「~してもよいですか?」と許可を求める May I …? と Can I …? の用法や、may の推量と can の可能性などは、意味が似ていてどちらを使えばいいのかわかりにくいことがありますよね。
この記事では may と can のコアイメージを元に、may と can の違いを解説しました。May I …? と Can I …? の使い分けも記載しています。
mayのコアイメージ
mayのコアイメージは「上から下への許容」です。
mayの主な用法は「許可」「推量」「祈願」です。
※助動詞 may の持つイメージ・意味についての詳細は「助動詞 may のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
canのコアイメージ
canのコアイメージは話し手が思う「根拠に基づいた可能性」です。
canの主な用法は「能力」「許可」「依頼」です。
※助動詞 can の持つイメージ・意味についての詳細は「助動詞 can のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
許可を求めるMay IとCan Iの違い
許可を求めるMay I
例文:May I smoke?(タバコを吸ってもよろしいでしょうか?)
May I ~?は「私は~してもよろしいでしょうか?」と相手に許可を求める表現です。
mayには上下関係のニュアンスがあり、相手を上に見立てています。丁寧というよりも相手に敬意を払っている感じになります。
可能性を聞くCan I
例文:Can I smoke?(タバコを吸っても大丈夫かな?)
Can I ~?は「私は~できますか?」と相手に対して可能性を聞く表現です。
canはお互いに対等なニュアンスになるので、ざっくばらんな会話でよく使われます。
注意すべきは、この可能性が「話し手自身の可能性」だということです。
つまり、自分のことを聞いているふりをして相手の意向を確認しているわけです。
そのため、言葉に厳密な人に Can I smoke? と聞くと、額面通り「私はタバコを吸うことができますか?」で受け取られることがあります。
その場合 I don’t know, can you? のような返事が返ってくると思いますが、それは先方が「私は知らないよ。あなたはタバコを吸えるの?」と言ってるわけですね。
※このような返答はごくまれなので、そこまで気にする必要はありません。ただし、家庭によっては許可を求めるときは Can I ではなく May I を使うように親が子どもにしつけることはあるそうです。
May IとCan Iの使い分け
May Iは正式に「相手の許可」を求める表現です。
相手にきっちりした印象を与えたい場合は、May Iを使ったほうがよいでしょう。
Can Iは「自分の可能性」を聞く形式で相手の意向を確認する表現です。
相手とくだけた関係である場合は、Can Iを使ったほうが相手に距離感を与えなくて済むでしょう。
mayの推量とcanの可能性・能力の違い
mayが使えて、canが使えない場合
例文:It may rain tomorrow.(明日、雨が降るかもしれない)
mayの表す推量は「ある出来事が想定される(許容範囲内である)」です。
話し手も自信はありませんが、「雨が降るかも」と雨が降ることを想定しているわけです。
誤文:It can rain tomorrow.(天気は明日、雨を降らせることができる)
この例文は「天気は明日、雨を降らせる能力をもっている」という意味です。
しかし、天気はいつでも雨を降らせる能力自体はもっているはずです。
それを明日に限定しているのは聞き手に大変違和感を与えてしまいます。そのため誤文としています。
例文:It can be very rainy in Japan during June.(日本の6月はとても雨が多いことがある)
この例文は「日本の6月がどういうものか経験して知っているので(根拠)、日本の6月の天気はとても雨が多い可能性がある」ことを意味しています。
このように将来のことでも、雨が降りやすい「梅雨時期」のように期間を設定すれば、canで違和感のない文を作ることができます。
It can rain tomorrow.で「明日は雨の可能性がある」という意味にはならないのですか?
日本語訳としては成立しそうに見えますが、残念ながら英語的には「明日は雨の可能性がある」とは解釈されません。
英語では既に述べたように「天気は明日、雨を降らせる能力をもっている」という風に聞こえてしまいます。
canのコアイメージは「それ自身がもつ根拠(実績や要素・能力など)に基づいた可能性」でした。
It can rain tomorrow.を「明日、天気は雨を降らせる可能性がある」と解釈するためには、その前提として「明日がどういう天気になりやすいのか経験して知っている」必要があります。
しかし、当然のことながら、明日という日はまだ誰も経験したことのない日です。
そのため、実績に基づいた可能性を表す(例:雨が降り得る)ようには解釈することができず、能力に基づいた可能性を表している(例:雨を降らせ得る)ようにしか解釈できないというわけなのです。
may, canともに使えるが意味が異なる場合
例文:It may be very hot in this room in the summer.(夏の時期、この部屋はとても暑いかもしれない)
話し手は自信はありませんが、この部屋がとても暑くなることを想定しています。
おそらく話し手は夏の時期にこの部屋で過ごした経験はないのだろうと感じさせる表現です。
この例文が使われる状況を挙げるとすれば、カップルがマンションの購入を検討していて、部屋の特徴(たとえば、窓がないなど)を見たときに言うような場面が考えられます。
※mayはいつも根拠のない推測を表すというわけではありません。mayを使うにあたって根拠のあるなしは関係ないわけです。
例文:It can be very hot in this room in the summer.(夏の時期、この部屋はとても暑くなりえる)
話し手は、夏の時期に時々この部屋がとても暑くなりうるという事実を述べています。
おそらく話し手はこれまでにこの部屋で過ごしたことがあって、夏の時期に時々とても暑くなることがあることを知っているのだろうと感じさせる表現です。
※canのコアイメージに含まれている「それ自身がもつ根拠」として「この部屋の夏の時期における実際の気温」が対応しています。
またcanの「可能性」から「時々(sometimes)」というニュアンスも発生しています。
この例文が使われる状況を挙げるとすれば、オーナーが中古マンションとして購入を希望している人に部屋を案内しているときに、過去の経験に基づいて事実を伝えているような場面が考えられます。
まとめ
用法 | 意味 | 用途 | 備考 |
---|---|---|---|
May I ~? | 私は~してもよろしいでしょうか? | 相手の許可を求める | 上下関係/きっちりした印象 |
Can I ~? | 私は~できますか? | 自分の可能性を聞く形式で相手の意向を確認する | 対等/ざっくばらんな印象 |
may「推量」 | ~かもしれない | ある出来事が想定される | 話し手の推測/話し手は自信がない |
can「可能性」 | ~しえる、~しうる | それ自身がもつ根拠に基づいた可能性 | 事実/時々のニュアンスを含むことがある |
コメント
May Iとcan Iは日本語にすると意味は同じですがニュアンスは全然違うんですね。使う場面を間違えるとこちらの人間性も疑われてしまいますね。may と canを単独で使う場合の意味も忘れていたことがあったので勉強になりました。
May I ~ は相手を上に見て、敬意を払っている表現というのは知っていましたが、can I ~ もそれと同様だと思っていました。後者はざっくばらんな同等の立場で相手に尋ねる言い方なんですね。コアイメージがつかめました。
May I~ と Can I~は翻訳すると似たような意味になりますが、ニュアンス的には相手への敬意を含む・含まないといった違いがあるため、使用する時には相手との関係を意識する必要があると思いました。
mayとcanの違いの説明として、canは根拠に基づいた可能性を意味するというものはとてもしっくりときました。
子供のしつけについては「May I」で教える場合もあると記載がありましたので、わたしはここでMayかCanかの使い分けについてよりよく理解出来ました。日本語でも子供には相手に丁寧に伝えるようにしつけしているので、この部分に下線が引いてあったことは、自分としてはすごくよかったです。
相手にきっちりした印象を与えたい場合はMay I、というような使い分け方法をしっかりと規定していたことによって、覚えやすかったですし、いざ使う時も迷わずに使うことが出来るのではないかと感じました。
May I とCan Iのニュアンスの違いが非常によく分かった。特にCan Iの「自分のことを聞いているふりをして相手の意向を確認している」という表現には納得した。mayが使えて、canが使えない場合の説明で、誤文を示したあとに、正文を提示するやり方は非常に良いと思う。また、最後のmay, canともに使えるが意味が異なる場合はとても分かりやすい良い例だと思う。
mayとcanの両方の用法に許可が含まれるので混乱してもおかしくないんですが、何故か「canのほうがカッチリしたもの」というイメージで何とかなってました。
ですが、Can I~と相手に尋ねる表現の方が、Mayよりもよりざっくばらんなニュアンスなのは面白いと思いました。
“May I ~ ?”と”Can I ~ ?”の違いは、私もほぼ同じ意味合いで受け取っていました。というよりも、なんとなくで使用していました。しかし、「相手の許可」と「自分の可能性」として理解すれば、今後簡単に使用できると思いました。
記事を読んで、何となくmayとcanの違いは理解してても、やはり奥が深いなと思いました。年上の人や余りよく知らない人にはMay I で、親しい仲なら Can Iで大抵大丈夫のような気はしますが、May Iだと堅苦しくなってしまう場合もあるので、臨機応変さが求められるのかなと改めて感じました。
この mayとcanの違いを英語で説明する宿題が出ているのですが、どのようにすればいいのでしょうか?
日本で夕方西の方の黒い雲を見ながら、It can rain tomorrow.は問題ないってことではないですか?あ、あの雲だと明日も雨が降りそうだなぁって、経験に基づく話だから、「文法的にありえない」ってのが気持ち悪いです。特殊な状況だけど、日本ではよくある場面だから、状況によって…….では無いでしょうか
梅雨の話と同じだと思います。