stop to ~は「~するために止まった」、stop ~ing は「~することをやめた」という意味ですが、なぜこのような違いが発生しているのでしょうか。この記事では、stop・to不定詞・動名詞のコアイメージを元に、stop to ~ と stop ~ing の違いについて解説しました。
構成要素のコアイメージ
stop to ~とstop ~ingは stop、to不定詞、動名詞から出来上がっているので、それぞれのコアイメージから確認していきましょう。
stopのコアイメージ
stopのコアイメージは「止める」です。
stopは「ふさぐことで、流れをせき止める」ようなイメージの英単語です。
to不定詞のコアイメージ
to不定詞は「to+動詞の原形」であり、toと動詞から成り立っています。
to のコアイメージは「別のところに向かう動き(矢印)とその向かう先にある対象(到達点)」です。
to不定詞の主な意味は「~すること」「~するための」「~するために」です。
※to不定詞についての詳細は「to不定詞の基本の意味・3用法まとめ」をご参照ください。
動名詞のコアイメージ
動名詞のコアイメージは「まさにその動き」で、代表的な意味は「~すること」です。
動名詞は「写真」のように動きを切り取ったイメージで捉えるとわかりやすいでしょう。動名詞については、記事の最後に補足をしています。
stop to smokeとstop smokingの違い
stop to smoke
例文:He stopped to smoke.(彼はタバコを吸うために立ち止まった)
この例文は He stopped / to smoke と区切ることができます。
He stopped は「(それまで歩いていた)彼が立ち止まった」で、to smokeは「タバコを吸うために」という意味です。
区切りは文字にするとわかりにくいですが、実際の英会話では stopped と to smoke の間に一呼吸入るので、割合スムーズに理解できると思います。
なお、訳として(それまで歩いていた)を入れていますが、そのように解釈するためには当然「彼は歩いていた」という文脈が必要です。
つまり、アクションを取り出すと「①彼は歩いていた」→「②彼は歩くのを止めた(=立ち止まった)」→「③(多分)彼はタバコを吸った」という流れになるわけです。
前提となる①の行為として「歩く」以外に、たとえば「書類を書く」とすることもできます。
その場合は、「①彼は書類を書いていた」→「②彼は書類を書くのを止めた」→「③(多分)彼はタバコを吸った」という流れになります。
stop smoking
例文:He stopped smoking.(彼はタバコを吸うのを止めた)
この例文のアクションを取り出すと「①彼はタバコを吸っていた」→「②彼はタバコを吸うのを止めた」となります。
なお、stop smokingは「吸っていたタバコの火を消した」ではなく、「禁煙した」という意味になります。
英語で「タバコの火を消した」と言いたいときは “He put out the cigarette.” と表現します。
stop smokingが「禁煙した」という意味になる理由は、動名詞smokingが「習慣的な行為」を表しているからです。
つまり、それまで習慣的に吸っていたタバコを止めたというわけで、禁煙したという意味になるわけです。
まとめ:stop to ~とstop ~ingの違い
stopのコアイメージは「止める」です。
フレーズ | 意味 | 違い |
---|---|---|
stop to smoke | タバコを吸うためにそれまでの行動を止めた | to不定詞(副詞的用法) |
stop smoking | タバコを吸うのを止めた | 動名詞(習慣的な行為) |
補足:stop smokingとstop walkingの違い
例文:He stopped smoking.(彼はタバコを吸うのを止めた)
例文:He stopped walking.(彼は歩くのを止めた)
この二つに出てくる動名詞smokingとwalkingは働きが微妙に異なっています。
stop smokingの動名詞smokingは「習慣的な行為」を表しており、stop smokingはそのような習慣を止めたという意味です。
一方で、stop walkingの動名詞walkingは「一般的な行為」を表しており、stop walkingはそれまでの行為を止めたという意味です。
動名詞は「写真」のように動きを切り取り、状況をありありと描いたものです。
状況をありありと描くには、何回もその行為を行ったことがあるから思い描けるパターンと、一般的にこうだろうと思い描けるパターンがあり、それぞれが「習慣的な行為」と「一般的な行為」に該当しているわけです。
※動名詞についての詳細は「動名詞の意味・用法まとめ」をご参照ください。
なお、これだけ見ると英語は難しいと思うかもしれませんが、日本語でも同じです。
「タバコを吸うのを止めた」は習慣的な行為を止めたことになりますし、「歩くのを止めた」はそれまでの行為を止めたことになります。このあたり日本語でも英語でも共通していて面白いですね。
【stop to ~とstop ~ingの違い関連記事】
コメント
to不定詞と動名詞、現在分詞という用法が難しい文法ではありますが、英語が苦手な人でも分かりやすいように説明されているのでとても良かったです。特に、重要なところはマーカーされており、覚えるべきところは表でまとめられているので取っ付きやすいなという印象を持ちました。
stop to~の方は「to~」の「~するため」の用法があることから、~するために止まった、というのは理解していましたが、stop ~ingの方は一般的な行為を止めることを意味する以外にも、習慣的な行動を止めるということを意味することは知らなかったので勉強になりました。
“stop to do”と”stop doing”は同じ意味合いの用法もあるのでこれまではその都度辞書を引いていましたが、記事に書いてあるようにコアイメージをしっかり頭の中に叩き込めば、今後もその時のケースで使い分けられるようになると思いました。例文は最高のサンプルでした。
余談ですが、中学生の時”stop”の後ろはdoingになると教えられたのはなんだったのでしょうか?
stop toは未来思考、stop ーingは過去思考と単純に区別していましたが、それでは通り一遍の理解でしかないことがわかる解説記事でした。単純暗記では、英語はよくわからないということです。英文法の体系がすっきり見えてくる感じです。
stopの意味はわかっていましたがその後に何がつくかによって意味が全然違ってくるのですね。toとingの本来の意味を理解していればなんとなく理解できそうな気がしましたがstop to smokeとstop smokingの例でわかりやすかったです。
「習慣的な行為」と「一般的な行為」の違いにまで踏み込んで解説してくれているのが有り難いと思いました。stop〜ingが〜をやめるというのは知っていても、その中で、そういった微妙な違いがあるのは、知らない人が多いと思います。
動名詞は「写真」のように動きを切り取るという表現はわかりやすかったです。習慣的な行為と一般的な行為の日本語と英語での共通点も「なるほど」と納得できるものでした。また、stop to ~ の実際の英会話を注意深く聞いてみたくなりました。
stop toと stop -ingの違いを再認識できました。ストップは日本語でもよく使うので、英語で話す際もつい選びがちな単語ですが、その後に何を続けるのかよく考えないと、まったく異なる意味になってしまうので、ちょっと怖いなと思いました。大人がstopped to walkなんて言ったら、相手に驚かれちゃいそうです。
それぞれの違いを例文のアクションごとに分けて順序立てて説明していたので、非常に分かりやすかった。また、補足のstop smokingとstop walkingの働きについて、こんな微妙な違いがあることがわかり役に立った。
stop to については少しむずかしいなと感じましたが、toのコアイメージを思い浮かべて関連付けることによって理解することが出来ました。stop ~ingについてはとても解りやすく、すぐに理解できました。
タダで教えて下さり、どうもありがとうございました。