英語の学び方

英語の音読は意味がない?効果的な音読のやり方とコツ

この記事は約9分で読めます。

最近、音読の効果についてよく目にするようになりました。

  • 音読は英語の基礎力向上に役立つ
  • 音読することによって英語を英語のまま理解できるようになる
  • 難関大学への進学率が高い学校では音読を取り入れている

しかし、一方で音読のやり方がまずいために、多くの方が音読で挫折してしまっているのも事実です。そこで、この記事ではこれまでの音読の問題点を解説した上で、もっと効果的な音読のやり方やコツをご紹介していきます。

中学英語イメージリンク

音読は意味がない?

まず、これまでの音読の代表的なやり方を振り返っておきましょう。

  • 【1】英文の意味をしっかりと理解する
  • 【2】モデル音声をリピーティングする
  • 【3】英文を100回音読する(最低でも30回以上)

これらを長期間(6ヵ月以上)行うのが、これまでの音読の代表的なやり方です。

音読には英語の基礎力が必要

最初の問題点は「英語の基礎力」です。英文をしっかり理解するためには英文法の知識をある程度知っている必要があります。知識なしでは用語がわからず、調べることさえできないからです。

ここに一番の大きな矛盾があります。音読は「基礎力を向上させる」効果をうたっていますが、基礎力なしには音読をしても意味がないのです。

音読には反復練習を苦にしない素質が必要

次の問題点は「飽き」です。100回同じ英文を音読するだけの忍耐力を要求されていますが、それができる人は限られています。

また、単調な反復作業をこなしつつ、そこから何か新しいことを得ていくには分析的なセンスも必要です。これがなければ、本当にただ声に出しただけになってしまいます。しかし、その分析は学習者のセンスに委ねられているのです。

音読には膨大な時間が必要

最後に「時間」です。英文を100回も音読するとなると、それだけで膨大な時間が必要です。しかし、学生ならともかく社会人はそんな膨大な時間を確保するのは難しいでしょう。

語学習得は蓄積がモノを言うわけですが、これまでの音読では貴重な時間を湯水のように費やして、はじめて果実を得られるようなものだったのです。

音読をする前に英文をイメージと結びつけて理解しておく

では、音読自体がダメなのかというとそうではありません。音読には英語力を向上させる効果があります。問題はどんなやり方であれば、飽きっぽく時間もなく基礎力もない初心者でも続けられるかです。

そのような方におすすめしているのが、音読をする前に「英文をイメージと結びつけて理解する(イメージリンク)」ということです。例文を挙げて、これまでの英文法による理解との違いを確認してみましょう。

これまでの英文法による英文理解

I’m home(ただいま)

homeは場所を表す副詞です。場所を表す副詞は、出来事がどこで起こったのかを説明します。home(家に)なので、”I’m home.” は「私は家にいる」⇒「ただいま」となります。

この説明で納得できる人はそれでいいと思います。しかし、

  • 副詞とは何なのか?
  • そもそも「私は家です」ではないのか?
  • 「私は家にいる」⇒「ただいま」はこじつけではないのか?

など疑問を覚えた方も多いはずです。

また I’m home. を音読するときには、このような解説は何の役にも立ちません。なぜなら「I’m home = ただいま」という固まりでしか理解できないからです。これでは「英文法は英会話の役に立たない」と言われても仕方ありません。

イメージリンクによる英文理解

I’m home(ただいま)

この am は「私はいる(存在する)」という意味で使われています。home はその「私」をそのまま家に移動させています。

「英文をイメージと結びつけて理解する」とは I, am, home それぞれの英単語のイメージから英文全体のイメージを描くことです。

英文がアニメーションのようにイメージできる。そのイメージを再現しながら音読することで、しっかり腹落ちをさせることができるのです。

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効果的な音読のやり方、音読回数

  • 英単語やフレーズとイメージを結びつけて理解する
  • イメージと結びついた英文を音読によって蓄積する

これが効果的な音読のポイントになります。ただ、そう言われてもイメージしにくいと思いますので、ここでは具体的にどのように進めていけばよいかをお伝えしていきます。

【1】話のイメージを描く

最初は「話のイメージを描く」ことが大切です。次の再生ボタンをクリックして、流れてくる音声を聞きながら、どんな話なのかイメージを描いてみてください。(音声は50秒程度)

ここでは、ざっくりとお母さんと子どもの会話で、おつかいを頼まれていることがつかめれば十分です。

【2】モデル音声をリピーティングする

次に「英文を見ながら、モデル音声をリピーティング」します。(参考:リピーティングとは

次のポーズ付き音声をクリックして、ポーズ(無音)のところでモデル音声の真似をしてみてください。(音声は1分20秒程度)

N Taro comes home from school and opens the door enthusiastically.
Taro Mom, I’m home.
Keiko You’re back. You’re just in time. Will you go to the supermarket for me?
Taro Aw, I don’t want to.
Keiko Hanako just fell asleep, and I want to prepare dinner while she’s still sleeping.
Taro Ugh, what a pain.
Keiko (Measuring with her hands) I’d like a bottle of olive oil this big.
Taro Can’t you just use regular oil?
Keiko It has to be olive oil! Here’s some money.
Taro You’re really making me work.
From「A Heartwarming Family」Story.1『Errands』

よく聞き取れないところはリピーティングしにくいと思います。enthusiastically が聞き取れない場合は「opens the door エンスーゴニョゴニョ」のように、ごまかしてリピーティングして構いません

一度リピーティングしたら、日本語訳を見て、よくわからないところを確認します。

太郎が元気良く玄関を開け、学校から帰ってきます。
太郎 ただいま、お母さん。
恵子 おかえり。ちょうどいいところに帰って来たわ。おつかいに行ってくれない?
太郎 え~。やだよ。
恵子 今、花子が寝たところだから、その間に晩御飯、作っちゃいたいのよ。
太郎 もう、めんどくさいな。
恵子 (手でサイズを作り)これぐらいの大きさのオリーブオイルをお願いね。
太郎 別に普通の油でいいじゃん。
恵子 オリーブオイルじゃなきゃダメなの! はい。お金。
太郎 本当に人使い荒いんだから。
「ほのぼの家族」Story.1『おつかい』より

このとき、わからない英単語の意味を調べたくなるかもしれませんが、なるべく調べないようにしておくことをおすすめします。英文ごとに意味がわかるだけで十分だからです。

【3】英文をイメージと結びつける

三番目に英文内の単語とイメージを結びつけます。解説を読んで理解するステップなので、特に何か声に出すものではありません。

be 動詞のコアイメージは「存在する」です。「場」をつくり、主語がそこにあることを表します。

例文:she‘s sleeping.(彼女は寝ています)

このis は「彼女は…という状態です」という意味で使われています。「存在」というよりは「イコール」(she = sleeping)の役目をしています

これは私が制作した英会話教材『英会話の基礎力アップテキスト1』のテキストから抜粋したものですが、英文とイメージを結びつけられるような解説があれば、どの教材を使っても大丈夫です。

【4】音読を3回行う

最後に「英文を見ながら3回音読」をします。モデル音声を思い出しながら音読してみてください。なお、聞き取れなかった音は適当にごまかして構いません。

N Taro comes home from school and opens the door enthusiastically.
Taro Mom, I’m home.
Keiko You’re back. You’re just in time. Will you go to the supermarket for me?
Taro Aw, I don’t want to.
Keiko Hanako just fell asleep, and I want to prepare dinner while she’s still sleeping.
Taro Ugh, what a pain.
Keiko (Measuring with her hands) I’d like a bottle of olive oil this big.
Taro Can’t you just use regular oil?
Keiko It has to be olive oil! Here’s some money.
Taro You’re really making me work.
From「A Heartwarming Family」Story.1『Errands』

イメージと結びつけた英文(下線部)のところは、ゆっくり音読して、単語ごとに対応するイメージを思い浮かべるようにします。

その日の学習で、その英文だけは記憶に残るように意識するとメリハリがついてよいでしょう。

まとめ:効果的な音読のやり方・コツ

効果的な音読方法のポイントは次の2点です。

  • 英単語やフレーズとイメージを結びつけて理解する
  • イメージと結びついた英文を音読によって蓄積する

具体的な音読のやり方は次の4ステップです。

  • 【1】話の全体イメージを描く
  • 【2】モデル音声をリピーティングする
  • 【3】英文をイメージと結びつける
  • 【4】全体の音読を3回行う

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