |
---|---|
Will you …? | ~してくれますか? |
Can you …? | ~してもらえますか? |
Would you …? | ~してくれませんか? |
Could you …? | ~してもらえませんか? |
以下では、どうしてこのような日本語訳になるのか解説していきます。
構成要素のコアイメージ
willのコアイメージ
willのコアイメージは「確信度の高い思い」です。
willの主な用法は「意志」「見通し」「依頼」です。
※助動詞 will の持つイメージ・意味についての詳細は「助動詞 will のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
canのコアイメージ
canのコアイメージは「根拠に基づいた可能性」です。
canの主な用法は「能力」「許可」「依頼」です。
※助動詞 can の持つイメージ・意味についての詳細は「助動詞 can のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
依頼表現の例文解説
Will you …?
例文:Will you go to the supermarket for me?(おつかいに行ってくれますか?)
聞き手に「私のためにおつかいに行く」意志があるかどうかを尋ねており、意味は「~してくれますか?」となります。
will の「確信度の高さ」は、聞き手への依頼内容を鮮明に描くことにつながっており、ストレートな依頼表現になります。
Can you …?
例文:Can you go to the supermarket for me?(おつかいに行ってもらえますか?)
「あなたは私のためにおつかいに行くことは可能ですか?」で「おつかいに行ってもらえますか?」という意味になります。
相手に可能性を聞くことで、「~してもらえますか?」と依頼を表しているわけです。
Will you …?とCan you …?の違い
キーワードは、will が「聞き手の意志」、can が「聞き手の可能性」です。
Can you …? は「普通はやってくれるはず」という前提を置いた上で、「いま可能かどうか」相手に確認しています。
一方で、Will you …? は、特に前提を置かずに「する意志があるかどうか」を尋ねています。
冒頭の答え
テレビのリモコンを取ってもらうことは、大した用事ではなく「普通はやってくれるはず」と考えて差し支えないでしょう。そのため、Can you …? で依頼を出すのが妥当となります。
もちろん、Will you …? で依頼を出すと間違いというわけではありません。ただ、聞き手からすると少し唐突感を覚える可能性はあります。
Would you …?
例文:Would you go to the supermarket for me?(おつかいに行ってくれませんか?)
Would は will の過去形であり、意志を遠回しに聞くことで依頼のニュアンスをやわらげています。意味は「~してくれませんか?」となります。
Could you …?
例文:Could you go to the supermarket for me?(おつかいに行ってもらえませんか?)
Could は can の過去形であり、可能性を遠回しに聞くことで依頼のニュアンスをやわらげています。意味は「~してもらえませんか?」となります。
日本語訳の微妙な違いについて
「~してくれますか?」と「~してもらえますか?」の違い
Will you …? に「~してくれますか?」、Can you …? に「~してもらえますか?」という訳を当てていますが、その違いについて解説します。
例文:おつかいに行ってくれますか?
例文:おつかいに行ってもらえますか?
日本語の「もらえる」は可能を表す「得る(える・うる)」が「もらう」にくっついている言葉です。
そのため「~してもらえますか?」は「してもらうことができるかできないか」と可能性の有無を尋ねていることになります。
一方で「~してくれますか?」は「してくれるかどうか」と意志の有無を尋ねています。
以上から、Will you …? に「~してくれますか?」という日本語を、Can you …? に「~してもらえますか?」という日本語を対応させています。
「~してくれますか?」と「~してくれませんか?」の違い
Will you …? の「~してくれますか?」に対して、Would you …? は「~してくれませんか?」という訳を当てていますが、その理由について解説します。
例文:おつかいに行ってくれますか?
例文:おつかいに行ってくれませんか?
「~してくれませんか?」のような形を否定疑問と言います。日本語では、否定疑問の形を取ることでニュアンスをやわらげることができます。
否定疑問でニュアンスがやわらかくなる理由は、話し手の方からダメな場合をあらかじめ提示することで相手が断りやすくしているためです。どう断りやすいのか、依頼を断ったときに想定される反応から考えてみましょう。
「~してくれますか?」の場合は「断られることは想定していなかった。驚いた」という気持ちが反映された反応を話し手は返してしまいがちです。聞き手としては、そのように反応されてしまうかも…と思うと、断りにくいですよね。
一方で、「~してくれませんか?」の場合は「想定していたけどやっぱりダメだったか。仕方ない」という類の反応を話し手はすることができます。
聞き手としては、このような反応のほうが断りやすいですよね。そのような配慮が見える分だけ丁寧な表現になっているというわけなのです。
pleaseについて
依頼表現はWould you please …?のように、pleaseとセットでよく用いられます。ここではpleaseについても確認しておきましょう。
pleaseのコアイメージ
please のコアイメージは「受け入れてもらう、喜ばせる」です。
ただし、Would you please …? のような形で用いられるpleaseは、if it please youが省略されたものです。
これは「もし、あなたが受け入れてくれるならば」というイメージのもので、「お願いします」というニュアンスを追加します。
※ please についての詳細は「please の本当の意味、ネイティブ感覚について」をご参照下さい。
依頼表現にpleaseを加えた場合
Would you please …?のように、元の依頼表現にpleaseを追加した場合、どのようなニュアンスになるか、日本語訳で確認しておきましょう。
フレーズ | 意味 |
---|---|
Will you …? | ~してくれますか? |
Can you …? | ~してもらえますか? |
Would you …? | ~してくれませんか? |
Could you …? | ~してもらえませんか? |
↓
フレーズ | 意味 |
---|---|
Will you please …? | ~してくださいますか? |
Can you please …? | ~していただけますか? |
Would you please …? | ~してくださいませんか? |
Could you please …? | ~していただけませんか? |
これは日本語の「くれる」を敬語にすると「くださる」に、「もらえる」を敬語にすると「いただける」になるためです。
もちろん、英語の please は「お願いします」という丁寧なニュアンスを追加するもので、動詞を変化させるものではありません。
しかし、日本語で捉えるときには動詞を敬語に変化させるのが自然なので、このような訳を対応させているわけです。
まとめ:Will you / Can you / Would you / Could you の違い
フレーズ | 意味 | 備考 |
---|---|---|
Will you …? | ~してくれますか? | 聞き手の意志を尋ねる 前提なし |
Can you …? | ~してもらえますか? | 聞き手の可能性を尋ねる 前提あり:普通はやってくれるはず |
Would you …? | ~してくれませんか? | Will youをやわらげた表現 |
Could you …? | ~してもらえませんか? | Can youをやわらげた表現 |
pleaseありの場合
フレーズ | 意味 |
---|---|
Will you please …? | ~してくださいますか? |
Can you please …? | ~していただけますか? |
Would you please …? | ~してくださいませんか? |
Could you please …? | ~していただけませんか? |
訳からもわかりますが、知らない人に何かを依頼する場合は、pleaseがついた Would you please …? / Could you please …? を使うのがマナーになります。
それを基準として相手との距離感に応じて、徐々に表現を緩めていくとよいでしょう。
コメント
確かにCan you〜?とWill you 〜?の違いって曖昧にしか理解できていないと改めて実感しました。Willを使った方がお願いの気持ちが強いというのがわかりやすかったです。また、同時にpleaseの説明も付け加えられているのが、実践でも使いやすいと感じました。
凄く良い記事です。私はこのフレーズには自信を持って使い分けていましたが、結局、ちょっと間違っていたことに気が付きました。今回特に良かったのは、日本語の意味の違いまで丁寧に分かり易く解説してくれた事です。おつかいに行ってくれますか?と、おつかいに行ってくれませんか?の違いから理解できた上で、英語の違いを理解することが簡単にできました。このように日本語の違いを改めて記事にしてもらえると分かり易いと感じました。
一番無難な感じがするので、お願いする時はWould youかWould you pleaseを使う事がほとんどです。(後はWould you mind等)Could youはCanの湾曲なのは知っていましたが、知り合いレベル以下の人に使うにはまだダイレクトすぎるかと思い使っていませんでした。今回、改めて、ニュアンスの違いがよく分かったので、状況に応じてWould you、Could you (プラスPlease)を活用していきたいと思います。
助動詞を活用した依頼文というかなりややこしい部類のものではありますが、語源の意味をしっかりと捉えながら分かりやすく説明されていてとても良かったと思います。英語が苦手な人のために、インパクトに残りやすいよう構成されていて好感が持てました。
Will youとCan youの違いは、話し手のお願いと聞き手の可能性という違いだったという説明に驚いたのと同時に納得。wouldとcouldは単純に丁寧表現だと思っていたが、「やわらげる表現」というのにちょっと曖昧さを感じた。丁寧表現は単にpleaseを付けることで、willもcanもwouldもcouldもすべて丁寧になるという点も理解できたが、日本語に訳すとどうしてもその区別が付きにくいと感じた。if it please youはなぜpleasesとならないのか?pleasesと書いているサイトもあった。
こちらの記事を読んで、特にPleaseのところが参考になりました。10年以上英語を勉強してきましたが、Pleaseがif it please youの省略だということを初めて知りました。
また、couldやwouldなどの過去形が、距離をとって丁寧さを表現するということも、とても参考になりました。
canよりwillのほうが丁寧だと思っていたのでWill youが命令に近いと感じるかもしれないとは知りませんでした、驚きました。
それでもCould youやWould youのほうが柔らかいニュアンスがあるというのが少し不思議です。
Will youとCan youは意味が同じで使い分けが不明でしたが、依頼などやってくれるかの可能性で使い分けるのかということがよくわかりました。やってくれる可能性が高いときにWillを、できるかどうかの確認を込めた時にCanを使えばいいのですね。
正直言って今まで、依頼表現の「Will you / Can you 」「 Would you / Could you」 「pleaseあり・なし」について、深く考えたことが無く適当に使っていました。Will you / Can youはどっちでも良く、ちょっと丁寧にpleaseを付けたりして、という具合です。この記事を読んで違いがスッキリと理解できました、何より日本語訳のあて方が非常にわかりやすかったです。
Will youとCan youは確かに違いがよくわかっていなかったのですが、Can youの前提が「相手は特に問題なければやってくれるはず」という言葉がとても解りやすくて、それによって違いを理解することが出来ました。