英単語

give のコアイメージ解説・意味の樹形図

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give は「ギブアンドテイク」という言葉があるように、take と対になる英単語です。take が「とる」なので、give は「与える(あげる)」ですね。

この give は、英文を訳すときはあまり苦労しませんが、英語で使おうと思ったときには使いこなすのが難しい単語でもあります。日本語の「与える(あげる)」では捉えきれない give の用法を確認していきましょう。

この記事でわかること
  • give のコアイメージと主な意味
  • give+人+物 という語順になる理由
  • give up が「諦める」になる理由

中学英語イメージリンク

give のコアイメージ

give のコアイメージは「相手に差し出して持たせる」です。

take が「自分のものにする」なので、対になる give は「相手の手に持たせる」ようなイメージで捉えるとよいでしょう。

give の意味の樹形図

コアイメージを元に、give の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。

give は物理的な「物」以外に、情報や感情といった抽象的な事柄も相手に持たせることができます。

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give の主な意味と例文

与える

与える」は give の最も基本的な意味で、なにか物理的な物を渡すことを表します。特に金銭的な補足がなければ、無償で渡すことになります。

なお、英語では自分が与える場合・相手が自分に与える場合のどちらも give で表しますが、日本語ではそれぞれ「(自分が)あげる」、「(相手が)くれる」と表現が変わります。

これは日本語が話し手から見える状況を描写する言語だからなのですが、英語を使うときには、このような「話し手の視界」を外す必要があります。

英語では、どちらからどちらへ行為が行われたのかが重要なので、そのような行為の流れを意識してもらえたらと思います。

 

例文:She gave me a gift.(彼女は私にギフトをくれた)

gave me a gift は「私にギフトを与えた」という意味。

give+人+物 で「人に物を与える」となりますが、ここで重要なことは次の2点です。

・give の働きが人を貫通していること
・give の働きが物で終わりになっていること

これについては、give と結びつきが強いのは「」の方であり、give+人+物 という表現は、give と「物」の間に「人」を挟みこむことで、「人に物を与える」という意味を表している、いわば省エネ表現(=少ない単語で言いたいことを表す方法)だと考えるとよいでしょう。

 

例文:She gave a gift to me.(彼女は私にギフトをくれた)

give+物+to+人 で give+人+物 と同じ意味を表すことができます。この場合、give の働きは「物」で終わるため、その与える先については to を用いて導いてあげる必要があります。

一般的には「give+人+物」の方が簡潔なので使われやすいですが、複雑な情報を含んでいたり、文の構造をはっきりさせたい場合には、「give+物+to+人」が使われることもあります。状況に応じて使い分けていきましょう。

She gave me a beautiful scarf for my birthday.
(彼女は私の誕生日に美しいスカーフをくれた)

He gave his old books to the library.
(彼は古い本を図書館に寄付した)

He gave me permission to use his car.
(彼は私に車を使う許可をくれた)

伝える、教える

give が物ではなく、言葉や情報などを与える場合「伝える、教える」という意味になります。

give のコアイメージにある「相手に持たせる」感は、この場合、相手にその言葉や情報がしっかり届いている(しっかり届ける)ニュアンスとして現れることに注意してください。

 

例文:Can you give me your opinion on this?(これについてあなたの意見を教えてもらえますか?)

give me your opinion は「私にあなたの意見を与える」→「あなたの意見を教えてもらう」となります。

日本語訳は丁寧に「教えてもらえますか?」としていますが、実際は「あなたの意見をもらえますか?」の方が give の働きに近いです。このあたりの感覚は日本語でも同じですね。

 

比較:Can you tell me your opinion on this?(これについてあなたの意見を話してくれますか?)

tell を用いると「言葉で伝える」行為を相手に依頼することになります。相手に求めていることが明確な分だけストレートな表現になります。

意味 重視 聞こえ方
give 私にあなたの意見を与える 私に届くことを重視 カジュアルな表現
tell 私にあなたの意見を言う あなたが言うことを重視 ストレートな表現

Can you tell me はストレートな表現ですが、必ずしも失礼というわけではありません。ただ、相手が上司や知らない人の場合は、Can you please tell me のように please を加えるとより丁寧な表現になるのでよいでしょう。

Please give him my regards.
(彼によろしくお伝えください)

I gave him my phone number.
(彼に私の電話番号を教えた)

The note gave him a heartfelt apology.
(その手紙は彼に心のこもった謝罪を伝えた)

行なう、する

give によって、行為を与える場合は「行なう、する」という意味になります。

ここでも give のコアイメージにある「相手に持たせる」イメージから、相手にその行為がしっかり届いているニュアンスになります。

 

例文:He gave her a hug.(彼は彼女を抱きしめた)

gave her a hug は「彼女にハグを与えた」→「彼女を抱きしめた」となります。

ハグという行為をわざわざ名詞化(a hug)して、それを give で「与える」という回りくどい表現になっているわけですが、同じ意味を表す He hugged her. とどう違うのか確認しておきましょう。

give+a hug は hug を名詞化することで「一つの出来事」として描いています。その行為を少し絵画的に表現していると言ってもよいかもしれません。そのような観点で言うと、文章での表現により適しています。

それに対して、動詞 hug は行為そのものをストレートに表現しています。もうこれはこれ以外に表現のしようがないですね。

 

give+a hug は「一つのある行為を与える」という回りくどい表現にしている分だけ柔らかいニュアンスになっています。

このような行為を名詞化して「一つのある行為を~する」という形で表現するのは、ネイティブがよく使うやり方です。give 以外に take や have でも同じ形式の表現方法(例:take a look, have a walk)がよく使われるので、意識的に拾っていってもらえたらと思います。

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I gave the door a hard kick.
(私はドアを強く蹴った)

She gave the table a quick wipe.
(彼女はテーブルをさっと拭いた)

He gave me a smile when he saw me.
(彼は私を見ると微笑んだ)

They gave him a warm welcome.
(彼らは彼を温かく迎えた)

She gave a loud sigh before answering.
(彼女は答える前に大きなため息をついた)
* このように give によって与えられる行為の宛先(相手方)が明示されていない場合は、その「場」に行為が与えられたと考えるとよいでしょう。

生じさせる

give が新しい考えや感情などを与える場合「生じさせる」という意味になります。

 

例文:The book gave me new ideas.(その本は私に新しい考えを与えてくれた)

gave me new ideas は「私に新しい考えを与えた」→「新しい考えを生じさせた」となります。

このように give は具体的な物だけではなく、抽象的な事柄なども相手に渡すことができます。

That movie gave me chills.
(その映画はゾクッとした/その映画は私に寒さを与えた)

His actions gave me hope for the future.
(彼の行動は私に未来への希望を与えた)

This medicine can give you relief from pain.
(この薬は痛みを和らげる効果がある)

差し出す、提供する

give の一連の流れにおいて「渡す」側に重きを置いたニュアンスで使われるとき「差し出す」という意味になります。

相手に役立ててもらうため、という目的をもって差し出すニュアンスが強い場合は「提供する」という日本語に訳すとしっくりきます。

 

例文:He gave her his jacket because it was cold.(寒かったので彼は彼女にジャケットを差し出した)

gave her his jacket は「彼女にジャケットを差し出した」となります。渡す側に重きを置いてはいるものの、give には「相手に持たせる」イメージも含まれているので、しっかりと彼女の手にわたっていることも含みます。

 

例文:This app gives users access to free resources.(このアプリはユーザに無料のリソースを提供します)
比較:This app provides users (with) access to free resources.(このアプリはユーザに無料のリソースを提供します)

同じ「提供する」を表す give と provide ですが、微妙なニュアンスの違いがあります。

give はしっかりと相手の手に渡ることを意味します。一方で、provide は計画的な提供を表します。そのため、provide の方がビジネスやフォーマルな場面で使われやすいです。

私たちは「提供する」というと provide の方をすぐに思い浮かべがちですが、カジュアルな場面では give もよく使われるので覚えておきましょう。

The waiter gave us the menu.
(ウェイターは私たちにメニューを渡した)

This job gives me financial stability.
(この仕事は私に経済的安定を提供してくれています)

Can you give me your hand to help me up?
(起き上がるのを助けるために手を差し出してくれますか?)
* give one’s hand 手を差し出す

時間をあてる

自らの時間を対象となるものに差し出すとき、「時間をあてる」という意味になります。

 

例文:She gives an hour every day to exercise.(彼女は毎日1時間を運動にあてている)

gives an hour every day to exercise は「毎日1時間を運動に差し出す」となります。

自分が持っている時間を相手または活動にそのまま渡すようなイメージで捉えればよいでしょう。なお、この用法は日本語に訳すのは難しくありませんが、英語として使いこなせるようになるには少しハードルがあります。音読練習などをして自分のものにしていきましょう。

He gives all his weekends to his family.
(彼は全ての週末を家族に捧げている)

She gave her time to help the community.
(彼女は地域社会を助けるために時間を捧げた)

He gave his afternoon to finishing the report.
(彼は午後をそのレポートの仕上げにあてた)

諦める、譲る

自分の持つ権利や意思を差し出す場合、「諦める、譲る」という意味になります。

 

例文:The thief gave up when the police surrounded him.(警察に囲まれて、泥棒は降参した)

gave up は「降参した」という意味。これは give himself up の himself を省略したものと考えるとよいでしょう。

この場合 himself は「自分の自由や抵抗の意思」を表し、give は「差し出す(=手放す)」、up は「すべて、完全に」を表しています。

ここから、give (himself) up で「降参する」という意味になるわけです。なお、この give up は日本語の「お手上げ」に近いフレーズですね。

I gave up my seat for an elderly person.
(高齢者のために席を譲った)
* 自分の席を差し出す

I gave up on my dream of becoming a singer. →補足あり
(歌手になる夢を諦めた)
* 自分の夢を手放す

Never give up until the very end.
(最後の最後まで決して諦めるな)

補足:give up の後に on がついている理由

例文:I gave up on my dream of becoming a singer.(歌手になる夢を諦めた)

give up on の「on」は、その対象との関係性を表しています。つまり、give up on ~ で「~との関係性を諦める」となります。

The coach didn’t give up on the team.(そのコーチはチームを見放さなかった)
→ チームとの継続的な関係性を諦めない

I gave up on him.(彼に期待するのを諦めた)
→ 彼への期待(彼との関係性)を諦めた

 

比較:I gave up my dream of becoming a singer.(歌手になる夢を諦めた)

give up が直接、my dream of becoming a singer を目的語にとっているため、ストレートに「その夢そのものを諦めた」という響きになります。

She gave up her career to raise her children.(彼女は子育てのためにキャリアを諦めた)
→ 彼女のキャリアそのものを諦めた

 

両者の違いは微妙ですが(というか私も釈然としないところがありますが…)、on が加わることで「その夢に対する希望や期待、取り組み」を諦めるニュアンスになります。そのため、「夢を諦める」という文脈においては、give up on の方が一般的に使われます。

まとめ

give のコアイメージは「相手に差し出して持たせる」です。「相手の手に持たせる」ようなイメージで捉えるとよいでしょう。

コアイメージを元に、give の主な意味を分類したものが、次の樹形図です。

意味 例文 日本語訳
与える She gave me a gift. (彼女は私にギフトをくれた)
She gave a gift to me. (〃)
 伝える、教える Can you give me your opinion on this? (これについてあなたの意見を教えてもらえますか?)
 行なう、する He gave her a hug. (彼は彼女を抱きしめた)
 生じさせる The book gave me new ideas. (その本は私に新しい考えを与えてくれた)
差し出す、提供する He gave her his jacket because it was cold. (寒かったので彼は彼女にジャケットを差し出した)
 時間をあてる She gives an hour every day to exercise. (彼女は毎日1時間を運動にあてている)
 諦める、譲る The thief gave up when the police surrounded him. (警察に囲まれて、泥棒は降参した)

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