・try to ~「~しようとする」:過去形にして「~しようとした(でも、実際にはできなかった)」という意味でよく使われる
・try ~ing「試しに~する」:実際にやった場合に使う
try to ~(~しようとする)と try ~ing(試しに~する)の違い、わかりにくいですよね。この記事では、try・to不定詞・動名詞のコアイメージを元に、try to ~ と try ~ing の違いを「過去形の場合」「命令形の場合」「未来形の場合」にわけて解説しました。
構成要素のコアイメージ
try to ~とtry ~ingは try、to不定詞、動名詞から出来上がっているので、それぞれのコアイメージから確認していきましょう。
tryのコアイメージ
tryのコアイメージは「試す」です。
tryには「とりあえず試してみる」ことと「成功するまで忍耐強く試していく」という2つの意味が同居していることに注意してください。
to不定詞のコアイメージ
to不定詞は「to+動詞の原形」であり、toと動詞から成り立っています。
to のコアイメージは「別のところに向かう動き(矢印)とその向かう先にある対象(到達点)」です。
to不定詞の主な意味は「~すること」「~するための」「~するために」です。
なかでも「~すること」は、toによって指し示した先に動作が存在しているというイメージから、対象との間に「距離がある」ニュアンスを含んでいます。
※to不定詞についての詳細は「to不定詞の基本の意味・3用法まとめ」をご参照ください。
動名詞のコアイメージ
動名詞のコアイメージは「まさにその動き」で、代表的な意味は「~すること」です。
動名詞は「一般的にこうだろうと想像される行為」などを表します。
※動名詞についての詳細は「動名詞の意味・用法まとめ」をご参照ください。
try to ~とtry ~ingの違い
過去形(tried to ~とtried ~ing)
例文:He tried to open the box.(彼はその箱を開けようとした)
この例文は「その箱を開けるために忍耐強く様々な手段を試していった」という意味です。
try to ~という表現には、toのもつ「距離がある」イメージから、目的を達するまでに困難があるニュアンスが含まれます。
そのため、tried to openは「開けようとしたが、実際には開けられなかった」という文脈でよく使われます。
※箱を実際に開けた場合は、He opened the box.とシンプルに表現します。それを、わざわざtried to openと表現するということは、ネガティブなことを言いたい可能性が高いというわけです。
例文:He tried opening the box.(彼はその箱を試しに開けてみた)
この例文は「その箱をとりあえず開けてみた」という意味です。
try ~ingには、とりあえず試してみるという気軽さが含まれます。
また日本語訳からもわかるようにtried openingは「実際に開けた」ことも表しています。この点がtried to openと違う点です。
命令形(Try to ~とTry ~ing)
過去形の場合は、実際にやったのか、それともやらなかったのかの違いがあるので、try to ~とtry ~ingも使い分けやすいと思います。
しかし、命令形や未来表現・未来形の場合は、まだ実施していないことなので、やったかやらなかったのかで使い分けるのは難しいですね。
そこで、ここからは命令形と未来表現・未来形、それぞれの場合を確認していきましょう。
A | 買ったばかりのテレビがつかないの… |
B | とりあえずコンセントを入れてみなよ!(Try plugging it in!) |
例文:Try plugging it in!(とりあえずコンセントを入れてみなよ!)
try pluggingは「コンセントを入れること自体には不安がない」「入れた結果、テレビがつくかどうかを確認したい」ときに使います。
「テレビがつかない」という人に対して「とりあえずコンセントを入れてみなよ」と言っているわけで、過去形にあったtry ~ingの「気軽さ」は命令形においても健在です。
A | コードが短くてコンセントに届かないんだけど… |
B | そんなの知らないよ。何とかしてコンセントに入れなさい!(Try to plug it in!) |
例文:Try to plug it in!(何とかしてコンセントに入れなさい!)
try to plugは「コンセントを入れられるかどうか」に焦点が当たっています。
つまり、行為自身が難しい場合に使う表現であり、こちらも過去形にあったtry to ~の「困難さ」がニュアンスに含まれています。
なお、”Try to plug it in.”は少しキツイ言い方です。
相手との関係にもよりますが、普通は “Try moving the TV closer to the power outlet.” のように言います。
未来表現・未来形(will try to ~とwill try ~ing)
A | 料理が上手になりたいんだけど、どうしたら良いと思う? |
B | 何事も経験だよ。失敗しても良いから、今晩から料理をしてみたらどうだい? |
A | わかったわ。晩ごはんをつくってみる。(I’ll try cooking dinner.) |
例文:I‘ll try cooking dinner.(晩ごはんをつくってみるよ)
I’ll try cookingは「料理をすることには不安がない」「料理をした結果、上手くできたかどうかを確認したい」ときに使います。
ここでも、try ~ingの「気軽さ」がニュアンスに含まれています。
A | 体調が悪くて子どものご飯が作れないの。お総菜を買って早く帰ってきてくれない? |
B | ごめん、今日はこれから打ち合わせで、早く帰れそうにないんだ。 |
A | …わかったわ。何とかして晩ごはんをつくることにするわ。(I’ll try to cook dinner somehow.) |
例文:I‘ll try to cook dinner.(何とかして晩ごはんをつくることにするわ)
I’ll try to cookは「料理がちゃんとできるか/料理し終えられるかどうか」に焦点が当たっています。
こちらも、try to ~の「困難さ」がニュアンスに含まれています。
※somehowを加えると「何とかして」のニュアンスがわかりやすくなります。
このように命令形、未来表現・未来形においては、try to ~は「行為自体に焦点が当たり、その行為には困難が含まれる」ニュアンスが含まれます。一方で、try ~ingは「行為の結果に焦点が当たり、行為自体は気軽なものである」ニュアンスになります。
まとめ:try to ~とtry ~ingの違い
tryのコアイメージは「試す」です。
フレーズ | 意味 | 違い |
---|---|---|
tried to open | 開けようとした | 開けられなかった可能性が高い 困難さ |
tried opening | 試しに開けてみた | 実際に開けた 気軽さ |
Try to plug | 何とかして入れなさい | 行為自体に焦点が当たる 困難さ |
Try plugging | とりあえず入れてみな | 行為の結果に焦点が当たる 気軽さ |
will try to cook | 何とかして料理をする | 行為自体に焦点が当たる 困難さ |
will try cooking | 料理をしてみる | 行為の結果に焦点が当たる 気軽さ |
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コメント
別のところへと向かう意味を持つtoを使ったtry to~は、目的を達成するまでに困難があって達成できないことがあることを示す一方で、一般的に想定される行動を示すingを使ったtry~ingは、目的を達成することが容易であることを示す、ということが理解しやすかったです。
try to とtry ~ingの二つの用法は、過去形で使うときや命令形で使うときなどシチュエーションによってそれぞれの使い方や意味合いが違ってくるのが面白いと思った。確かに複雑なので、これは実際に使って慣れるしかないと感じました。
try toは以前から理解していたが、try ~ingは「〜しようと試みた」という訳しか使っていなかったので、[その箱を試しに開けてみた]という訳がとても上手いと思った。こう訳せば、その違いがハッキリ区別をつけることができるのですね。すごくスッキリしました。
英単語が持っている根本をいつものようにイラストを交え、説明しているのは、初学者にとって理解の大きな助けになります。tryという単語そのものが持つ性質と不定詞と動名詞がからんでくると区別するのが大変ですが、イラストを使うと比較的短い時間でわかるものだと実感しました。
try to ~ と try ~ing を使ったの過去形の例文を比較すると、両者にこんなに大きな違いがあるんですね。未来形においても、この「困難さ」と「気軽さ」のニュアンスを覚えていれば、英文を訳すときや話すときに使い分けができそうな気がします。
Very understood the difference between two nuances !
学生時代より”try to do”と”try doing”はよく意味がごちゃごちゃになるのでそのまま暗記していました。この記事を読み、コアイメージを理解した結果、用法をつかんだ気がします。また、過去、現在、未来、命令からなる例文は大変参考になりました。
コンセントの差し込みの会話と、ごはんを作る会話の中での使い訳の説明の仕方がとてもわかりやすかったです。最後のまとめの部分では、気軽なパターンと困難のパターンの書き方が再認識出来たのでとてもよくわかりました。
絵の表現でわかりやすくなりました
Try to~とTry~ingの違いについて改めて勉強になりました。正直、正しく使い分けできてなかった様に思います。会話で、Tryを使うときはI tried.とかI tried to do.がほとんどで、Try ~ingは全く使用していませんでした。例文のI tried opening the box.のような話をする際は、Anyway, I opened the box.のような会話をしていました。(ニュアンスは違いますが)これからは~Ingの表現も取り入れ、会話の幅を広げたいです。
try to ~(~しようとする)とtry ~ing(試しに~する)の意味の違いは、学校で習いましたし、知っていました。でもどちらがどちらの意味なのか混乱することがあります。でもこの記事では、toのコアイメージと~ing(動名詞)のコアイメージが分かりやすく説明されており、それを理解しておけば、今後は混同することはないと思います。とても役立ちました。
今回のtry toとtry ~ingの違いは解説を聞く前の時点でもう比較的わかりやすいイメージがあったと思いますが、will~と未来の話になるといきなりややこしくなる感じがしました。その場合は距離=困難さと変換することで理解できました。
絵がわかりやすい!ありがとうございました!
覚えるために、
try toは副詞的に解釈して〜するために色々(行う行動は複数でもよい)試す→まだ動作は未完了も有り得る
try〜ingは〜することを(行う行動は1つ)試す→動作は完了している。
stop toが副詞的に使用されているのと連動して覚えられるなと思いました。邪道ですか?