簡単な単語だけなのに出てくるとよくわからない英語表現の1つに “You got me.” があります。この記事では You got me をイメージを元に解説します。
You got me のイメージと意味
You got me は直訳すると「あなたは私をつかまえた」ですが、実際の会話では別のニュアンスで使われることがほとんどです。まずは You got me のイメージから確認していきましょう。
You got me のイメージは「あなたは me を自分のものにした、把握した、手中に収めた」です。
ここでポイントとなるのは me の表す内容です。You got me の意味は me が表している内容によって変わります。
me が表す内容 | You got me の意味 |
---|---|
私自身 | つかまえられた(あなたは私をつかまえた) |
私が隠していたこと、私の素性など | ばれたか |
私が思っていること、私の性格など | 私のことがよくわかっているね |
私が言ったこと・やったこと、私のスキル・能力など | 痛いところをつかれたな、君には負けたよ、まいった、降参 |
私があなたに驚かされたとき、あなたの術中にハマったとき | やられたよ、引っかけられたよ |
1. ばれたか
Situation | Mother A and her son B are talking in the kitchen. (母Aと息子Bがキッチンで話をしています) |
A | Huh? You ate a piece of the pork cutlet, didn’t you? (あれ?あんた、トンカツつまみ食いしたでしょ?) |
B | No. (ううん) |
A | Don’t act like you didn’t. There were 13 slices. (とぼけても無駄よ。13切れあったんだから) |
B | You got me. (ばれたか) |
例文:You got me.(ばれたか。)
この me が表す内容は「私がトンカツをつまみ食いをしたこと」なので、You got me の意味は「あなたは私がつまみ食いしたことを把握した」→「ばれたか」となります。
このように英語の me は「私」だけではなく「私がやったこと」も含みます。この “me” が表す範囲が日本語の「私」と大きく異なっているところが、You got me という表現を難しくしている一因です。
2. 私のことがよくわかっているね
Situation | Friends A and B are talking at a cafe. (友人AとBがカフェで話しています) |
A | I’ve been so stressed with work lately. I hardly have time to relax. (最近、仕事でとてもストレスが溜まってるんだ。リラックスする時間がほとんどないよ) |
B | How about we go to that live music bar this weekend? I know you love music. (今週末、あのライブバーに行かない?君が音楽好きなの知ってるからさ) |
A | That sounds perfect. You really got me. Thanks. (それはいいね。君は本当に僕のことをよくわかってるね。ありがとう) |
例文:You really got me.(君は本当に僕のことをよくわかっているね)
この me が表す内容は「私が好きなこと」なので、You really got me の意味は「あなたは私が好きなことを本当に把握しているね」→「君は本当に僕のことをよくわかっているね」となります。
このようなニュアンスで用いられる You got me は、相手が自分のことをすっぽり包みこんでくれるようなイメージで捉えるとよいでしょう。相手に対する信頼感を表しているとも言えます。
3. 君には負けたよ、まいった
Situation | Friends A and B are playing a card game. (友人AとBがカードゲームをしています) |
A | Alright, here’s my final move. Can you beat that? (よし、これが僕の最後の手だ。これに勝てる?) |
B | Let’s see… (B plays a winning card) I guess I can! (どうかな…(Bが勝つカードを出す)勝てたみたいだね!) |
A | Wow, you got me. Nice play! (すごい、君には負けたよ。いいプレイだったね!) |
B | Thanks! That was a fun game. (ありがとう!楽しいゲームだったね) |
例文:You got me.(君には負けたよ)
この me が表す内容は「私のカードゲームの能力やレベル」です。この場合の get は「自分のものにした」→「手中に収めた」→「上回った」というニュアンスになり、You got me の意味は「君のほうが僕より上手(うわて)だね」「君には負けたよ」となります。
4. やられたよ、引っかけられたよ
Situation | Friends A and B are talking at a park. B plays a prank on A. (友人AとBが公園で話しています。BがAにいたずらを仕掛けます) |
B | Hey. Look over there! I think I saw your favorite soccer player. (ねえ、あそこ見て!君が好きなサッカー選手がいるよ) |
A | Really? Where? (本当に?どこ?) |
B | Just kidding! There’s no one there. (ただの冗談さ!誰もいないよ) |
A | Oh man, you got me. (なんだ、引っかけられたよ) |
例文:You got me.(引っかけられたよ)
この You got me の意味は「君は僕を術中にハメた」→「引っかけられたよ」となります。この get は「自分のものにした」→「手中に収めた」→「罠にハメた」というイメージで捉えるとよいでしょう。
You got me を難しくしている別の原因
ここまで You got me の意味について解説してきましたが、これまでの説明で You got me の訳として次のような言い換えをしています。
直訳 | 言い換え |
---|---|
あなたは私がつまみ食いしたことを把握した | ばれたか |
君は僕より上手(うわて)だね | 君には負けたよ |
君は僕を術中にハメた | 引っかけられたよ |
左側は日本語として違和感があるので、右側の日本語としてより自然なセリフに言い換えています。このとき、どうして右側の方が自然なセリフになるかというと、日本語は話し手から見た視界で物事を表現するのが一般的だからです。
話し手から見た世界に話し手自身は出てこないので、「私」や「僕」を言葉にするとわざわざ言っている感じになってしまうわけです。
また話し手から見た世界なので、話し手を基準とした物言いにしたほうが自然になります。たとえば、「君は僕を術中にハメた」であれば、「僕」を基準とした「(僕は君に)引っかけられた」という表現のほうがしっくりくるわけです。
なお、英語の世界観では「君は・術中にハメた・僕を」となります。英語では動作の発信源である「君」を基準とした表現になっているわけですね。
このように日本語と英語におけるモノの見方が違っていることが、私たち日本人にとって You got me が難しいと感じさせるもう1つの原因だったわけです。このモノの見方の違いについては書籍『英会話イメージトレース体得法』で詳しく解説しているので、もしよかったらどうぞ。
まとめ
You got me のイメージは「あなたは me を自分のものにした、把握した、手中に収めた」です。
me が表す内容によって、次のように You got me の意味は変わります。
me が表す内容 | You got me の意味 |
---|---|
私自身 | つかまえられた(あなたは私をつかまえた) |
私が隠していたこと、私の素性など | ばれたか |
私が思っていること、私の性格など | 私のことがよくわかっているね |
私が言ったこと・やったこと、私のスキル・能力など | 痛いところをつかれたな、君には負けたよ、まいった、降参 |
私があなたに驚かされたとき、あなたの術中にハマったとき | やられたよ、引っかけられたよ |
【You got me の解説動画】
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