現在分詞とは何者なのでしょうか。現在分詞のコアイメージを元に、現在分詞の意味・用法(「現在進行形など補語になる現在分詞」「前置修飾」「後置修飾」「see+O+現在分詞」「副詞としての現在分詞」)について解説します。また現在分詞と過去分詞の違いについても記載しています。
現在分詞の形
現在分詞は「動詞の原形+ing形」という形をしています。
# | 原形 | 現在分詞 | 過去分詞 |
---|---|---|---|
する | do | doing | done |
洗う | wash | washing | washed |
走る | run | running | run |
過去分詞は「動詞の原形+ed形」以外にも様々な不規則活用をしますが、現在分詞はすべて「動詞の原形+ing形」で規則的な活用をします。
現在分詞の意味・コアイメージ
現在分詞のコアイメージは「進行、ライブ感」です。
現在分詞の代表的な意味は「~しているところ」となります。
現在分詞と過去分詞の違い
現在分詞と対比される過去分詞についても簡単に確認しておきましょう。
過去分詞のコアイメージは「過去の行為による結果の状態」です。
過去分詞には「~された(受け身)」「~し終えた(完了)」という2つの意味がありますが、共通しているのは「行為が完了していること」です。
※過去分詞についての詳細は「過去分詞とは?過去分詞の意味・用法まとめ」をご参照ください。
一方、現在分詞のコアイメージは「進行、ライブ感」ですが、これは「未完了(行為が完了していないこと)」を表しています。
「~しているところ」という意味からは進行している行為に焦点が当たりがちですが、「未完了」というニュアンスも含んでいることに注意してください。
現在分詞の用法
補語になる現在分詞
進行形(be動詞+現在分詞)
例文:He was reading the book.(彼はその本を読んでいるところでした)
「be動詞+現在分詞」の形式は進行形と呼ばれ、意味は「~しているところ」です。
例文は、彼が既に本を読みはじめていて、まだ読み終えていない状況だったことを表しています。
※現在進行形についての詳細は「現在進行形の意味・用法まとめ」をご参照ください。
SVC型(keep+現在分詞)
例文:He kept reading the book.(彼はそのままその本を読み続けた)
「keep+現在分詞」の意味は「そのまま~し続ける」です。
たとえば、本を読んでいたら夜遅くなって寝る時間になったけれど、そのまま本を読み続けていたようなイメージです。
SVOC型(keep+O+現在分詞)
例文:He kept me waiting for thirty minutes.(彼は私をそのまま30分間待たせ続けた)
「keep+O+現在分詞」の意味は「Oをそのまま~させ続ける」です。
彼のせいで私はそのままずっと待ち続けているようなイメージであり、その時間は30分間だったというわけです。
現在分詞の前置修飾
例文:Look at the walking boy.(あの歩いている男の子を見て)
「現在分詞+名詞」の形式を、現在分詞の前置修飾と呼びます。意味は「~しているところの…(名詞)」です。
例文は、まさにいま歩いているところの男の子というイメージです。
現在分詞の後置修飾
例文:The man driving the bus is my brother.(あのバスを運転しているところの男性は僕の兄弟です)
「名詞+現在分詞」の形式を、現在分詞の後置修飾と呼びます。意味は「…(名詞)、それは~しているところの」です。
例文は、まさにいま運転しているところの男性というイメージになります。
see+O+現在分詞
例文:He saw Taro walking ahead.(彼は太郎が前方を歩いているところを見た)
「see+O+現在分詞」の意味は「~しているところのOを見る」です。
まさにそのとき前方を太郎が歩いているところだったというイメージです。
【比較】see+O+動詞の原形
例文:He saw Taro walk ahead.(彼は太郎が前方に歩いていった一部始終を見た)
「see+O+現在分詞」とよく比較されるのが「see+O+動詞の原形」で、意味は「~したOを見る」です。
このように動詞の原形が使われた場合、歩くという動作の一部始終を表すイメージになります。
またwalking aheadは「前方を歩いているところ」でしたが、walk aheadは「前方に歩いていった」となります。
walking aheadだと、まさに歩いているところを切り取っているのでaheadも「前方を」という歩いている場所を表しますが、walk aheadは歩く動作の一部始終なのでaheadは「前方に」という歩く方向を表す意味になるわけです。
以上から例文は、太郎が後方からやってきて、前方に歩いていき、そのまま姿を消したという一連の流れ(一部始終)を見たという意味になります。
※話し手の状況として「see+O+動詞の原形」はある程度の時間、太郎の移動を眺めています。一方で「see+O+現在分詞」は一瞬見ただけでも大丈夫です。なお、話し手が立ち止まって見たのか、または歩きながら見たのかは、この例文だけではわかりません。
副詞としての現在分詞
例文:They walked laughing into the room.(彼らは笑いながらその部屋に入っていった)
walked into the room(その部屋に歩いて入っていった)にlaughing(笑いながら)を上乗せすることでwalked laughing into the room(笑いながらその部屋に歩いて入っていった)となります。
walkという移動を表す動詞にlaughingという動きを追加・上乗せしているわけです。
このように動詞の意味を修正・更新するものを「副詞」と呼びます。現在分詞が副詞として用いられる場合、状態(形容詞)よりも動き(動詞)のニュアンスのほうが強くなります。
※副詞についての詳細は「副詞とは?副詞の見分け方や用法・位置を基本から解説!」をご参照ください。
まとめ:現在分詞とは
現在分詞は「動詞の原形+ing形」という形で、コアイメージは「進行、ライブ感」、代表的な意味は「~しているところ」です。
形式 | 意味 | 文法用語 |
---|---|---|
be動詞+現在分詞 | ~しているところ | 進行形 |
keep+現在分詞 | そのまま~し続ける | SVC型 |
keep+O+現在分詞 | Oをそのまま~させ続ける | SVOC型 |
現在分詞+名詞 | ~しているところの…(名詞) | 現在分詞の前置修飾 |
名詞+現在分詞 | …(名詞)、それは~しているところの | 現在分詞の後置修飾 |
see+O+現在分詞 | ~しているところのOを見る | 知覚動詞+O+現在分詞 |
移動・往来を表す動詞+現在分詞 | ~しながら…する | 副詞としての現在分詞 |
参考:現在分詞(動詞のing形)の作り方
現在分詞の作り方について一覧表を挙げておきますので、参考にしてください。
動詞の原形 | 現在分詞(ing形) | |
---|---|---|
一般的な動詞 | play | playing |
read | reading | |
look | looking | |
語尾が「子音+e」 | take | taking |
write | writing | |
use | using | |
語尾が「短母音+子音」 | sit | sitting |
run | running | |
swim | swimming | |
(例外) | listen | listening |
visit | visiting | |
語尾が「ie」 | die | dying |
lie | lying |
語尾が「子音+e」の場合
take や write のように語尾が「子音+e」となっている場合は、語尾の e を取って ing をつけます。(例:take → taking)
語尾が「短母音+子音」の場合
sit や run のように語尾が「短母音+子音」となっている場合は、語尾の子音を重ねて ing をつけます。(例:sit → sitting)
※短母音とは音を伸ばしたり重ねたりせず、短く読む母音(あ・い・う・え・お)のことです。
語尾が「短母音+子音」の場合の例外
listen や visit のように語尾が「短母音+子音」となっているにも関わらず、語尾の子音を重ねない例外もあります。(例:listen → listening)
このような例外は数がそこまで多くないので、暗記してしまうことをおすすめします。
語尾が「ie」の場合
die や lie のように語尾が「ie」となっている場合は、ie を ying とします。(例:die → dying)
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コメント
現在分詞の色々な用法が1つにまとめられていて、改めて勉強になりました。無意識に会話中に使っていたりしますが、それがどういう状況なのかというのを考えてなかったりするので、誤用を防ぐうえでもコンセプトを理解できてよかったです。
全体としては分かりやすく、現在分詞の意味が理解できたが、私の理解力が足りないのか、see+O+現在分詞と比較したsee+O+動詞の原形の部分が分かったようで混乱してしまいました。「前方を歩いているところを見た」と「前方に歩いていった一部始終を見た」だと、前者が一部(歩いているところを切り取った感じ)に対して、後者が一部始終なのですが、状況を見た側は、後者が一箇所に止まっていて、その時に相手の行動を一部始終みていたという状況で、前者は自分も移動中にたまたま相手が歩いているところを目撃したのか、その状況がイマイチよくわかりませんでした。
現在分詞や過去分詞を基礎から学べる機会はなかなかないので大変勉強になりました。改めて見直すと現在分詞の「進行、ライブ感」、「未完了」や過去分詞の「行為が完了していること」を知っているだけで、さまざまな用法で使用されても問題なく理解できると思います。
現在分詞はなじみ深いので意味・用法はだいたい理解していましたが、過去分詞についてはよく分かっていませんでした。この記事にあるコアイメージの、わかりやすいイラストと解説を見て頭の中がすっきり整理がつきました。
分詞は、合わせ持つイメージというのがとても腑に落ちました。それを基にすると、現在分詞の全体像がすっきり見えてくる感じでした。副詞としての現在分詞の解説は、分詞が形容詞としての働きを有する前提で話を進めてきたのですから、もう少し追加して説明があればよりわかりやすい記事になると思います。
現在分詞のコアなイメージが未完了の行為の進行やライブ感を表している、ということを捉えることができると、現在分詞の使い方がしっくりくると思いました。また、前置・後置修飾の使われ方も、分詞が動詞と形容詞の性質を合わせ持っている、という特徴を知ることで理解しやすくなると思いました。
現在分詞とは何か?まずその意味を日本語で理解するのに大分時間がかかってしまいました。私達日本人にはなじみがなく、普段意識して使っていない言葉だからです。
しかし、この記事のコアイメージには、まさに分かり易く、一発見ればすぐに理解できるものが記載されていてビックリです。多くの悩みを持ちながら勉強している人達みんなに教えてあげたい記事でした。
現在分詞という言葉は正直久しぶりに聞きました。学校で習っていた当時も意味は正しく理解しないで使っていましたが、使い方としてはまさに~しているところというライブ感をもつ場合に使われるということが絵や例文の説明でよくわかりました。これからは正しく使おうと思います。
現在分詞と一言にいっても用法が多数あり、かなりややこしい部類のものだと思います。しかし、無駄な情報を省いた上で吟味された構成となっているのでとても良いなと感じました。できるだけ分かりやすいように図などを挿入し、インパクトを残されているところに好感を持てます。
学生時代は分詞と言う言葉から何かの大きなカテゴリーから細分化したものだと思っていましたが、実際は逆に「複数合わせ持っている」というのが今回の記事で分かり、長年のモヤっとが晴れた気がします。どうりで何となく意味を掴みにくかったわけです。