「彼はお箸で魚を食べたよ」と言いたくて、He ate the fish by chopsticks. と言ったら、正しくは with chopsticks だと教えられました。なぜ by だとダメなのでしょうか?
どうして「お箸で」が with chopsticks になるのか、わかりにくいですよね。この記事では、手段を表す前置詞 by と with の違いを、by と with のコアイメージを元に解説します。by と with の使い分けについても言及しています。
by と with の違いについて
解説の前に、例文をいくつか挙げて確認していきましょう。
例文:He ate the fish with chopsticks.(彼は魚を箸で食べた)
「箸で」が with chopsticks になってますね。これは意味が通じる文章です。
誤文:He ate the fish by chopsticks.
これは with chopsticks を by chopsticks に代えた英文ですが、残念ながら「彼は魚を箸で食べた」という意味にはなりません。この理由はのちほど説明します。
あと by が使える例文も挙げておきましょう。
例文:He goes to school by bus.(彼は学校にバスで行く)
こちらは「バスで」が by bus となっており、意味も通じる英文です。
by と with の一般的な使い分け
by と with の使い分けについては次のように説明されるのが一般的です。
- by:手段によるもの
- with:道具によるもの
chopsticks は道具なので、with chopsticks という表現は上の説明に合っていますね。
しかし、これだけでは「なぜ by chopsticks がダメなのか」がわかりません。なぜならば「chopsticks は手段ではないか?」とも考えられるからです。
そこで、まず by と with のコアイメージを確認してから、描かれる状況がどのように違うのか見てみましょう。
by のコアイメージ
by のコアイメージは「~に寄って」です。
by は、ある状況に至った経緯を表します。つまり、何かに「近寄って・接した」結果、ある状況になった、という一連の流れを表しているわけです。
また A by B で、A が B に接したときに「A は B の影響を受ける」というニュアンスも含んでいます。その影響は B の働きや仕組みによるもので、A の意志とは関係がありません。
※前置詞 by の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 by のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
with のコアイメージ
with のコアイメージは「付随するモノと一緒に存在する」です。
A with B だと「A が主、B が従」という主従関係があることがポイントです。単に一緒だというわけではないのです。
※前置詞 with の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 with のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
by, with の例文のイメージの違い
最初の例文に戻って、イメージを描いてみましょう。
例文:He ate the fish with chopsticks.(彼は魚を箸で食べた)
彼とお箸の間に主従関係があり、彼はお箸をコントロールしています。当然、道具として使っているイメージになります。
例文:He goes to school by bus.(彼は学校にバスで行く)
彼はバスの働きに接して影響を受けています。ただ、いまいちわかりにくいと思いますので、イラストに補助を入れてみましょう。
バスに接する部分をわかりやすく「bus ボタンを押す」と表現しました。このように手段を表す by は利用者がその手段を選んだというニュアンスが含まれます。
ただし、お客さんを運ぶというバスの働きは彼の意志とは無関係です。
誤文:He ate the fish by chopsticks.
この英文を無理やりイメージ化したときの一例(*)が上のイラストになります。
彼はお箸の働きに接して(イラストでは「chopsticks ボタンを押す」と表現)、影響を受けています。食べ物をつかんで運ぶという箸の働きは彼の意志とは無関係です。
「彼は魚を箸で食べた」と言いたいときのイメージとしては不適切であることがわかりますね。
* 手段の by は「移動や輸送の手段」に対して使われることが多いため、ヒアリングしたネイティブのなかには「お箸という乗り物に乗ることによって、魚を食べた」と無理やりイメージした人もいました。
まとめ:by と with の違い
フレーズ | 違い | 補足 |
---|---|---|
by bus | 手段によるもの | 手段のもつ働きや仕組みを利用する (利用者の意志とは無関係な働き) |
with chopsticks | 道具によるもの | 使い手と道具という主従関係がある |
コメント
「彼とお箸の間に主従関係があり、彼はお箸をコントロール」という部分、「彼はバスの働きに接して影響」という部分がすごく当を得ている表現で、withとbyの違いがよく分かった。
日本人は「by」を使う人が多いのだろうと思います。「with」の感覚が分からないのでしょうね。
そのあたりの違いがよく理解できました。「BUSボタン」は無い方がいいようにも思いましたが、あったほうがわかりやすいでしょうか。
個人的には、もう少し他の例文があったら助かるように思いました。
前置詞は英語を勉強するときの壁のひとつだと思います。
英語は苦手ではなかったのですが、これらの前置詞の違いや使い分けは自信がありません。英作文の問題でも、このあたりで迷って時間を取ってしまったことがあります。
byとwithは使い方を混同しやすい単語なので、コアイメージを用いた簡潔な解説は非常にわかりやすかったです。
ただ、「byは手段」と覚えると、「箸で」も手段のように考えてしまう場合もあるような気がしました。練習問題があると、このあたりが繰り返し確認でき、より間違いにくくなるのではないかと感じました。
withとbyの使い分け方はこうすればよいのかととても分かりやすく参考になりました。ただ、ちょっと残念だなぁと思ったのは、イラストの「ボタン」です。理解するのに少々努力がいりました。ではなにが良いのかと考えてみたのですが、よい代案が浮かびませんので、やはりこれで良いのかもしれません。
ところで、読んでいて気になったのですが「タクシー」の場合主従関係が発生しそうなのですが・・・でも手段だからby taxiですよね。でも、利用者の意志と無関係に動くわけでもないし・・と少々気になりました。
byやwithに限らず前置詞の使い分けは英語の勉強で一番悩むところですが、このように図で解説してもらえるととても分かり安いなと思いました。これをよめばbyやwithがうまく使いこなせそうです
説明が多いのでちょっとわかりづらいです。ただ、前置詞の説明は本当に難しいので、その中では良く説明できてるのではないかと思いました。特にwithの説明が良いと思います。
7割程度読み進めるまではよく分かりますが「ボタンを押す」の例えを使ったあたりから飲み込みづらさを感じました。しかし、理解できないことはないので、初心者向けの説明としては十分だと感じます。ただ、初心者向けの記事であっても、byの後の名詞が無冠詞になる理由を少し説明しておいた方がよいかもしれません。なお、個人的には「”using”との違いも説明してほしい」と感じてしまいました。
間違えやすい文法を分かりやすくイラスト入りで解説してくれているので、中学生でも理解できる内容だと思います。
また問題となっている単語や文章には色付けされていたり、他の文例を出して解説してくれているところ等が良いと思います。
特に難しい項目ではないので、記事の量としてはちょうど良いのかなと思った。
最後にby with どちらを使うかの練習問題があっても良いのかなと思った。