英文法

動名詞の意味と用法、to不定詞との違いを徹底解説!

この記事は約9分で読めます。

動名詞とは何者なのでしょうか。動名詞のコアイメージを元に、動名詞の意味・用法(「主語としての動名詞」「目的語としての動名詞」「前置詞の目的語としての動名詞」)について解説します。また動名詞と to不定詞の違いについても詳しく記載しています。

中学英語イメージリンク

動名詞のコアイメージ

動名詞とは動詞を -ing 形にしたもので、動詞に名詞の性質を加えたものです。そのため意味は「~すること」となります。

 

動名詞のコアイメージは「まさにその動き」です。

動名詞は何か行動しているところを写真で切り取ったようなイメージで捉えるとよいでしょう。

 

動名詞は「写真」のように状況をありありと描くことから、「過去に経験したこと、習慣的な行為」や「一般的にこうだろうと想像される行為」に対してよく用いられます。

動名詞は名詞の働きをもつので、英文内では主語目的語などになります。動名詞の用法については例文で確認していきましょう。

 

動名詞の用法

主語としての動名詞

例文:Talking in the library is prohibited.(図書館でのおしゃべりは禁止されていますよ)

例文では Talking in the library が「図書館でおしゃべりすること」という意味で、主語になっています。

イメージとしては、図書館でおしゃべりをしているところを写真のように切り取ったイメージです。

この例文は、いままさにおしゃべりしている人に向かって直接注意するときに使われます

 

【比較】主語としての to不定詞

例文:To talk in the library is prohobited.(図書館でのおしゃべり禁止)

To talk in the library は「図書館でのおしゃべり」であり、こちらも名詞の固まりとして主語になっています。

イメージとしては、to によって指し示した先に「図書館でおしゃべりをすること」が存在しているイメージです。この例文は禁止事項が記載された注意書きのような感じです。

動名詞と to不定詞の違いについては、後ほど詳しく確認します。

 

目的語としての動名詞

例文:I like walking in the rain.(雨の中、歩くことが好きです)

walking in the rain は「雨の中を歩くこと」という意味で、動詞 like の目的語になっています。

この例文の動詞は like(~を好む)なので、「雨の中の散歩」は「習慣的な行為」であると考えられます。

つまり、この例文には「私は実際にたびたび雨の中を散歩している」ニュアンスが含まれているというわけです。

 

前置詞の目的語としての動名詞

例文:She is good at baking cookies.(彼女はクッキーを焼くことが上手です)

baking cookies は「クッキーを焼くこと」という意味で、前置詞 at の目的語になっています。

動名詞 baking cookies は「一般的なクッキーを焼くという行為」を表しています。

 

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動名詞と to不定詞の違い

ここまで動名詞の意味・用法について述べてきましたが、ここからは動名詞と to不定詞の違いについて解説していきます。最初によくある質問を挙げておきましょう。

動名詞と to不定詞の違いは何ですか?

動名詞と to不定詞はどちらも「~すること」と訳せると思うのですが、実際の英文ではどちらかしか使えなかったり、両方使えたとしてもニュアンスが違っていると言われたりして、よくわからなくなってしまいました。動名詞と to不定詞の違いを教えてください。

to不定詞について

to不定詞は「to+動詞の原形」であり、to と動詞から成り立っています。重要な働きをするのは to の方なので、to のイメージを確認しておきましょう。

 

to のコアイメージは「別のところに向かう動き(矢印)とその向かう先にある対象(到達点)」です。

to不定詞の名詞的用法は to do で「~すること」という意味になりますが、「to で指し示した先に do という行為がある」というイメージから「これから~すること(将来)」や「~することになれば(条件)」というニュアンスをよく伴います。

※to不定詞についての詳細は「to不定詞の基本の意味・3用法まとめ」をご参照ください。

 

以上より「動名詞と to不定詞の違い」のポイントは次のようになります。

  • 動名詞:行為そのもの
  • to不定詞(名詞的用法):先にある行為

このことを例文で確認していきましょう。

 

To see is to believe と Seeing is believing の違い

太郎 そういえばさぁ、学校の横に用水路あるだろ?あそこに亀がいるの知ってる?
信一 えー、まじで?いくらなんでも嘘だろ。あんなところに亀なんているはずないよ。
太郎 いやいや、俺も実際に見たんだって。じゃあ、放課後、見に行こうぜ。百聞は一見にしかずって言うだろ。(To see is to believe, as they say.)
信一 オーケー。
(放課後)
太郎 ほらっ!あそこにいるだろ!?
信一 ホントだ。こんなところにもいるもんなんだなぁ。百聞は一見にしかずだな。(Seeing is believing.)

 

日本語訳は同じ「百聞は一見にしかず」ですが、英文のほうは to不定詞と動名詞で違っていますね。それぞれの英文をイメージで確認してみましょう。

 

To see is to believe.

例文:To see is to believe.(見たら確かにそうだと信じることになるよ)

to see は「見ることになれば」、is to believe は「確かにそうだと信じることになる」という意味です。

これらの意味は、to の「指し示した先に行為が存在している」というイメージから発生しています。

 

なお、この表現は「実際に見てみないで、聞くだけだったり読むだけだったら、信じるところまではいかない」というニュアンスも含んでいます。

to によって動作まで距離がある感じになり、他の選択肢を考慮する余地が生まれているわけです。

 

Seeing is believing.

例文:Seeing is believing.(見たことは確かにそうだと信じているよ)

seeing は「見たこと」、believing は「確かにそうだと信じていること」という意味です。このように経験したことは動名詞のほうがしっくりきます

※なお、believing という表現は「実際に確かにそうだなと信じている」と解釈することもできますが、どちらかというと Seeing に合わせて believing になっているという側面が強いです。

 

なお、to不定詞も動名詞も日本語としては同じ「百聞は一見にしかず」を当てることができます。

その理由は、未経験の場合は「百聞は一見にしかずって言うだろ」のように使うことができ、経験済みの場合は「百聞は一見にしかずだな」のように使うことができるからです。

日本語は語尾を変えることで、どちらの場合にも使えるということですね。

 

like to ~ と like ~ing の違い

like to play

例文:I like to play baseball.(私は野球をすることが好きだ)

like to play は「野球をすることが好き」という意味です。

to で指し示された先に play baseball(野球をする)が存在しているイメージです。

 

like playing

例文:I like playing baseball.(私は野球をするのが好きです)

like playing は「野球をするのが好き」という意味です。

playing baseball によって描かれた「まさに野球をしている状況」、そんな状況が好きだと言っているわけです。

 

like to playとlike playingの違い

like to play と like playing は同じ意味で基本的に交換可能です。しかし、両者のイメージを確認すると、微妙に異なっていることがご納得頂けたのではないかと思います。

あえて両者の違いを挙げるならば、次のようになります。

 

like to play baseball のほうは to の存在によって play baseball との間に少し距離がある感じになっています。また to の指し示すイメージから未来志向(これから)のニュアンスが含まれます。

like playing baseball のほうは野球をしている状況の中にいるような感じです。過去の経験によってそのような状況を描いているという意味で、習慣的なことというニュアンスが含まれます。

 

動名詞と to不定詞のどちらも目的語に取れるが意味が異なる動詞

動詞 like では動名詞でも to不定詞でも意味が同じになりましたが、ここでは動名詞と to不定詞で意味が変わってしまう動詞を挙げておきます。

 

動詞+動名詞 または to不定詞 意味 違い
remember ~ing ~したことを覚えている 経験済みのこと
remember to ~ ~することを覚えている これからのこと
regret ~ing ~したことを後悔している 経験済みのこと
regret to ~ 残念ながら~しなければならない これからのこと
forget ~ing ~したことを忘れる 経験済みのこと
forget to ~ ~することを忘れる これからのこと
tried ~ing 試しに~してみた 実際にやってみた
tried to ~ ~しようとした 実際にはやらなかった可能性が高い

 

なお、目的語として動名詞と to不定詞のどちらかしか取らない動詞については、イメージと結びつけるよりはフレーズとして覚えてしまう方が英会話においては実用的です。

それらを一度に覚えようとすると大変ですので、出会うたびに一つずつおさえていって頂ければと思います。

 

英会話イメージトレース体得法

まとめ:動名詞について

動名詞のコアイメージは「まさにその動き」で、意味は「~すること」です。

動名詞は「過去に経験したこと、習慣的な行為」や「一般的にこうだろうと想像される行為」に対してよく用いられます。

 

■動名詞の意味と用法

英文 働き この英文における注意点
Talking in the library is prohibited. 主語としての動名詞
I like walking in the rain. 目的語としての動名詞 「習慣的な行為」を表している
She is good at baking cookies. 前置詞の目的語としての動名詞 「一般的な行為」を表している

 

■動名詞と to不定詞の違いのポイント

  • 動名詞:行為そのもの(状況が描けること、経験済みのこと):過去志向
  • to不定詞(名詞的用法):先にある行為(距離があること、これからのこと):未来志向

 

【動名詞関連記事】

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  • 読みやすいように編集しました。
  • 記事中に広告がありません。
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また電子書籍なので、キーワードで横断的に検索することができます。リファレンス用などとしてぜひご活用ください。

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コメント

  1. まき より:

    動名詞とto不定詞はあまり意識したことがなかったですが意味がとてもよく似ていますね。今まであまり考えずに使っていましたがこのコラムの解説で使い分けのイメージがつかめました。動名詞は実際にやったことでto不定詞はこれからやろうとしていることややらなかった可能性の高いことという解説がとても分かり安かったです。

  2. 葉月 より:

    Seeing / To see is believing / to believe や like to / like playing のニュアンスの違いの説明が非常に分かりやすく、その後の「動名詞とto不定詞のどちらも目的語に取れるが意味が異なる動詞」も一覧で確認できて役に立った。

  3. バロン より:

    今回一番理解できた部分は、動名詞は行動している場面を切り取ったものという文章とイラストです。特にコアイメージのイラストが印象的でとても分かりやすいなと思いました。

  4. じゃがじゃが より:

    動名詞とto 不定詞については、完全に同じものとして扱っていいように教わった記憶があります。が、toのコアイメージである「向かう動きとその対象」を考えると全く同じなわけがないんですよね。先にある行為、というニュアンスは盲点でした。

  5. スタミナ太郎 より:

    ~ingとto~の違いは漠然としか分かっていなかったので勉強になりました。コアイメージから英語を説き起こすというのは本当によいやり方だと思います。学生の頃にこういう英語教育を受けたかったです。

  6. ボヤッキー より:

    動名詞とto不定詞の使い方はそこまで意識したことがなかったですが、「百聞は一見にしかず」や「~することが好き」の説明から、to不定詞よりも動名詞の方が行為との距離が短いというイメージを理解できました。

  7. さやか より:

    動名詞とTO不定詞の利用法について再確認することができました。今まで、LIKEの後に動名詞をつけるか不定詞にするか、感覚的に使い分ける事が多かったのですが、今後はニュアンスに合わせて適切な言葉を選べそうです。

  8. 匿名希望 より:

    文章を読んで理解したと感じていてもそれを確かめる手段がないので、練習問題はとても役に立つと感じました。練習問題をもっとたくさん増やしてほしいです。

  9. にゃんダフル より:

    動名詞は何か行動しているところを写真で切り取ったような「まさにその動き」と記事に書いてありましたが、大変イメージしやすかったです。

  10. にゃんきち より:

    使役動詞のとき、どうしてto不定詞ではなく原型を置くのか、形式目的語の時はtoがなぜ復活するのか教えてほしいです!
    宜しくお願い致します!

    • 遠藤雅義(Endo Masayoshi) より:

      使役動詞(使役構文)で to不定詞ではなく動詞の原形が使われている(使われるようになった)理由について、以下の記事で解説しておりますので、ご覧ください。

      英会話イメージリンク習得法 §9-4 静・動で英文を理解する – 【5】使役構文
      https://www.english-speaking.jp/imagelink-chap9-section4/#5
      ※期間限定で無料公開している記事です。無料公開が終わっていたら、書籍のほうでご確認頂けると幸いです。

      要点を取り出すと、基本的に to不定詞を用いて表現していたけれど、よく使われる使役構文については「聞き慣れている表現だから、もうtoはなくても理解できるだろう」と判断されて省略されていった、と考えています。

      逆に言えば、それ以外の形式目的語などの構文については、いまのところ「to不定詞を用いないとわからないだろう」と判断されており、基本通りに to不定詞が使われているということなのだと思います。

  11. 小間坂和一 より:

    動名詞は過去の経験的事実なので、「客観的」、不定詞はこれから先の未来を表し、未実現なので「主観的」ではないのでしょうか。説明では逆になっているように思います。私が間違っているかもしれません。私も徳島出身です。高齢者ですが、いまだに英語を楽しんでいます。

    • 遠藤雅義(Endo Masayoshi) より:

      記事をご覧いただいてありがとうございます!(ご同郷とのありがとうございます!) さて、ご指摘の件を拝読して、以下の部分の表現について少し考えてみました。

      like to play baseball のほうは to の存在によって play baseball との間に少し距離があり、その分だけ客観的な表現になっています。また to の指し示すイメージから未来志向(これから)のニュアンスが含まれます。

      like playing baseball のほうは野球をしている状況の中にいるような感じであり、その分だけ主観的な表現になっています。過去の経験によってそのような状況を描いているという意味で、習慣的なことというニュアンスが含まれます。

      ここで「客観的」「主観的」という表現を使っていますが、述べたいことは「to不定詞=これからのこと」「動名詞=これまでのこと」という傾向があることですね。

      記事を執筆した当時(2018年)から主観・客観の違いについては、他の記事でもご指摘を頂くことがあり、お読み頂く方によって捉え方が異なっているのだな……と感じさせられることがあり、最近ではこの表現をなるべく使わないようにしました。そのため、本記事についても次のように表現を変更することにいたしました。

      like to play baseball のほうは to の存在によって play baseball との間に少し距離がある感じになっています。また to の指し示すイメージから未来志向(これから)のニュアンスが含まれます。

      like playing baseball のほうは野球をしている状況の中にいるような感じです。過去の経験によってそのような状況を描いているという意味で、習慣的なことというニュアンスが含まれます。

      主観・客観について述べたい意図だったのではないので、「to不定詞=これからのこと」「動名詞=これまでのこと」ということでご理解いただければと思います。ご不明な点などございましたら、お気兼ねなくお知らせください。

  12. 小間坂和一 より:

    すぐに返事をいただきありがとうございました。これから楽しみにしています。

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