hear は「~を聞く」、hear of は「~のことを聞く」、hear about は「~について聞く」という意味ですが、どう使い分ければよいかわかりますか? hear と hear of と hear about の違いを例文で解説しました。
hear の意味
例文:If you keep quiet, you can hear the birds singing in the garden.(もし静かにしていれば、庭の小鳥のさえずりを聞くことができます)
hear のイメージは「耳に入ってきた音を聞く」です。
どちらかというと受け身的な「聞こえる」というニュアンスで使われやすい単語で、can と共によく用いられます。
参考:Can you hear me?(私の声が聞こえますか?)
hear about の意味
例文:She heard about the decision later.(彼女は後でその決定について知らされた)
hear about は「~について聞く」という意味。
about のイメージは「まわり」なので、その決定に関すること(いつ・誰が決定したのか、また決定の理由や目的など)を聞かされたというニュアンスになります。
参考:Have you heard about the tennis championship taking place in your town?(あなたの街で行われるテニスのチャンピオンシップについて何か聞いていますか?)
hear of の意味
例文:I’ve heard of a job which would be just right for you.(あなたにちょうどぴったりの仕事があると聞いています)
hear of は「~のことを聞く」という意味。ある仕事がある(存在している)と聞いているというニュアンスになります。
ただ、hear of がこのような意味になるのは、普段の of からはなかなか想像しにくいですよね。そこで of について少し解説しましょう。
hear of における of は前置詞ではなく副詞として働いています。副詞の of のコアイメージは「分離・存在を取り出す」です。
今回の hear of a job は、動詞 hear に「ある仕事という存在を取り出す」という of の働きが加えられています。
「ある仕事の存在を取り出して、そのことを聞いている」→「ある仕事があると聞いている」となるわけです。
※副詞 of についての詳細は「of のイメージと意味・用法まとめ > 分離」をご参照下さい。
参考:When he came to this country, he had never heard of cell phones.(彼はこの国にやってきたとき、携帯電話というものの存在を一度も聞いたことがなかった)
練習問題
以下の英文の空欄に当てはまる前置詞として about, of のうち適切なほうを選びなさい。
(1) “Have you heard ( ) Shinichi?” – “Yes, he broke his leg.”
(2) “Have you heard ( ) Shinichi?” – “You mean the man who plays the drums for the pop-group? Yes, I know of him.”
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↓
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■解説
(1) 正解:about
例文:“Have you heard about Shinichi?” – “Yes, he broke his leg.”(「信一について何か聞いている?」「うん、足を折っちゃったんだって」)
Have you heard about Shinichi? は Have you heard the news about Shinichi?(信一に関する近況を聞いていますか?)と置き換えられます。
hear about を使った場合、話し手と聞き手は両方とも信一という人物について知っている前提になります。
(2) 正解:of
例文:“Have you heard of Shinichi?” – “You mean the man who plays the drums for the pop-group? Yes, I know of him.”(「信一って人、聞いたことある?」「あのバンドのドラムをやってる人のこと?うん、名前は知っているよ」)
Have you heard of Shinichi? は Do you know who Shinichi is?(信一が誰なのか知っていますか?)と置き換えられます。
hear of を使った場合、聞き手が信一という人物について知っているかどうかわからない前提で、話し手が質問していることになります。
なお、返答に出てくる know of は「~の名前を知っている」という意味で、こちらの of も「存在を取り出す」ニュアンスを know に加えた用法です。「存在は知っているけれども、それ以上は知らない」というニュアンスになります。
hear / hear about / hear of の違いのまとめ
例文 | 意味 | ポイント |
---|---|---|
you can hear the birds singing | 小鳥のさえずりが聞こえる | can と共によく用いられる |
She heard about the decision | 彼女はその決定について知らされた | その決定に関すること(理由・目的など) |
I’ve heard of a job | ある仕事があると聞いています | ある仕事が存在すること |
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コメント
今までhear about と hear of の使い分けをほとんど意識したことがなかったので非常に勉強になりました。(他の単語を使って表現していました。)
簡単そうで簡単でない単語の使い分け方を知れて本当に為になりました。
例題も問題なく解けましたが、もう少し問題があると、より一層インプットされるのではないかと思いました。
聞くという言葉は日本語でもいろいろなニュアンスを含んでいるのものですが、後に前置詞をつなげる事で使い方が変わってくる英語の方が、使い分け方の面で便利なように思いました。ofとaboutのイメージを把握すれば何とかなると思います。
今まで、of の品詞はと質問された場合、前置詞ですね、と答えれば十分であったと考えていました。もちろん辞書には、of が副詞のケースについての説明はあるでしょうが。
それが原因でhear of の意味がなかなか理解できなかったことが、こちらの解説記事により、はっきり認識できました。
それぞれの意味の違いが分かりやすく解説されていた。特に、hear ofについては、ofのコアイメージを説明することで、「ある仕事の存在を取り出して、そのことを聞いている」→「ある仕事があると聞いている」がよく理解できた。練習問題もよい例文を使っていて、解説もわかりやすかった。
hear of と hear aboutの違いについて、練習問題で日本語でどのように違うのかが実際に書かれていることで、より違いをイメージしやすくなったという点が素晴らしかったです。このように、練習問題で比較し選択できる問題があれば、理解する大きな助けとなってくれると感じました。
heard of の of が前置詞ではなく副詞として働いていることを知り、違和感がなくなりました。存在を取り出すということだったんですね。hear(can と共によく使われる) と hear about については再確認でき勉強になりました。
単語の活用、特に前置詞がくっついている熟語の使い方は極めて難しい印象があります。しかし、こちらの記事はそれぞれの派生をしっかりと説明した上で、インパクトを残しつつ解説されているのでとても分かりやすかったです。素晴らしい記事をたくさん書いてくださっているので、ご尽力に感謝したいです。
hearの後に続く前置詞のことは、今まであまり気にせずに適当に使っていました。aboutとofでニュアンスが違うんだなということが解説を読んでわかりました。また、練習問題の解説でとても理解が深まりました。これからはきちんと使い分けようと思います。
hearとhear of、hear aboutの違いがわかりやすくまとめられていて参考になりました。
特にhear ofがこのようなニュアンスになる理由が、ofが副詞として使われているからであるという説明は納得がいくものでした。
“hear”、”hear of”、”hear about”と、それぞれ例文と詳しい解説があるため大変参考になりました。また、練習問題は記事を理解できたかどうかの復習として利用できました。最後のまとめは受験勉強に最適な気がします。