英語で「10分後に」は in ten minutes で表し、after ten minutes とは言いませんが、どうしてそうなるのか不思議ですよね。in ten minutes は「10分以内」ではないのか?と思う方も多いと思います。この記事では in と after のコアイメージを元に、in と after の違いを解説しました。
in のコアイメージ
in のコアイメージは「何かの中にある」です。
in は「外側との間に境界を設ける」イメージを含んでいます。つまり、in は「内側と外側の境」が意識されているわけです。
※前置詞 in の持つイメージ・意味についての詳細は「前置詞 in のイメージと意味・用法まとめ」をご参照下さい。
in+期間 のイメージ
前回の『in time と on time の違い』記事で取り上げましたが、just in time という表現は、内側と外側の境である「ギリギリの時間」を表しています。
この just in time と同じように、in ten minutes のような【in+期間】の場合も「内側と外側の境」に焦点が当たります。
話し手は立ち位置を「現時点」に置いたうえで、そこから in で「内側と外側の境」を設けて、期間を表すフレーズで「境までの期間」を述べています。こうして「いまからある期間が過ぎた時点で」という意味になります。
after のコアイメージ
after のコアイメージは「何かの後」です。
after は時間的に何かの後であることを表すので、ある程度の幅を持っている表現です。ある瞬間を表しているわけではないことに注意してください。
in と after の違い
in+期間 の例文解説
例文:I will see you in ten minutes.(また10分後に会いましょう)
話し手は立ち位置を「現時点」に置いたうえで、in で「内側と外側の境」を設けて、ten minutes で「境までの期間が10分」だと述べています。ここから「10分後に」という意味になります。
※ちなみに「10分以内に」は inではなく within を使って within ten minutes と表します。
誤文:I will see you after ten minutes.
after ten minutes だと「10分後以降に」となり、幅のある表現になってしまいます。これでは、いつ・どの時点なのかわかりません。そのため、after はこれからの予定や約束を表すには不適当となるわけです。
after+期間 の例文解説
例文:I went to the bar, but I left after 10 minutes.(そのバーに行ったんだけど、10分後に出ていったんだ)
過去のことを表すときは「現時点」のような基準点が存在しません。そのため、過去を表すときは明確に基準点を述べる必要があります。
この例文の場合、「そのバーに行ったとき」を基準点として、after ten minutes によって「そこから10分が過ぎて以降」を表現します。
誤文:I went to the bar, but I left in 10 minutes.
in は「現時点」を基準として、これからの予定や約束を表すときに用います。そのため、過去の出来事を表すときには用いられません。
ポイントをまとめると次のようになります。
- in:基準は現時点。これからの予定や約束を表す。
- after:基準は現時点ではない時。過去の出来事の時系列などを表す。
練習問題:in と after の違い
次の( )に当てはまる単語として in か after のどちらかを選びなさい。
問題1:I’m going to New York ( ) two weeks.(2週間後にニューヨークに行く予定です)
問題2:After baking, set the cake on a wire rack to cool. ( ) ten minutes, remove the ring from the pan.(焼いた後、ケーキを冷やすために棚に置きます。それから10分後にオーブン用の皿から輪形の型を取り除きます)
問題3:She reached Tokyo on 8th May 2017. And she went to Osaka ( ) two days.(彼女は2017年5月8日に東京に到着した。そして、2日後に大阪に向かった)
↓
↓
↓
正解1:in
例文:I’m going to New York in two weeks.(2週間後にニューヨークに行く予定です)
基準点が「現時点」であり、これからの予定について述べているので in が正解になります。
正解2:after
例文:After baking, set the cake on a wire rack to cool. After ten minutes, remove the ring from the pan.(焼いた後、ケーキを冷やすために棚に置きます。それから10分後にオーブン用の皿から輪形の型を取り除きます)
料理レシピの一部抜粋です。基準点が現時点ではなく「ケーキを棚に置いたとき」という料理のステップになっています。このような場合は after が使われます。
正解3:after
例文:She reached Tokyo on 8th May 2017. And she went to Osaka after two days.(彼女は2017年5月8日に東京に到着した。そして、2日後に大阪に向かった)
基準点として過去の「東京に到着した日」が設定されています。基準点が現時点ではないため、after が正解になります。
まとめ:in と after の違い
フレーズ | 意味 | 違い |
---|---|---|
in+期間 | いまからある期間が過ぎた時点で | 基準は現時点。これからの予定や約束を表す。 |
after+期間 | 基準点からある期間が過ぎて以降 | 基準は現時点ではない時。過去の出来事の時系列などを表す。 |
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コメント
after ten minutesは誤文としていますが、文法的には正しい英文で、一般的に使われていない表現だという意味という事にビックリしました。本当に間違っているのかと思っていました。解説部分も分かり易くてなるほど、と深く納得することができました。お陰で、最後の問題も全部正解し、解説部分が復習の意味でも凄く良かったです。
“in”の「内側と外側の境」の説明がやっと理解できたと思います。この説明が理解できると、”in+期間”の「境までの期間」や”after”の「ある瞬間を表しているわけではない」ことがよりイメージしやすくなりました。また、例文も参考になりました。
「また10分後に会いましょう」は after を使ってしまいそうです。今回の記事は、1回読んだだけでは理解できませんでした。でも、例題があったことで理解の助けになりました。
時間を表す時のinとafterは今まであまり意識せずに使っていましたが使い方で全然意味が違ってきてしまうのですね。使い方の具体例がかなり細かく解説されていたのと絵による解説で使い分け方がよくわかりました。これからは間違えることはなさそうです。
in自体の内容である「モノの周囲をすっぽり包みこむ」という意味とin+期間「現時点とのつながりがある」という意味は同じように関連付けることができたので、覚えやすくて良かったです。
in ten minutesは、私も「10分以内」と覚えていたので、「10分後」だと分かり驚きましたが、先日読ませていただいたjust in time/ on timeを理解していたので、今回はすんなり理解できました。練習問題を出して理解させるのは良いと思いました。
in と after の違いについては、学生時代の試験によく出てきた覚えがあります。in の説明で「話し手は立ち位置を「現時点」に置いたうえで・・・」という文章がわかりやすく、さらに図解も手伝って気持ちよく理解できました。
今まで何となくで理解していたものが、すっきり理解できるようになりました。使い分けのポイントがわかりやすく解説されていると思います。
inとafterの違いはかなりいい加減に捉えていましたが、話し手の立場や基準をどこに設定するかで使い分けることができるということを初めて理解しました。
受験英語しかやってきていないと、こうしたニュアンスの違いはあまり意識できないため、こうした記事で本質的な意味を理解できることは良いと思います。