have の使役構文につながる have+O+C(OをCの状態にする)ですが、have の「もっている」という意味から、どうしてそのような用法が出てくるのか、わかりにくいですよね。この記事では、have のコアイメージから have+O+C について解説しました。
意外とわかりにくい have+O+C 構文
have は使役構文(have+O+動詞の原形:Oに~させる)が有名ですが、その元になっているのは have+O+C という構文です。しかし、この構文はあまりきちんと解説されていないように思います。
例文:Thank you for having me around.(歓迎してくれてありがとうございます)
この have me around は have+O+C 構文に属するものですが、構文というよりもフレーズの丸暗記で対応している方のほうが多いのではないでしょうか?
数が少なければ丸暗記でも対応できますが、この構文の表現は意外とたくさんあります。そのため、覚えるのに苦労している方も多いと思います。
・I’m glad to have her back safely.(彼女が無事戻ってきて嬉しい)
・We’re delighted to have you here.(ようこそいらっしゃいました)
・We would like to have her over for the weekend.(週末、彼女を招待したいです)
この構文を理解したうえで使いこなせるようになっていきましょう。
have+O+C のイメージ
have のコアイメージは「手に入れて、範囲内にある」です。have の「範囲内にある」は、主語の支配・関与する範囲内に存在することを示しています。
have+O+C のイメージは「目的語を~の状態にする」です。
主語が直接何かをするのではなく、周りの環境を整えるなど間接的な働きかけによって、目的語を~の状態にする、という感じで捉えるとよいでしょう。
(「主語の支配・関与する範囲内に置く」を「主語の影響が及んでいる環境下に置く」と読み替えるとイメージしやすいと思います。)
具体的には、次の3パターンで have+O+C のイメージを確認していきます。
・have+O+前置詞
・have+O+副詞
・have+O+形容詞
have+O+前置詞
例文:Thank you for having me around.(歓迎してくれてありがとうございます)
Thank you for -ing は「~してくれてありがとうございます」という意味。
having me around は「me を主語(あなた)の影響が及んでいる環境下に置いて、me = around の状態にする」というイメージになります。
あとは around ですが、around は元々「円周上に」というイメージで、この場合「(あなたの)近くに」という意味になります。この around は around you の you を省略したものだと考えるとよいでしょう。
ここから having me around は「私をあなたの近くにいさせてくれて」→「私を歓迎してくれて」となるわけです。
(彼を呼んでちょっと話しましょう)
We had some friends in for dinner last night.
(昨夜、友人たちを夕食に招待しました)
It’s nice to have you around.
(あなたが近くにいてくれて嬉しいです)
have+O+副詞
例文:I’m glad to have her back safely.(彼女が無事戻ってきて嬉しい)
to have her back safely は「彼女=無事に戻る状態にすること」で、「彼女が無事に戻ってきたこと」という意味になります。
back は副詞ですが、前置詞と同じようにイコールで結んで「~の状態にする」と考えれば大丈夫です。
(ようこそいらっしゃいました)
We would like to have her over for the weekend.
(週末、彼女を招待したいです)
We should have the kids inside before it gets dark.
(暗くなる前に子供たちを中に入れるべきです)
We’d love to have you along for the trip.
(旅行にあなたを連れて行きたいです)
We must have everyone out of the building by noon.
(正午までに全員を建物から出さなければなりません)
have+O+形容詞
例文:He had his car ready for the trip.(彼は旅行のために車の準備を完了していた)
had his car ready は「彼の車=準備完了状態にする」で、「彼の車は準備ができていた」という意味になります。
なお、車が準備できた状態であることを表していますが、彼自身が準備したかどうかは明示されていません。つまり、誰かが車を準備した可能性(他人に準備してもらった可能性)も含みます。
この had his car ready という表現はあくまでも「車がすでに準備されている状態である」ことを表すだけなので、誰が実際に準備したのかは前後の文脈から判断する必要があります。
参考:He prepared his car for the trip.(彼は旅行のために車を準備した)
彼自身がすべての準備を行った場合は、prepare を用いて表現します。
(私たちは新鮮な空気を入れるために窓を開けていた)
They had the door locked for security reasons.
(彼らは安全のためにドアをロックしていた)
The teacher had the students quiet during the exam.
(先生は試験中、生徒を静かにさせていた)
have+O+C と get+O+C の違い
have+O+C と get+O+C は共に「目的語(O)を~の状態(C)にする」という表面上は同じ意味になりますが、ニュアンスには違いがあるので、その違いを確認しておきましょう。
例文:He had his car ready for the trip.(彼は旅行のために車の準備を完了していた)(再掲)
have を用いた場合は車が準備された状態であることを表します。この表現からは誰が準備したのかはわかりませんが、わざわざこの表現を使うということは、誰かに準備してもらった可能性の方が高いと考えてよいです。
例文:He got his car ready for the trip.(彼は旅行のために車を準備した)
get を用いた場合は、「なんやかんやして、彼の車=ready の状態にした」となります。「自分でなんやかんや手を動かして準備した」または「なんやかんやして誰かにお願いをして、準備してもらった」のいずれの場合もありえます。
have と get のいずれの場合も「誰かにやってもらった」可能性が含まれるため、その違いがわかりにくいですが、違いを端的に表すと次のようになります。
・have:結果を強調
・get:過程を強調
言うならば have は「準備完了の車をもっていた」というように結果重視の表現です。一方で、get は「なんやかんやして、車を準備完了にした」という過程重視の表現だと理解しておくとよいでしょう。
冒頭のアイキャッチ画像でも述べていますが、get+O+C を狩猟(積極的に狩りに行き獲物を得る)とすれば、have+O+C は農業(自然の力を借りて実りを得る)というイメージで捉えるとよいと思います。
まとめ
have+O+C のイメージは「目的語を~の状態にする」です。
「周りの環境を整えるなど間接的な働きかけによって、目的語を~の状態にする」という感じで捉えるとよいでしょう。
分類 | 例文 |
---|---|
have+O+前置詞 | Thank you for having me around.(歓迎してくれてありがとうございます) |
have+O+副詞 | I’m glad to have her back safely.(彼女が無事戻ってきて嬉しい) |
have+O+形容詞 | He had his car ready for the trip.(彼は旅行のために車の準備を完了していた) |
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